皆さん、システムズエンジニアリング(SE)をご存じでしょうか?
私の記憶では、以下のような流れで日本では話題になったと記憶しています。
- 2000年代 – Jaxaを始めとする一部の航空宇宙・防衛産業で導入され始める。
- 2010年代 – 自動車業界の一部で導入が検討され始める(複雑化する自動車開発対応、ISO26262対応)
- 2020年代 – ソフトウェア開発、都市開発、さらには政府のデジタル施策で導入され始める
2026年現在ではシステムズエンジニアリング(又はMBSE)の単語自体は、かなり多くの分野に広がっていると思います(ビジネス関係でも見かけることが増えてきた)。
ただし私の感覚としては、システムズエンジニアリングが広まったとは言え、まだ特定の分野、特にIT関係に多く見受けられます(自動車業界ではVプロセスが流行り続けてます)。
本来のシステムズエンジニアリングは特定の分野に特化した手法ではなく、広範囲に適用できる汎用的な手法です(そもそもが軍事の兵站、ロジティクスから始まった)。
実はビジネスシーンだけでなく普段の生活や自分の思考法のバージョンアップにも非常に有用な手法です。
今後、ますます重要になりそうなシステムズエンジニアリング(SE)について、私が業務で体験した実経験を交えながら解説していくシリーズを始めます。
システムズエンジニアリングと記載し続けるが面倒なので、ここからはSEと省略させて頂きます。ただし重要な注意点として日本の文脈で使われるSE(システムエンジニアなど)とは全く異なります。
今回は、記念すべき第一回目のシステムズエンジニアリングのすゝめです(構成的には第0回にあたります)。
システムズエンジニアリングとは?
システムズエンジニアリングを凝縮して簡単にまとめるのは非常に難しいので、INCOSEの言葉を借りてきます。
※INCOSEは国際システムズエンジニアリング協議会、International Council on Systems Engineeringの略)
成功するシステムを実現するための学際的なアプローチおよび手段
流石、学会の言葉です。抽象的すぎて具体的な内容はほとんどわかりません(雰囲気だけはかろうじて理解できるかな?)。
少し言い換えましょう。
複雑な製品・システムを要求から設計、製造、運用まで一貫して設計、実装、管理を行い、全体最適を実現する方法論
少しはマシになったでしょうか?
実際の歴史の具体例を挙げると第2次世界大戦やアポロ計画みたいな超巨大で複雑なプロジェクトを全体最適化して上手く行かせる方法論です(実際にアメリカはSEを使ってプロジェクトを成功させた歴史がある)。
ここでのポイントはシステムと方法論であることが非常に重要なので簡単に説明しましょう。
SEにおけるシステムとは?(そもそも英語のシステムの本当の意味)
システムという言葉は、日本でも頻繁に使われる言葉ですが、かなり意味は曖昧です(そもそも誤訳だと思う)。
ここでSEにおけるシステムの意味を判明させましょう。
まずINCOSEの言葉を借りてきます。
特定の目的を達成するために、相互作用する要素の組み合わせ
流石です。再び意味がよくわかりません。
具体例を使って説明しましょう。
例:自動車というシステム

自動車は多くの個々の要素(エンジン、タイヤなど)が相互に作用しながら人が便利に移動できる目的を達成しています。つまり自動車はシステムと言えるわけです。
もう一つは日本政府をSEにおけるシステムで考えてみましょう(かなり簡略化した例です)。

日本政府も多くの個々の要素(内閣、各省庁など)が相互に作用しながら、国民の安定した生活を達成しようとしています。
※残念ながら個々の要素間の相互作用は少ないかも知れない(縦割り行政)
どうでしょうか?SEにおけるシステムの意味は理解できたでしょうか?
つまり、SEにおけるシステムとは、たくさんの相互作用する要素が集まり、一つの大きな塊となって目的の機能を果たすモノを示します。

小さな要素を個々のシステム(system)、又はサブシステム(sub system)と考えると、大きな塊はサブシステムの集合体(systems)なのでシステム・オブ・システムズなんて言われたりします(System of systems)。
※複数のシステムの集合体を扱うからシステムズエンジニアリングで複数形
日本の巷で使われるたシステムとは、全く意味が異なる言葉だということがよくわかると思います。ちなみにシステムの辞書的な日本語は系統、体系です。
※マスコミのシステムという言葉を間違えて使い続けてることが日本が再浮上できない大きな原因の一つだと思う。
SEは方法論である(解決策ではない)
次に重要なことはSEは方法論であるということです。この方法論であり”問題の答えが判明し解決する”ようなものではありません。
例えば”問題の答えが判明し解決する”ような代表例のシミレーションを考えてみましょう(実際にはシミレーションは答えでも問題解決策も出せない)。

