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Kazubara
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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。仕事などのご依頼は下のお問い合わせボタンからご連絡下さい。

初心者でもわかる材料力学5 円環応力、トラスってなんだ?(嵌め合い、圧入の基礎、トラス)

今回は前回の熱応力での最後の案内の通り円環応力と簡単なトラスについて説明していく。

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また初心者でもわかる材料力学を順に学びたい人はこちらの索引からどうぞ

前半の円環応力は機械設計に欠かせない圧入、嵌め合いという部品同士の結合に使う代表的な手法の基礎になるので是非、理解して欲しい。

後半部のトラスに関しては、本来は曲げ応力や梁のたわみが終わってから説明するのが望ましいのだがリクエストがあったのと大学の試験でよく出るパターンがあるので解説する。

では、始めよう。

目次

円環応力の課題設定、圧入の意味

これはすごく簡単で圧入とは軸と穴の空いた円盤を用意して円盤の穴に軸を通すことである。その際に円盤の穴の径は軸の径より狭い。

つまり無理矢理、穴に軸を入れる。

そうすると多少の力では、軸は動かなく固定される。

これを圧入という。

この時の穴の径と軸の径のダブリ量を締め代と呼び、設定はJISで嵌め合い公差と言われるもので規定されている。

まあ御託は置いといて図でみてみよう。

こういう感じだ。

真面目な話をすると治具を作成し円筒部品を固定してプレス機で軸を押し込むのが一般的な圧入のやり方である。

これから説明のために円環の各寸法の設定をしよう。円環の穴とが外周の間の真ん中の半径rとし円環の肉厚はtで長さはlとしよう。

この時に肉厚tは半径rに比べかなり小さい。

では実際に円環の応力を求めて行こう。

円環の応力

ではまず軸が圧入された場合の円環の変形を考えてみよう。

機械設計では細かい計算などに入る前に物体の動き、変形などを大まかにイメージすることは、とても大切なことなので考えるクセをつけよう。

狭い穴に太い軸を無理矢理に入れるので円環は膨らむ。膨らむ方向は、径方向と円周方向のどちらも膨らむ。長さ方向は変形しないことに注意しよう。

本当は軸の方に関しても潰れて圧縮されるのだが今回は円環応力の説明のために円環だけに着目する。後に別途、圧入計算という項目をつくってしっかり説明する。

変形のイメージができたところで次に円環にかかる荷重を考える。

軸は円環の穴を一様に等しく押すので円環の穴の単位面積当たり(例えば$ 1mm^2 $ごと)にq(N)かかると考えてみよう。

このような荷重を等分布荷重と呼ぶ。今回だと等分布荷重q(N/$ mm^2 $)となる。

では、次に力の釣り合いを考えるのが定石だが、今回みたいな荷重が広く分布していると全体を一度に考えるのは難しい。

そこでねじり応力でも使ったように一部の微小区間を切り出して考えて後に足し合わせるのだ。

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では円環の一部を切り出してみよう。

まずは円環から半径rから微小角度dθ分のバウムクーヘンみたいなのを切り出す。

次にバウムクーヘンは長さがlあるので長さ1だけ切り出す。

そうすると半径rの角度dθで長さ1の超小さいバウムクーヘンができる。

この切り取った形で力の釣り合いを考える。

まず圧入によって発生した等分布荷重qによって径方向にq×r(半径)×dθ(角度)×1(長さ)の力がかかる。

次に円周方向にも引っ張られるので円周方向の力をここでTとし考えると力の釣り合いは次の図のようになる。

力はベクトルなのでそのままでは向きが異なって足せないので円周方向力Tを円周方向と径方向に分けると次に式が成り立つ。

$ qrdθ-2×Tsin(\frac{dθ}{2}) =0 $

ここでちょっとずるいのだが微小区間なのでdθがとても小さいのでsin(dθ/2)≒dθとすると

$ T=qr $

となる。

ここまでで力の釣り合いがわかってので内力である応力を考える。

力の釣り合いを見ると円周方向に引っ張られているので円周方向に引っ張り応力が発生するので次の式が成り立つ。

微小区間の断面積Aは円環の肉厚t×単位長さ1で求まる。

$ 応力σ = \frac{T}{A(断面積)}=\frac{qr}{t} $

この応力をたが応力というのだが名前は、どうでもよくてこの応力が円環の材料の降伏点以下でないと狙った圧入で固定される力が発揮されない。

まあこの応力が引張強度以上だと軸を入れている途中で円環が割れる。

とても重要な応力なのでよく理解しておこう。

本来では圧入の計算では軸と円環の穴の変形量をポアソン比や弾性係数を使って求めて今回で説明した等分布荷重qを求めるのだが圧入に関しては、とても重要でこれだけでは説明しきれないことがあるので別途、必ず専用項目を作って説明する。

