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サビ対応と対策(黒染め)

エアガンの鉄パーツのサビ対応と対策(初心者の黒染め)

今回はあまり見た目がよろしくない鉄部品の赤錆びの対応と対策を紹介していきます。

特に梅雨時期などの湿気が多い環境ですとしっかりと防錆処理されていない鉄部品はすぐに赤錆が発生します。

特に私の家では冷風機(水を流すタイプ)を今夏に導入したら、あらゆる鉄部品が錆びてしまいました。

なので赤錆びの処理と防錆処理をやっていきたいと思います。

その前に錆について基本的な考え方を紹介します。

鉄の錆(酸化)

機械(エアソフト含む)において基本的な材料である鉄の錆(腐食、酸化)考えていきます。

基本的に地球上にある鉄は特殊な合金化や表面処理がされていない場合は非常にイオン化しやすい金属です。

懐かしいイオン化傾向で見てみると次の通り

Li>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe(鉄)>Ni……

となり100種類以上も存在する元素の中でも、8番目にイオン化してしまう自然界において非常に不安定な元素です。

鉄はイオン化しやすいので、ちょっとした電解液(人間の汗、塩水、湿気などなど)に触れれば、すぐにイオン化します。

鉄がイオン化した場合は基本的に+3価の陽イオンになり、特殊な環境下で+2価の陽イオンになります。

$Fe^{+2}   or   Fe^{+3} $

イオン化すると電荷が偏り不安定な状態なので、物質自体が安定するために他の物質とくっついて電荷を安定させようとします。

この鉄イオンが安定化するために必要な手っ取り早い物質が空気中の酸素であり、鉄は酸素を積極的に取り込みます(この反応で熱が出る、これを利用しているのがホッカイロ)。

酸素は基本的に2価の-イオンで$ O^{-2} $なので一般的な鉄イオン(3価の陽イオン)と結合すると次のようになります。

$2Fe^{+3} + 3O^{-2} → Fe2O3(3酸化鉄、赤錆)$

これが赤錆びになり、錆の基本的な生成メカニズムになります。

この化学反応は一瞬で発生します。

私の経験では鉄を表面粗さ6.3s(鏡面加工の一番、ショボいレベル)で加工されている面を触ったら、速攻で指紋状に赤錆が発生しました。

つまり鉄を大気中で何も処理せずに裸でいると必ず錆びるということです(表面処理等ができない場合は油に漬けておく)。

この赤錆は見た目が悪いなどの弊害があるのですが、マズイのは侵食性のある錆であることです。

侵食性の意味は鉄の表面が錆びるだけでなく、どんどん侵食して部品の全てを赤錆(Fe2O3)になって朽ちていきます。

なので常識的な工業製品の鉄部品は赤錆が発生しないように表面処理を必ず施します。

表面処理の代表例は塗装、亜鉛メッキ、クロムメッキ、ダクロ処理、クロメートなど様々です(用途によって使い分ける)。

いずれの処理も、基本的な考え方は鉄の表面に膜を作成して鉄のイオン化を防ぐ、空気中の酸素との接触を避けます(亜鉛メッキはちょっと違う)。

ここまでが基本的なサビの発生メカニズムになります。

次に防錆の一種の黒染めを紹介します。

黒染め(防錆の一種)

赤錆が侵食性があってマズイことは理解していただいたことを踏まえ、防錆の一種である黒染めのメカニズムを紹介します。

鉄はイオン化すると基本的に3価の陽イオン($Fe^{+3}$)になることは理解していただいたと思います。

しかし鉄は特殊な環境下で2価の陽イオン($Fe^{+2}$)になります。

その環境はPH(ペーハー、酸性の度合いを表す数字、7が中性)が3未満くらいの酸性の電解液下において2価の陽イオンになります。

この状態での酸化反応は次のようになります。

$ Fe^{+2} + O^{-2} → FeO $

しかしながら現実では全ての鉄が2価の陽イオンにならないので、次のようになります。

$ Fe^{+2} +2Fe^{+3}+ 4O^{-2} → Fe3O4(4酸化鉄、FeOとFe2O3の混合型) $

になり、この4酸化鉄が黒色なので黒染めと呼ばれます。

この錆の良い特徴としては侵食性がないので、表面が黒くなるだけで中まで錆びが侵食する可能性が大きく減ります。

なので防錆の一種として使います。

面白いのが”どうせ錆びるのなら、人間にとって都合が良い錆を積極的に生成しよう”という考え方です。

ただし4酸化鉄の膜の厚さ、強度があまり高くないので、他の防錆処理と比較すると弱いです。

ただし処理が簡単なので、安さ優先だったりあまり錆びない環境での防錆に使います。

工業的には酸性の液体に部品をドブ漬けしてから放ったらかしにして洗浄すれば出来上がりです(メッキとかだと電気的処理が必要)。

ここまでが簡単な錆の理論になります。

もし化学や機械材料に興味がある人はこちらも覗いてみてください。

初心者でもわかる機械材料1 機械材料ってなんだ?と機械材料の主な分類(金属、鉄、アルミ、他)           

