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LAYLAX SIG AIR Proforce M17 CO2 GBB

LAYLAX SIGAIR Proforce M17 CO2 GBB 分解編 その2 (SIG P320)

前回に紹介したLAYLAX SIGAIR Proforce M17 CO2 GBB 分解編 その1 スライド編でブローバックエンジンまで分解しました。

LAYLAX SIGAIR Proforce M17 CO2 GBB 分解編 その1 スライド編(SIG P320)

復習がてらに前回で分解した部品の写真を載せておきます。

今回は青字のノズルの中のフローティングバルブ周りを分解して行きます。

ノズルの分解(フローティングバルブ周辺)

まずノズルを見ていくと流石に改造防止処置でフローティングバルブを抑えているピンが抜けないようになっていました。

ピンの端が平面とピッタリで抜けないようになっています。たぶんこれが改造防止だと思います。

そこでピンが抜けるようにピン周りの樹脂を削ります。

そうするとピンの頭が出てくるのでペンチで引っこ抜けば分解できます。

分解した中身がこちらです。

加工してしまった部分は後でパテで直します。

ここで注目部品は初速調整用のオリフィス(絞り)です。

オリフィスを見ていくと

前側の穴。

測定すると

後ろ側の穴です。

測定すると

となります。

ちなみにフローティングバルブ、ノズルの径は次のようになります。

フローティングバルブの径

ノズル先端の径

これらのことから最小径で比較するとノズルの4.4mmがオリフィス(絞り)で2.0mmと半分以下まで細くなっています。

これが初速が低い原因となります。

なのでカスタムでオリフィスの穴を加工して初速を上げて行きます(法の範囲内が大原則)。

ここで分解されたスライドをチェックしたところ、シャーシと噛み合う部分(レール)の加工バリがかなり立っていました。要対策です。

これでスライドの分解は全て終わりになります。

フレーム、シャーシの分解

ここからは残ったフレーム、シャーシを分解して行きます。

まずはテイクダウンレバーを見て行きましょう。

このレバーの反対側に着目です。

レバーの軸を押しながら、レバーを更に回すとレバー自体が抜けます。

レバーを完全に抜いたら、シャーシを上に引き抜きます。

これで本物と同じようにトリガー、ハンマー機構が1つのまとめられてモジュールとしてできています(モジュラー化)。

そのモジュールを見て行きましょう。

中身は通常の内臓ハンマー式のガスブロと全く同じ仕組みでした。トリガーの感触が硬く、ガサツに感じるのはスプリングが強いのと面がザラザラしていることが原因のようです(グリスも無し)。

正面から見てみます。

スライドストップのスプリングが見えます。

横から見てみます。

ノッカー関係が見えます。指で押したところ動きが悪いので要対策です。

次にハンマー周りに着目します。

普通の内臓式ハンマーと部品構成は全く同じです。

ハンマーダウン状態です。

ハンマーにシアーが掛かってハンマーダウン状態を保持しているのが分かると思います。

次にした側から見て行きましょう。

お馴染みの部品が組まれています。

この辺のガスブロの仕組みについて解説していますので良かったら覗いてみて下さい。より写真がわかるようになると思います。

ガスブローバック方式エアソフトガンの作動の仕組み マガジン、トリガー、ハンマー編

最後にこの手の製品で珍しいセーフティの仕組みを紹介します。

まずセーフティオンにします。

セーフティーをオンのするとレバーの突起がトリガーバー全体を押し下げます。トリガーバー全体が下がったことにより、本来ならばバーがシアーを押してハンマーが解放されるのですが位置がずれることによってバーがシアーに触れないようにしています。

これでセーフティにしています。

セーフティを解除するとバーが通常位置に上がります。

これでシアーにバーが触れるように戻ります。

これでメカの紹介は終わりです。

最後に残ったフレームを見てみます。

マグキャッチが左右で自由に変えられます。

本来ならハンマー、トリガー廻りも分解するつもりでしたが、特に珍しい機構、カスタムの予定がないのでここでで分解を終わりにさせてもらいます。

日本仕様の投資、コストの概算と価格の関係

今回の製品はVFCさんの本国仕様とLAYLAXさんの日本仕様の差が分かりやすいので一般的な製造業観点でのコストアップ分を概算してみます。

まず仕様の差は分解から推測するに次の4つです。

1、樹脂のスライド

2、スライド内の金属パーツ

3、初速制限用の樹脂パーツ

4、専用バルブ

もしかしたらホップアームも変更されているかもしれません。

5、ホップアーム

まずはこれらの部品を製造するための投資額を概算してみます。

各部品の生産に必要な投資額

まずはスライドを作るための金型です。見た感じからの型割から金型数はおそらく4〜5個で構成されています(オス、メスに加え先端のスライ型、マズル側の型にもしかしたら可動型が一個あるかも)。