SEはシミレーションのような手法とは全く異なり”問題にどのようにアプローチし、何を考え、何を実行すればいいのか?”を導くためのプロセスそのものになります(レイヤーが異なる)。
さらに具体例を出しましょう。
- 自動車の燃費を良くするためにエンジンの熱効率を40%にする
- 渋滞を解消するには道路の車線を増やせば良い
- 景気を良くするために補助金を配布する
どれも具体的かつ解決策になるのがよくわかる思います(実際に問題が解決するかどうかは別)。
SEでは具体策ではなく下記のような解決へのアプローチを得ることが可能になります。
- 燃費改善をパワートレイン、空力、重量などに分解し、それぞれの影響度合いを評価し、優先順位をつけて開発し全体最適化を図る。
- 渋滞問題を、交通量、信号制御、道路構造、公共交通など多面的に分析し、最適な対策を選定する
- 景気改善という目的を消費促進、投資拡大、雇用創出などに分解し、それぞれの効果とリスクを評価し、財政政策、金融政策、規制緩和など複数の政策手段を組み合わせる
これらから理解できるようにSEの方法論は”どうやって答えを見つけるか”のプロセスです。
この方法論がなぜ、重要かというと現代の複雑で高度な問題には、唯一の正解が存在することはほとんどありません。
例えば、燃費の良い車を作るという目標に対して以下のような技術が思いつきます。
- エンジンの熱効率を上げる
- 車体を軽量化する
- 車体の空力を改善する
- ハイブリット化する
- 電動化する
などなど
どれも正解ですが、現代の複雑で高度化する問題の要求は単一策で乗り越えられるレベルは遥かに超えています(排ガス規制のEuro7など)。
もはや単一策では対応不可能でコスト、時間、技術的な難易度、市場ニーズなど、様々な限られた条件の中で”どの組み合わせで最適化し、問題を解決できるか?”を見つける必要があります。
SEは、この最適解を見つけるプロセスを体系化した方法論です。SEは”ベストプラクティス”なんて呼ばれたりするのも方法論だからです。
これで、なんとなくSEが方法論であることが理解できたでしょうか?
SEのすゝめ
ここでは私がSEをすゝめる理由を解説していきます。
ずばり私がSEを推す理由は”複雑さの爆発的な増大“への非常に有用な対応方法の大きな一つだからです(高度化する自動車などの製品開発や政策など)。
基本的に人間社会は複雑さを増し、現代では加速度的に増しています。
自動車を例にとって部品点数だけを比較しても以下のような増加数です。
- 1960年代の自動車:約3,000部品、機械中心