それはさて置き、応力が求められたので歪みも求める。

円周方向の応力なので歪みも円周歪みεと表し円環の材質の弾性係数をEとすると次の式が成り立つ。

$ 円周歪みε =\frac{σ}{E}=\frac{qr}{Et} $

また円環の変形後の平均半径をr’とすれば次の式が成り立つ。

$ 円周歪みε=\frac{2πr’-2πr}{2πr}=\frac{r’-r}{r} $

これの意味は、圧入前後で円環の寸法を計測しておけば歪みがわかり発生応力が管理できるということである。

この特性から圧入を使う場合は、圧入前後で径を計測しておくと良い、というよりも絶対にしておくべきである。

以上が円環の応力、圧入の基礎の説明を終わりにする。

次にトラスの説明をする。

トラスって何だ?

ではまずトラスとは骨組み構造のことをいうのだが次の図を見てもらった方がわかると思う。

なんか箱みたいな骨組みを押すのと箱の真ん中に棒を入れるのではどちらが変形が少ないだろうか?

こんな棒みたいなのをトラスと言ったり機械設計では補強リブなんて呼ぶ。

建築系ではとても大切なのだろうが機械では、そうでもない。

トラス以外にも物を支えたり補強したりする工夫は数多くある。でも当然ながら手数は増やしたいので知っていて損はないと思う。

では、図で紹介した箱みたいなのを材料力学的に表すと次のようになる。

各棒と棒の繋ぎ目を節点と言ったり節点でも回転したり固定されたりと色々あるが書き方がルールで決まっているだけである。

機械設計の設計図やレイアウトでは簡略化した図を使うことがほとんどないので(写実に表す)まあさほど重要ではないと思う。

各棒にかかる荷重や応力、歪みは今までの説明で一応、解を求められるが一例だけ紹介しよう。

トラスの解法例(不静定問題)

いきなり題名で見知らぬ名前、不静定問題なんて出てきたけどこれは簡単で例を解きながら説明していく。

まず例題を設定する。次の図のようなトラス構造で節点Oに荷重Pが作用する。

部材AO,BOの断面積をA1、弾性係数をE1とし部材COは同様にそれぞれA2、E2とする。

各部材の応力と変形を求めて行く。

例題はイメージできたかな?

早速、解いて行こう。

いつも言っているつもりなのだがまずは、変形のイメージを考えることが大切である。

式は二の次なのである。

では考えてみよう。

まあそれぞれ伸びるだけである。

ここで部材AO、BOに発生する引張力をP1、部材COに発生するのをP2とする。

さらに部材AO、COの伸びをλ1とし同様にBOをλ2とする。

イメージできたらいつものようにまずは外力の釣り合いを求める。

次の鉛直方向の釣り合いの式が求まる。

$ 荷重P =P2+2P1cos(θ) $

次に各部材の伸び量の関係式を立てる。

そうすると次の式が成り立つ。

$ λ1=λ2×cos(θ) $

力の釣り合い以外の物体の変形の関係式を求めないと解けない問題を不静定問題という。

大抵の場合は外力の力の釣り合いの式を立てれば後は内力である応力、歪みが求まる、これを静底問題と呼ぶ。

赤字で書いたが名前はどうでもいい。

単純に力の関係だけでは解けないなとわかったら物体の変形、特に伸びの関係式を立てれば大体の場合で解ける。

慣れればすぐに静底か不静定かがわかるが最初のうちにわからないのは仕方が無い。誰だって最初はあるのだ。

例題に戻ろう。ここからは歪みから各変形量、各荷重P1,P2を求めれば良い。

まずは弾性の関係から変形量が解ける。

$ λ1=\frac{P1}{A1E1}×\frac{l}{cos(θ)} $

$ λ2=\frac{P2}{A2E2} $

これを各部材の伸び量の関係式に代入すると

$ \frac{P1l}{A1E1cos(θ)}=\frac{P2l}{A2E2}×cos(θ).   P1=\frac{A1E1cos^2(θ)}{A2E2}×P2 $

