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Kazubara
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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。仕事などのご依頼は下のお問い合わせボタンからご連絡下さい。

バトン BG-17 CO2 GBB(グロック17 GEN.5) ファーストロット 分解 スライド編

今回は以前に紹介したバトン BG-17 CO2 GBB(グロック17 GEN.5) ファーストロットの分解をしていきます。

執筆時点(2023年2月4日)でちょこちょこトラブルが出ているようなので私の元エンジン設計者の観点から各部品をチェックしながら進めていきます。

またカスタムの方向性も考えながら進めていきます。

ちなみに今回、分解する製品は自分で試し撃ちで300発程度使用した状態です。

目次

スライドの分解

スライドのフィールドストリップをしていきます。

スライドをコッキングしてから写真のテイクダウンレバーを押し下げます。

スライドが取り外せます。

スライドの中身を見ていきます。

リコイルスプリング

リコイルスプリングを見ていきます。

実物同様にダブルスプリングになっています。樹脂とゴムの衝撃バッファーがついています。

ちなみにこのようなスプリングが2重になっていると変異に対して荷重が常に変化する不等バネ定数スプリングになります。メリットとしては単純にバネが2つで荷重が大きなるのと不等定数なのでバネが高速で動いた時に共振しづらくなります(バイーンなどの音が共振)。

これはよくある手法で超高回転型エンジン(例えばレブカットが15000rpmとか)だとバルブスプリングに不等ピッチスプリングのダブルを使ったりします。

ただ疑問なのが現代であれば技術が進んでいて一本のスプリングでも不等ピッチ巻きで対応できるしそもそも連射スピードが遅いハンドガンで採用するのが謎です(自動車エンジンのバルブのダブルスプリングも激減した)。

次に作動状態です。

手で押し込んだ感じはなかなか強めの荷重になっています。

執筆時点でリコイルスプリングのスプリングガイド(樹脂パーツのスプリングの芯の部分)が折れた方がいるようです。

個人的な考察としてはMOSスライドによってドットサイトの重量物をスライドに乗せた時の作動性を保つためにスプリング荷重を高めに設定していると思うのですがそれが仇となって壊れたような気がします。

またスプリングは真っ直ぐに組まないと伸び縮みする際に直線的ではなく蛇行しながら動きます(スプリングの揺動)。その蛇行する動きがガイドへの横荷重(スラスト荷重)になり破壊へと繋がります(基本的にガイドはスラスト荷重が掛からない想定)。

なのでバネの基本の真っ直ぐに組むことが出来てなかった可能性があります(当たり前のことですが量産だと難しい)。

似たようなトラブルの例として自動車エンジンのバルブスプリングは真っ直ぐに組まないとエンジンがすぐにクラッシュします。なのでスプリングの座の平坦度、直角度などの幾何公差でかなり厳しい管理をします(バネは奥が深いです)。

なので現時点で対応するならスプリングを荷重の低いものに変えるかスプリングが真っ直ぐになるように丁寧に組み込むかのどちらかだと思います(丁寧に組むだけでもかなり有効)。

特にこの部品はフィールドストリップで気軽に取り外すことが多いと思うので組み込みの際に少し気を使うだけでだいぶ変わってくると思います(真っ直ぐに組まれているか確認することをお勧めします)。

また折角のMOSですが重いドットサイトを乗せるとスプリングの負荷もそれだけ上がるので軽めのドットサイトを選択した方が良いと思います。

いずれにせよ近いうちに対策されそうな場所だと思います。

私の対応としてはバネは変更せずに丁寧に真っ直ぐになるように組み直すことにします。

バレル周り

次にアウターバレルを見ていきます。

メタル(アルミの鋳物)でした。

メタルアウターバレルなので恒例の安全対応の穴が下側に空いています。

このアウターバレルが削れる現象も起きているようですがアルミの鋳物は硬度がかなり低い(HB100程度)の仕方がないかもしれません(Tー6、Tー7処理でもあまり硬くならない)。