スライドの大きさ、金型数、構成から金型の金額は高めに見積もって350〜400万円くらいだと思います。

材質がナイロン系で樹脂の割には溶融温度が高い(250〜300℃くらい)のとおおよその要求精度を±0.1と考えると金型の寿命(命数)は10万ショットと思われます。

機械加工はなさそうなので金型関連だけで投資が済みそうです(たぶんバリ取りも必要ない)。

次にスライド内の金属補強パーツを考えて行きます。

部品を見ると板金で製作されています。工程としてはまずは平面での打ち抜きをした後に曲げ加工で製造されている確率が高いです。

なので必要な道具は打ち抜き用の金型(プレス用の型)と曲げ用の金型の2つになります。おそらくですがあまり複雑な形状ではないので冷間のプレスなので金型の寿命は長そうです。

私の経験から概算すると打ち抜き用の金型が100〜150万円くらい、曲げ用の金型は30万円くらいです。寿命はおそらく100万ショットレベルなので製品の生産数から考えるとかなり多いと思います。

見た感じ機械加工をやってなそうなのでバリ取りとかはやってないと思います。

次に初速制限用のパーツです。

これは非常にシンプルな射出整形で必要な金型数は2個だと思います。材料はおそらくABS樹脂です。

なので金型の金額はおおよそ30〜40万円で命数は30万ショットくらいは行けると思います。

次に専用バルブですが見た感じだと新規に起こした訳ではなく既存の物に対して機械加工違いなので投資は必要ないと思います。

最後にオマケのホップアームですが、これは打ち抜きプレス一発で簡単に作れます。金型もシンプルなプレス用でおおよそ15〜20万円だと思います。

これらの加工を行うための必要な大型設備である射出成型機、プレスマシン、機械加工マシン(NCとか)はVFCさんで既に終わっていると思うので新たな投資は無いと思います。

しかもVFCさんはそこそこ大きな会社なのでこのような大型マシンの償却は終わっていると思うのでお金を要求してこないと思います(悪どい会社は別)。

ここまでの必要な金額は多めに見積もって650万円くらいになります。これに金型のメンテナンス、保管費用などを考えると800万円くらい掛かると思います。

これに設計や打ち合わせ、テスト、生産テストなどの開発費を考えると初期の投資額は1200〜1500万円くらい必要になりそうです。

生産、輸送に必要なコスト

この投資額を製品にどのように乗せるかはいろんな考え方があるのですが私が経験がある日本の税制だと2年で償却する必要があります。そうすると勘ですが1年間で1000個くらい売れると考えると2年で2000個なので一個あたり750円ほど掛かると思います。

厳密には各金型などの寿命(命数、メンテナンス間隔)から部品単価を考えることもありますが、設計的には面倒なので商法での2年で考えることが多いです。

更に生産すれば上記以外に材料費、人件費(管理費)機械加工の刃具などの諸費用が乗るので1400〜1500円くらいは行くと思います。

この辺は会社や国によって大きく変わるのですが台湾だとこんなもんだと思います。

これに輸送費とCIF(海上保険)が乗って1500〜1700円です(相場は本体価格の5%くらい)。

費用の回収と利益、最終価格

更にVFC、LAYLAX、販売店も営利企業なので儲ける必要があります。工業製品の大雑把な価格の内訳は原価が4〜5割、製造元の利益1割〜2割、代理店が1割〜2割、販売店が1割〜2割くらいです。

そうするとVFCのM17 CO2の価格が160ドルで1ドル110円とすると17600円で原価、VFCの利益が含まれていると考えます。ここから日本に不必要なアルミスライドの原価(たぶん700円くらい)を抜くとおよそ15900円です