これで力の釣り合いに代入するとP1、P2が求まる。

$ P1=\frac{Pcos^2(θ)}{(\frac{A2E2}{A1E1})+2cos^3(θ)}.    P2=\frac{p}{1+2(\frac{A1E1}{A2E2})cos^3(θ)} $

まあここまでくれば伸びとかは代入だけなのでここで終わりにする。

このようなトラスや応力を求めるのに静底や不静底問題とあるがさほど重要ではなく次のことを頭に入れておくことを勧める。

[st-step step_no=”1″]物体の変形のイメージを考える。[/st-step]

[st-step step_no=”2″]外力の釣り合いを考える。[/st-step]

[st-step step_no=”3″]必要であれば各物体の変位量(変形量)の関係式を立てる(不静定問題)。[/st-step]

[st-step step_no=”4″]弾性の関係から各変位量と応力の関係式を立てる。[/st-step]

[st-step step_no=”5″]必要に応じて応力や歪みなどを求める。[/st-step]

これで大体の問題が解けると思う。

弾性を忘れた方は、こちらをどうぞ。

[st-card myclass=”” id=”1197″ label=”” pc_height=”” name=”” bgcolor=”” color=”” fontawesome=”” readmore=”on” thumbnail=”on” type=””]

ここまで説明しておきながら機械設計において厳密解を求める力はさほど求められない。

ほとんどコンピューターシミレーション(CAE)で求めれば良い。

大切なのは、正しい変形や外力のイメージと材料力学を理解していることである。

よって計算ができないからと落ち込まないで欲しい。意味を理解することが重要なのだ。

さらにいうなら工学、機械設計で計算を進めていくと多くの場合、綺麗な色にならない、かつ、たいした意味もないのでなるべく取り扱わないで行く。

まとめ

長くなったがまとめる。

[st-mybox title=”円環応力のまとめ” fontawesome=”” color=”#ff0000″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#fffabe” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

・円環応力は機械設計で扱う圧入、嵌め合いの基礎になるので十分に理解して欲しい。

・変形のイメージは円環は膨らむこと、円周方向の応力は荷重に比例し肉厚に反比例することを理解して欲しい。

・機械設計で言い換えれば圧入の締め代が大きくて円環の肉厚が小さいと円環が割れるか塑性変形して使い物にならない。

・圧入前後で寸法は必ず押さえておくこと。後から測ろうとしても圧入してしまったらもう終わりだ。何度も痛い目に会っている。

[/st-mybox]

トラスに関して今回は、触りだけなのでまあリブのことかと思ってくれれば良い。

次回はようやく梁(はり)の解説に入る。材料力学も中盤に入るイメージだ。

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基本的に本内容の教科書は存在せず筆者オリジナルだが筆者が学生から使っている教科書を紹介する。

もう一点、機械設計で必須の本があるので紹介しよう。

はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。

またよく使う規格が載っているので重宝する。JISで定められて機械材料の特性が載っている。

多くの人が持っていると思うが持っていない人はちょっとお高いが是非、手に入れて欲しい。但し新品は高いので中古で購入を考えている方は表面荒さの項目が新JIS対応になっているのを確認することを強くオススメする。

さらにオススメしたいのがアマゾン キンドル アンリミテッドだ。アンリミテッドだと数多の本が月会費だけで読める(漫画〜専門書まで幅が広い)。

しかも流石、本屋が原点であるAmazonだけあって機械工学の専門書がそこそこ揃っていてかなり使えるサービスだ。

特に機械工学の専門書は高額になることが多いので少しだけ読みたい分野の本を眺めるのに非常に役に立つので是非、オススメしたい。

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また本ブログをキッカケとしてエンジニアとしてステップアップして大きな仕事を掴む手段の一つとして転職するのも一つの手だ。

やはり予算の大きい機械設計、規模が大きい機械設計、大きな仕事をする場合は日本においては大手に入って仕事をする方がチャンスの機会が多いと思う。

私も最終的に転職はしていないが自分の将来を模索していた時期に転職活動をしていくつか内定を頂いたことがある。

折角なのでその経験(機械設計者の転職活動)を共有できるように記事に起こしたので参考にして頂ければ幸いだ。

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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。

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