展伸材(AXXXX、いわゆるジェラルミン)だと良いのですがコストがかなり上がるので仕方がないと思います。

次にチャンバーを取り出していきます。

チャンバーはアウターバレルから引っこ抜きます(そこそこ力が必要です)。

取り出したチャンバーです(既にネジを外してしまいました)。

チャンバーを開けていきます。

ホップの調整機構はかなりシンプルで古典的な機構でした。

チャンバー内の各パーツを見ていきます。

ホップアームです。

正面です。

以前に紹介した同社のBMー45のアームと形状は同じですが押し込み部の角度がかなり異なります。

これはホップパッキンがBMー45 3rdロットではTKーWFだったのがBGー17ではBNパッキンに変更したからだと思います。

なのでこのパーツは互換無しになるのでTKーWFパッキンに変更する場合はホップアームもセットで必要になります。逆も同じです。

次にホップパッキンです(BNパッキン)。

色が青いのは識別のためだとおもます。

ホップの凸形状です。

バトンさんでよく使われていたTKーWFパッキンは長掛けの2股形状でかなり凝っていましたがBNパッキンはシンプルなコブ形状でした。

個人的には長掛けが好みですがホップアームの形状が長掛けに適していないのでシンプルなコブ形状に変更したと思われます。

次にインナーバレルです。

ホップ窓部。

材質はアルミのパイプ(引き抜きor押し出し)でホップ窓の形状は直角部が多く加工バリが多そうなのであまり好みじゃありませんでした(BMー45も同じ)。なのでインナーバレルは社外品に変更していきたいと思います。

先端部。

先端部はテーパーなどの加工はなくシンプルな筒になっています。

インナーバレルの諸元は計測したところ内径6.05mm、長さ97mmでグロックの標準的なサイズなので適合品は多そうです。

ブローバックエンジン

次にブローバックエンジンを外していきます。

まずはスライド上部のMOSのカバーを外します。

カバーを外すとノズルリターンスプリングが出てきます。

スプリングを飛ばさないように気をつけながら取り外します。

次にブリーチを固定しているネジを外します。

これでブリーチが取り外せます。この時にエキストラクターも外れるので無くさないように注意です。

ここから各パーツを見ていきます。

ブリーチ及びピストンカップ。

ピストンカップはMOSによって高さの制限があるため円形上ではなく台形形状でした(LAYLAXさんのM17と同じ)。

ピストンカップの面積はおおよそ台形換算で$ 122.8mm^2 $だったので円形上だとφ12.5〜13mm相当になります。最近の流行りのφ15mmに及ばないものの本モデルは炭酸ガスにより高圧なので面積が少し小さくても問題無いと思われます。

ちなみに本ブログで紹介したバトン BM-45はφ14mmだったので単純なリコイルの強さはBMー45のが強く感じます(スライド重量など他にも要因はあります)。

この辺はMOSのために工夫した感じがします。

次にブリーチを上から見ていきます。

下側です。

ブリーチはアルミの鋳物でできているようです(比重的に亜鉛では無いと思う)。MOSのためにスペースが少ないので肉厚が薄い部分がありますがハンマーが当たる部分は2.6mmの肉厚があるので簡単には割れないと思います。

ただしアルミの鋳物で柔らかい(硬度はHB100くらいだと思う)なのでハンマー部の鉄部品(硬い)と接触する部分は削れて行きます。ただしこの削れは本モデルに限らずガスブロだと多々あることなのでブリーチの耐久度は普通だと思います。

次にノズルを見て行きます。

ノズルに関してもMOS採用により高さ方向のスペースが限られるため工夫している感じがします。

特に気になるのが給弾の役割をするタペット部の高さが低いです。ただタペットは弾を押し出す機能で材料にかかる荷重は圧縮応力がメインなので耐久度は大丈夫だと思います。ただし組み間違え等で横荷重などが加わると従来のガスブロよりは弱いので注意が必要な部位だと思います。

ノズルを後ろから見て行きます。

フローバルブはピンで固定されているようです。

ノズルを分解するためにピンを抜いて行きます。

・シグネット ピンポンチセット
高級ブランドではありませんが、自動車業界ではコスパが良い中級ブランドでおススメです。しかも安いです。

・イーグルフォース メンテナンスベンチブロック ハンドガン用
あるとかなり便利です。しかもハンドガン用で長モノにも十分、対応できるので重宝します。むしろ同社のM4用は個人的に必要性を感じませんでした。