これにコストアップ代1700円で18600円にLAYLAXさんと販売店の利益を合計で3割と考えると26500円くらいになります。

これだと定価と少しかけ離れているので一番、変動させやすい利益を2割と考えると23250円となって販売価格23980円と似たような数字になります(かなりキツイ商売ですね、私の経験した業界だと開発、製造元で2割は固いです)。

こうして考えると定価23980円は割と適正な価格だと思います。もちろん数が数が多く売れれば一個あたりで負担する経費が安くなるのでより儲かるのは全ての製品で同じです。

こうして考えるとやはり自社で企画、開発、生産、販売できる方がお得ですよね。

かなり大雑把な計算ですが機械設計者の頭の中では設計と同時にこのような金勘定を常にしています。

最終的には部品毎にコストシートがメーカーさんから提出され、そのシートに投資額の償却費(金型代、設備費とか)、材料費、人件費(管理費)、加工費など詳細に書かれていて、それらのコストを積み上げて製品全体のコストを計算します。

ちなみに新製品の購入のコツですがよく言われている初期ロットはやめとけ見たいなのは実際にあります。

やはり市場に出てからじゃないとわからない不具合、トラブルは必ずあります。

ただし初期ロットは工場で初物なのでトライアル的に丁寧に組んでいるのは間違い無いです(検査体制も平時の量産より厳重、場合によっては設計者が立ち会います。私も良く現場に行きました)。しかも金型、機械加工の刃具などの設備が新しいので成形も非常に綺麗です。

なので敢えて私は初期から3ロット目くらいまでを購入することを薦めします。組み立て、成形も一番、綺麗な状態です。初期不良に当たってもほとんどの場合はメーカーが無償対応してくれるので手間がかかるだけです。

逆にたくさん作った後だとへたった金型での成形バリ、樹脂だとヒケなどが出たり作業に慣れてきて適当になってきます。

どんな製品にも当てはまる工業製品の旬があるので参考にして見てください。

長くなりましたが豆知識です。

要対策場所とまとめ

分解した全体的な印象としては部品自体の仕様は管理豪華なものの加工のバリ取り、誤組みなどがあり日本製に比べると少し及ばないという感じです。

また日本仕様への追加部品であるオリフィスも絞るにせよ形状があまり良くなく圧力損失が大きそうな感じでした。優秀なオリフィスは圧力低下を最小限に抑えて流量を減らします。

更に純正のままかいじったのかは分かりませんがホップアームの設定が非常に良くないです。ホップ調整量0の状態でアームとパッキンの間に0.5〜1mm程度の隙間があるので弾ポロしたりホップ調整量が無駄になっています。

次にレビュー、分解の中で見つけた改善点をまとめて行きます。

要改善点

・初速が少し低い、安定しない(0.2g弾でホップちょい掛け、マガジン温度29℃、室温22℃でMAX75m/s)

・ホップ調整0の時の弾ポロ

・ホップが弱い

・トリガーが思い、動きがざらつく

・スライドの動きが渋い

・セーフティの動きが硬い

・誤組みの修正

となります。

書き出すとそこそこの数がありますね(^^;。

まあ、箱だしでも十分に使えるのですが価格を考えるともっと良くしたい気持ちが出てきます。できればマルシンさんのFive-seveN並の性能にしたいなあと思います。

ほとんど自己満足の世界になります。

次回からは改善点を踏まえてカスタム、調整を行なって行きます。良かったらみて下さい。

LAYLAX SIGAIR Proforce M17 CO2 GBB カスタム、調整 その1 (SIG P320)

・LAYLAX SIGAIR  Proforce M17 CO2 GBB コヨーテブラウン
課題はあるものの良い商品です。また米軍正式採用ではこれが唯一のモデルアップなので貴重です。

・LAYLAX SIGAIR. Proforce M17 CO2 GBB  予備マガジン
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・LAYLAX ハイバレット CO2ガス 6本パック
6本だとあっという間だと思いますが一応紹介します。

・LAYLAX ハイバレット CO2ガス 30本パック
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  • この記事を書いた人

kazubara

輸送機器メーカーでの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計知識を伝道します。また職歴を活かしてエアソフトガンをエンジニアリング視点で考察して行きます。

-LAYLAX SIG AIR Proforce M17 CO2 GBB

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