初心者がやる黒染め

ここからは初心者である私が黒染めをやってみます。

対象部品はライラクスさんのマズルプロテクター 17.5mmです。

かなり赤錆が発生しています。

これを黒染めして防錆していきます。

準備したモノ

用意したモノは次の写真の溶液です。

Foresight ガンブルー液 PH1.7~1.8

WD-40 防錆、潤滑剤

になります。

では黒染め前の下処理を実施していきます。

黒染めの下処理

まずは部品に発生している赤錆を除去していきます。

この除去は棒ヤスリや紙やすりでも可能ですが、面倒なのでリューターにバフを付けて除去します。

・ドレメル ハイスピードロータリー4000
いつも使っているオススメリューターです。これがあるとDIY加工の幅が拡がります。人気機種で3000と4000がありますがツールもセットになってパワーがある4000がオススメです。

除去後。

超綺麗で完全な黒染めをしたい場合は完全に下地の銀色になるまで表面を削ったほうが良いのですが、今回は防錆が目的なのでこのレベルで染めていきます。

後は表面に付着した削りカスを拭いてあげます。本当はエアコンプレッサーとかで吹き飛ばしたいです。

ここで注意ですが表面の洗浄にパーツクリーナーなどを使うと表面が綺麗になり過ぎて(油分など全て取れる)、すぐに錆びてしまうので使わないことをお勧めします。

また、この表面の質感が好みの場合はこの状態で防錆剤(WD-40など)を掛けてあげれば、ある程度は錆びないと思います。

黒染め処理

今回は部品が小さいので筆塗りで黒染め液を塗っていきます。

まずは黒染め液を小分けにします。

これを部品に塗ります。溶液がPH2未満で肌に良くないので気をつけましょう。

どんどん塗ります。

面白いのが塗ったところがすぐに黒くなってきました。

このまま全体に塗ります。

後は好みの黒になるまで放っときます。

後処理

そのまま15分くらい放っといた部品の様子です。

まあまあ染まりました。

このくらいで良いと思ったので、タオルで黒染め液を拭いてから念のため防錆剤のWD-40を付けます。

一応、黒染めだけでも防錆になるのですが、説明した通り強力な防錆処理ではないので防錆剤も塗布します。

WD-40が染み込んだら完成です。

完成

完成品

簡単な作業でかなり良くなったと思います。

作業前

作業後

後は経過観察していきます。

とりあえず1日ほど経ちましたが赤錆は発生していなかったです。定期的に観察してアップしていきます。

素人でもなんとかなりました。

他部品の処理前、処理後

他にも気になっていた赤錆で黒染めしたところを紹介します。

ローレット加工入りネジ

処理前

処理後(穴の中はやってません)

HK416 CAGの AEGのサイト、スイベル、ポートカバーです。

サイト

処理前

処理後(少しマダラになってしまいました)

スイベル

処理前

処理後

ポートカバー

処理前

処理後

と、こんな感じで部位当たり20分くらいでできました。

また部品を分解しなくとも、組み込んだまま丁寧に同様の作業でできました。

まとめ

芸術品みたいな黒染めは難しくとも、目的が防錆程度なら素人でも簡単にできました。

やり方は簡単で

step
1
赤錆を落とす

step
2
部品を洗浄する(パーツクリーナーはNG)

step
3
黒染め液を付ける

step
4
気にいる色になるまで酸化を待つ

step
5
黒染め液を洗浄する

step
6
防錆剤を塗る

です。

必須道具はこの2つ

・FORESIGHT 常温黒染剤 ガンブルー液 125g
他の液を選ぶ時はPHに注意です。PH2未満が良いと思います。
ツワモノは自分で溶液を作るらしいです。

WD-40 防錆剤
防錆の定番です。Twitterで教えてもらいました。

これに加え赤錆を落とすヤスリ(紙ヤスリ)などがあればOKです。

私は面倒なのでヤスリ掛けなどはリューターのバフで磨きます。

これで誰でも赤錆対策、黒染めができると思います。

もし自分のエアソフトのパーツが赤錆で悲しくなったら試してみてください。

たぶんびっくりするくらい綺麗になって愛着がさらに湧くと思います。

失敗しても再度、研磨してから同じことをやれば再チャレンジが簡単にできます。

ちなみに簡単な防錆だと他には塗装や油に漬けっぱなしがありますが、塗装は大変だし油を漬けっぱなしは現実的でないので黒染めが気軽で簡単だと思います。

以上、お付き合いありがとうございました。

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  • この記事を書いた人

kazubara

輸送機器メーカーでの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計知識を伝道します。また職歴を活かしてエアソフトガンをエンジニアリング視点で考察して行きます。

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