ピンを抜くとフローバルブが出てきます。

フローバルブは最近、流行りの回転防止がされています。ここでちょっと気になるのが炭酸モデルの割にフローバルブスプリングが長く荷重が強めでした。

炭酸ガスだと圧力が高く初速が高めになるので基本的に柔らかくて短いスプリングが多いので意外でした。

ここまででブローバックエンジンの分解が終わりです。

最後にブローバックエンジン部品の全体像です。

スライド

最後にドンガラのスライドを見て行きます。

スライドはバトンさん恒例のナイロン樹脂なので基本的に頑丈そうです。

スライドが割れそうな場所を細かく見て行きます。

まずはブリーチ挿入部(スライド後部のセレーションの裏側)

ここはバトンさんの経験が活きていてしっかりと肉盛りして強度を稼いでいるの大丈夫そうです。

次に廃莢ポート部。

ガッツリと肉が持ってありますので大丈夫そうです。

最後にスライド先端部(スライド前方のセレーションの裏側)

基本的に肉が盛ってあって大丈夫そうですが金型の割面が交わる所は少しだけ弱いかもしれません。

なのでこのスライドが破損する場合は次の写真のようになると思います。

ただしこれは割れた場合の予想なだけでこのスライドが弱いわけではありません。むしろこれまでの経験からかなり対策を盛り込んでいるように見えます。

これでスライドの分解は完了です。

まとめ

スライドの分解を終えて見ての感想ですがMOSに苦労しながらも工夫しながら上手くまとめているように見えました。

やはりMOSを採用するとブローバックエンジンスペースの高さ方向がかなり制限が出てくるので苦労したように見えます。

基本的にハイレベルな設計ですが個人的に気なった部分は次の2点になります。

気になる部分

・リコイルスプリングが強い→もしかしたらスプリングガイドの破損の可能性があるかも

・ブリーチの一部の肉厚が薄い→意図せぬ荷重が掛かると割れるかもしれない

いずれの箇所も今までにないMOSを採用したことに起因するのでチャレンジ項目となり過去のデータが使えない部分なのでどうなるか予想は難しいですが気になりました(MOS以外の部分は完成度がかなり高い)。

またこの部分はMOSに重いドットサイトを乗せるとモロに負荷が上がる部分なので注意したほうが良さそうです。

上記の課題を含めてカスタムの方向性は次のように進めようと思います。

カスタムの方向性

・インナーバレルの交換(ホップ窓の加工がキレイなもの)

・リコイルスプリングの組み直しorスプリングカットorスプリング交換

・各摺動部の研磨、グリスアップ

以上、スライドの分解でした。

次回はシャーシ部分を分解しながら見て行きたいと思います。

もし興味がある方はガスブロの作動メカニズムを解説しているので覗いて見て下さい。

・バトン BG-17 CO2 GBB(グロック17 GEN.5 MOS)
通販だとハンマーの対策前後が分からなさそうです。アマゾンだと直接、バトンさんへ飛ぶので問い合わせて確認しても良いかもしれません。

・バトン BGー17 スペアマガジン
耐久性が期待できそうなマガジンでした。

・バトン(PUFF DINO) CO2 12gカートリッジ
純正のボンベです。メーカーはPuff Dinoですがバトンさんが正規代理店で純正扱いになります。3ヶ月の保証を受けるにはこのボンベでないとダメのようです。6本、50本を選べます。

・マルシン CO2 12gカートリッジ
値段、品質のバランスはマルシンさんが一番だと思います。5本か30本のセットが選べます。ただしバトンさんの3ヶ月保証は受けらなくなります。

個人的なお勧めで私はエアソフト本体やパーツ関連の多くをアマゾンのプライム会員に入って購入しています。

意外と本体、パーツ共にラインナップが充実していて最安値では無いもののそこそこの低価格で安定的に購入できるので重宝しています(小物だと買いに行くのがめんどくさいので重宝)。

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