- 2020年代の自動車:約30,000部品、機械+電気+ソフトウェア+通信

部品数だけで10倍ですが、各部本の組み合わせなどの複雑さは100倍以上になってしまいます(部品間の相互作用が指数関数的に増加するため)。
この複雑化する原因は、人が自由に移動するという古典的な自動車の機能に、様々な領域の機能が時代が進むにつれて増加していくからです。
- エアバッグ:運転席、助手席、サイド、カーテンなど多数配置
- 衝突被害軽減ブレーキ:カメラ・レーダーで障害物を検知し自動でブレーキ
- ハイブリッド・電動化:エンジンとモーターの協調制御、回生ブレーキ
- スマートフォン連携:Apple CarPlay、Android Autoによる統合
- ADAS(先進運転支援):車線維持、ACC、自動駐車など複数機能の統合
などなど
以前だったら機械工学系の人達だけで自動車の開発・製造ができましたが、現代では機械だけでなく電気電子、ソフトウェア、通信などの様々な領域の人達が必要になって来ます。
- 2人:1パス
- 5人:10パス
- 10人:45パス
- 50人:1,225パス
- 100人:4,950パス
※人数に寄るコミニケーションパスの式:n(n-1)/n
さらには現代の自動車は販売したら終わりではなくて、ユーザーが利用している間もメンテナンス、修理、市場不具合対応(リコールなど)、車検などのフォローが必要不可欠になっています。
また昨今の環境問題の高まりからリサイクル性などの廃棄のことも考慮しなければなりません(もはや単純にスクラップにして捨てることは法律で不可能になった)。
ここまでの自動車の簡単な考察だけでも相当に複雑化していることが理解して頂けたと思います(考えるのも嫌になるくらい複雑)。
この複雑化は自動車に限った話ではなく、医療、都市インフラ、製造業、IT産業、サービス業、さらには政策立案まで、ありとあらゆる分野で複雑さが増大しています。
なぜSEが複雑さへの対応として有効なのか?
では、この複雑さに対して、なぜSEが有効なのでしょうか?
従来型の開発では、各部門が経験と勘、各部門間の擦り合わせで開発を進め、最後に統合してテストで確認というアプローチでした。
自動車でも部品数が3,000個で、関わる人数が数十人ならなんとかなりました(実際に1960年代の自動車開発は数十人レベル)。
しかし、部品数が30,000個、関わる人が数百人、専門分野が10以上となると、もはや経験と勘、擦り合わせでは限界です。
- 全体を俯瞰する:部分ではなく、システム全体を見る
- 要求から始める:”何を作るか”を明確にしてから”どう作るか”を決める
- トップダウンで分解:システム全体を、サブシステム、コンポーネントへと段階的に分解する
- サブシステム間の繋がりを明確化:各部分の境界、繋がりと責任範囲を事前に定義する
- 継続的に統合・検証:早い段階から小さな統合を繰り返し、徐々に統合を大きくして問題を発見する
このSEアプローチによって得られるメリットは下記のようなことが代表例になります。
- 部分最適ではなく全体最適が可能
- 異なる領域間のコミュニケーションが効率化(共通言語ができる)
- 致命的な手戻りが激減
- リスクの早期発見
など
つまり、SEは複雑さを管理可能なレベルに分解し、統合するための体系的な方法論だから複雑化する問題に対して非常に有効な手法になっています。
とはいえ、”本当にそんなに効果があるの?”と思われるかもしれません。
実際、SEは第二次世界大戦中の兵站管理から始まり、アポロ計画で大きな成功を収め、現代まで発展してきた歴史があります。
次章では、SEがどのように生まれ、どのような成功(そして失敗)を経験してきたのか、その歴史を見ていきましょう。歴史を知ることで、SEの本質がより深く理解できるはずです。
SEの歴史
SEがなぜ重要かをより理解するために、その歴史を振り返りましょう。実際の歴史を知ることで、SEの効果がより深く楽しく理解できるはずなので簡単に見て行きましょう。
1940年代:兵站・ロジスティクスからの発展(WWⅡ)
SEの起源は、第二次世界大戦中の兵站(ロジスティクス)とオペレーションズリサーチにあります。
第二次世界大戦では、膨大な物資・兵員を複数の戦線に効率的に配分する必要がありました(欧州戦線、太平洋戦線、アフリカ戦線など)。



限られた輸送船、補給路、燃料、弾薬をどう配置すれば作戦全体が最適化されるか―この問題に対して、数学的・統計的手法を用いたオペレーションズリサーチが発展しました。
※オペレーションズリサーチは英軍の対潜作戦の最適化などで実績を上げた
この兵站管理では、以下のようなシステム思考が必要不可欠でした。
- 複数の条件(船舶数、港湾能力、輸送時間、消費量など)の同時最適化
- 様々な部隊間、生産施設、輸送などの依存関係の管理(補給が遅れると前線の作戦が止まる)
- 全体目標(作戦成功)から逆算した資源配分
これが、後のシステムズエンジニアリングの基礎となる”システム全体を俯瞰し、要素間の関係を管理する”という考え方です。
※個人的には日本はWWⅡでロジティクスで負けた部分が大きかったからこそ、現在の日本が学ぶ最優先事項だと思う。
1940年代後半:技術システムへの応用
戦後、この兵站で培われたシステム思考が、大規模な技術プロジェクトに応用され始めました。
- ベル研究所での電話交換システムの開発
- レーダーシステム
- 防空システム
これらは複数の技術分野を統合する必要があり、単一の専門家では全体を把握できず、体系的な管理手法が求められました。
1960年代:アポロ計画での成功
SEが体系的な方法論として確立したのが、アポロ計画(1961-1972年)です。

アポロ計画は、人類史上最も複雑なプロジェクトの一つでした(現代と比較しても人類史最大級)。
- 関わった人数:約40万人
- 関わった企業・組織:約2万社
- 開発されたサブシステム:数千
- プロジェクト期間:約11年
- 予算:約250億ドル(当時、現在価値で約20兆円)
この規模のプロジェクトを成功させるには、従来型の”職人的アプローチ”では不可能でした。40万人が”なんとなく”で動けるわけがありません。2万社が”阿吽の呼吸”で協力できるはずもありません。
そこでNASAはWWⅡから発展させたシステム思考をSEとして確立し、実際にアポロ計画で実施していくことになります(実際にはプロジェクト期間の11年間かけてSEを構築していった)。
まず要求管理では、トップレベル要求である”月面着陸と安全な帰還”から、数千の詳細要求へとブレークダウンし、すべての要求に追跡可能性(トレーサビリティ)を持たせました。
- トップレベル要求(月面着陸と安全な帰還)から、数千の詳細要求へのブレークダウン
- 要求の追跡可能性(トレーサビリティ)の確保
”なんとなく月に行く”ではなく、”この要求を満たせば月に行ける”という明確な道筋を作ったのです。
次に、その要求を満たすために何が必要かを考えました。月に行って帰ってくるには何が要素として必要か?を細かく定義して、アポロ計画全体のシステム構想が固まりました。
- 宇宙に打ち上げる巨大で強力なロケット
- 宇宙空間を航行する宇宙船
- 月面に着陸する着陸船
- 地上から制御する管制システム
- 宇宙と地上を繋ぐ通信システム
などなど
しかし、この巨大なシステムを一つの塊として開発することは不可能です。40万人が一つの塊として動くことはできません。
だから、このシステム全体を実現可能な単位に分解しました。各サブシステムを明確に定義し、責任範囲を明確化したのです。
- 司令船
- サターンVロケット
- 月着陸船
- 地上管制システム
- 通信システム
などなど



