前回は東京マルイ コルト M1911 ガバメント 【HG/ホップアップ】 エアコキをレビューしました。
今回は分解していきたいと思います。分解に加え機構のメカニズムの説明も簡単にしていきたいと思います。
この機種の内部機構はシンプルながら奥深く、東京マルイ製品のエアコッキングガンのみならず電動ガンの基本メカニズムにも通ずるところがあり、とても興味深いので頑張って書いていきます(分解した感じだとエアガンの基本メカニズムの塊でした)。
個人的にはガスブロ以外のエアガンの基本がみっちりと詰まっていると思いますので気合を入れて書いて行きます。
まずはスライドを外していきます。
スライドの取り外し
まずはスライドを少しだけ引いて写真のようにスライドの切り欠きとすスライドストップレバーの軸の中心位置と合わせます。
この状態を保ったままスライドストップレバーを手前に引き抜きます。
レバーを引き抜いたら、ガズブロと同じようにスライドを本体てまに引き抜くとスライドが外れます。
スライドの中身を見ていきます。
エアコキの発射機構が効率良く配置されています。このレイアウトを考えた人は凄まじい設計能力の持ち主だと思います。
ここまででスライドの取り外しの完了です。
次にスライドの中身を分解していきましょう。
スライドの分解
まずは弾の発射のメインになるスプリング、スプリングガイドを外していきます。
ちなみにグリスは、過去に自分がシリコングリスを塗ったので純正箱だしでは塗られていません。
スプリングガイドはスライド後端に押し付けられているだけなので簡単に外れます。
スプリングガイドをずらすと次の写真のようになります。
分解した部品を並べてみます。
こんな短いスプリングで0.4Jもパワーが出ているのはかなり凄いと思います。
分解を進めます。
スプリング、スプリングガイドを取り外すとシリンダにアクセスできるようになります。
このシリンダが非常に素晴らしい設計でエアコッキングのシリンダ、ノズル、タペットを兼ねた部品になっています。
ノズルの形状は給弾のしやすさ、つまづきホップ解消のために凝った形状になっています。
次にバレル、チャンバーを取り外していきます。
この分解が少し厄介です。
チャンバーはスライドに嵌め込まれているのでスライドを左右に広げながらチャンバーを取り外します。そこそこの力が必要になってくるので頑張って外すか、もし手伝ってくれる人がいたら二人でやると外し易いです。
写真に書いてある通りですがコツとしては
取り外したチャンバー見ていきます。
アウターバレルの可動用にカムが採用されています。この辺りの設計に東京マルイの執念を感じます。
これでスライドの基本的な部品が分解出来たので部品を並べて見ます(組み付け時の位置を再現しています)。
ちなみにエアコキカスタムパーツで販売されている漢バネなどの強化スプリングを組み込む場合は、ここまでの分解で交換作業ができます(基本的にリターンスプリングとスプリングのセットのはず)。
工具等が一切、必要なくカスタムできるので気軽に楽しむことができて面白いと思います(元に戻すのも簡単)。ただし硬いバネを入れるとコッキングが大変になるので注意が必要です。
チャンバーの分解
チャンバーを分解していきます。
まずはアウターバレルを外していきます。
アウターバレルの分解が厄介で、アウターバレルは樹脂の弾性でチャンバーに嵌め込まれているので丁寧にチャンバーを広げながら取り外します。
注意点としてはアウターバレルが割れないように少しづつ力を加えることだと思います。
分解した写真です。
次にホップチャンバーを分解していきます。
チャンバーは写真のボルト2本で留まっています(ここまで実質、工具が必要ないのが凄いです)。
チャンバーを開けます。
これでガイド、パッキン、インナーバレルが取り外せます。
ちなみにパッキンのコブ形状は東京マルイ伝統のタイプでした。
パッキンの形状は電動ガン、ガスブロとは異なり独自のもので同社のショットガン、コンパクト電動ガンに近い感じがしますが使用可能かは不明です。カスタムパーツとしては宮川ゴムさんから販売されているようです。
なのでインナーバレルはアルミ製でホップ窓形状も独特のモノになっています(内径はおそらく6.05mm)。
これでチャンバーの分解は完了です。
参考までに組み付け状態の並び順に部品を並べてみます。
これでスライドの分解は完了です。
スライドを分解した感想としては、個人的な経験から組み付けは工場ラインの流れ作業ではなく工員さんが一人ひとり手で組んでいる感じでした(使用する工具が実質、1種類だけから小組みテーブルで組んでいることが分かる)。
なので組み付け品質、組み立てコストはモロに工員さんの質に頼っているように見えます。
東京マルイさんの場合は基本的に国内生産なのでおそらく日本人(海外に引くして比較的に教養が高め、真面目など)が採用されていると思うので質は高いのですが、同時にコストに跳ね返っていると思います(自動ラインは初期投資が高いだけで運用コストは安め)。
なのでこのシリーズの価格も私が子供の頃の1900円から2500円、3500円に上がっていくのは仕方が無いことだと思います。
次に折角なので簡単にエアコッキング、発射メカニズムを説明してみます。
エアコッキングのメカニズム
まずは基本的な部品配置のおさらいです。
一部の部品を拝借して部品の透過図を描いてみました。
初期状態
先ずはコッキングしていない初期状態です。
部品写真には載せていませんがイメージでシャーシ(シアー、ハンマーのみ)、装填済みマガジンが装着されています。
初期状態では当たり前ですが弾がチャンバーに装填されていない、各スプリングは縮んでいない状態です。
スライドを引いている状態(コッキング中)
次にスライドを引いてコッキングをしている状態です。
スライドを引くと同時に幾つかの部品が動きます。
・リターンスプリングが縮む(この強さがコッキングの荷重になる)
・ノズルが下がる
最後までコッキングすると
・ピストンの出っ張りにシアー、ハンマが引っ掛かる(カチャと音がする)
・ノズルのタペット部に弾が上がってくる
ピストンがシアー、ハンマーに固定される機構はラチェット機構と全く同じで機械の基本的な動きになります(ボールペン、シャーペンのカチャカチャと同じ感じ)。
スライドの前進している時(コッキング後半)
次にコッキングの引きが終了してを離してスライドが戻っている状態です。
この時にスライドを引き終わってスライドが元の位置に戻ります。
・圧縮されたリターンスプリングが伸びる
・メインのスプリングが圧縮される(ピストンが固定されているため)
・ノズルが前進しタペット部に沿ってエレベーターのように弾が上昇する
コッキング時に圧縮されたリターンスプリングが伸びる反発力でスライドが元の位置に戻流のと同時に給弾しメインのバネも縮みます。
なので発射のためのスプリングを圧縮する工程はスライドを引く時ではなく戻る時に圧縮されます。
コッキングに必要な荷重=リターンスプリングのバネ定数×移動距離
リターンスプリングのバネ定数×移動距離>発射のメインのスプリングのバネ定数×移動距離
が必要になります。
なので発射のためのスプリングを強化したい場合は、必ずリターンスプリンを強化しないとコッキングできません。逆にコッキングを弱めたい時には発射のためのメインスプリングを弱くするだけでは全く意味がなく必ずリターンスプリングも弱くしないと意味がありません。
発射準備終了、発射状態
次に発射可能状態です(スライドが完全に元に戻った状態)。
この状態では弾がチャンバーにセットされるのと同時にピストンが後退位置で固定されメインのバネは縮んだままになります。
ここでトリガーを引くとピストンの固定が解放されて空気が押されて弾が発射されます。
これが基本的なエアコッキングのメカニズムになります。
この機構は東京マルイのエアコキだけでなく同社のボルトアクション、延長線上には電動ガンもほとんど同じメカニズムになります(ガスブロは全くの別物)。
ボルトアクションの場合だとリターンスプリングが存在しないのでスライドを戻す作業は自分でボルトハンドルを前進させることによって補われます。なのでボルトの引き荷重は発射のメインスプリングの荷重と相当になります。
細かい機構は異なりますが基本的にどのメーカーのエアコキもほぼ同じメカニズムになると思います。
まとめ
今回はエアコキのスライドの分解と簡単な発射メカニズムを説明しました。
分解には元が安いことと特別な工具は一切、必要ないので分解カスタムにチャレンジする一歩としてかなり良いモデルだと思います(工具は実質、+ドライバーが一本)。
またメカニズムに関してもガスガン以外のエアガンの基本がみっちりと詰まっていると思うので興味があれば考えながら分解すると理解しやすく楽しいと思います。
またエアコキに限らずカスタムする際にはメカニズムがわかっていればどのような部品を交換するか?どのように弄れば結果がどうなるのか推測しやすいのでおススメです。
次回は分解で残ったシャーシとそのメカニズムを紹介していきます。
お付き合いありがとうございました。
・東京マルイ コルト M1911 ガバメント 【HG/ホップアップ】 エアコッキングガン
エアガン、本物のオートマチックハンドガンの両方の原点にして至高の製品だと思います。超オススメです。
・スペマガジン
エアコッキングで装填数25発なのであまり必要はないかと思いますが一応、載せておきます(1個くらいはあると便利かも)。
執筆時点ではアマゾン含め、楽天、ヤフーショップも在庫が無いようですが、再生産をすれば復活すると思います。
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