これで、ロケットチームは”宇宙に打ち上げる”、司令船チームは”宇宙空間での移動と帰還”、月着陸船チームは”月面着陸”と、役割を分担できました。
ただ、分解しただけでは終わりません。これらのシステムは独立して動くわけではなく、互いに接続し、データをやり取りし、協調して動く必要があります。
- ロケットの司令船はどう接続するのか?
- 司令船と月着陸船はどうドッキングするのか?
- 地上からどうやって制御するのか?
- 地上と宇宙、月にいる宇宙船とどうやって通信するのか?
などなど
だから各システム間の接続部(物理、電気信号、通信、データなど)を厳密に定義し、徹底的な管理を行いました。”後で合わせればいいや”は絶対に許されません。
- 各システム間の接続部(物理、電気信号、通信、データなど)を厳密に定義
- インターフェースコントロールドキュメント(ICD)による徹底的な管理
さらに、このような巨大プロジェクトでは必ずリスクが存在します。技術的リスク、スケジュールリスク、コストリスクを継続的に評価しました。Apollo 1の火災事故という痛ましい犠牲を経て、安全性の要求を全面的に見直しています。失敗から学び、システムを改善する。これもSEの重要な要素です。
- 技術的リスク、スケジュールリスク、コストリスクを継続的に評価
- アポロ1の火災事故後、安全性の要求を全面的に見直し
などなど
そして最後に検証・妥当性確認です。各レベルでのテスト計画を立て、システム統合テストで全体機能を確認しました。
- 各レベルでのテスト計画
- システム統合テストでの全体機能の確認
→作りっぱなしから本当に要求をみたしているか?を確認する
結果として、アポロ計画は1969年7月20日、人類初の月面着陸に成功しました(現代でも人類史上最大の偉業の一つ)。


これは、SE手法の有効性を証明した歴史的な成功になり、以後のアメリカでSEは民間、軍事、政府などあらゆる分野で標準的な手法になっています(現在、日本以外のG7の政府、企業などはSEが標準思想になってる)。
本シリーズの構成とNASA Handbook
ここまででSEの重要性を理解したところで、本シリーズでSEをどのように解説していくかを説明します。
本シリーズでは、NASA Systems Engineering Handbook(NASA/SP-2016-6105 Rev2)を全体に渡っての翻訳をベースに私の実体験からの解説、図や表を書き加えて紹介していきます。

- SEの全体像が整理されており、理論から実践まで網羅されている
- アポロ計画、スペースシャトル、火星探査など、実際のプロジェクトでの経験が凝縮、理論だけでなく具体的な手法とツールが紹介されている
- NASAの公式サイトから無料でダウンロード可能(英語版)
- 宇宙開発だけでなく、自動車、航空機、医療機器、インフラなど、幅広い分野で参照されている
このNASA Systems Engineering Handobookには、NASAのアポロ計画以降、極めて複雑で失敗が許されないプロジェクトを数多く成功させてきた経験値が凝縮されて詰まっています(もちろん失敗事例もありますが、その教訓も体系化されています)。
- アポロ計画:月面着陸
- スペースシャトル:再使用型宇宙船
- 火星探査:パーサヴィアランスなど
- ハッブル宇宙望遠鏡:軌道上での修理成功
- ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡:史上最大の宇宙望遠鏡



そもそもSEを規定して体系化したのもアポロ計画時のNASAですから、私の認識ではSEの根幹となる文書そのものだと思っています。
実際に私が業務でSEに携わった時の一番の教科書は、この”NASA Systems Engineering Handbook”でした。
ただし、このNASA Systems Engnieering Handbookの唯一にして最大の弱点は英語版しかありません(アメリカの国家機関だから当たり前ではあるが)。
2026年現代では英語が読める人の増加、様々なツールの発達で英語のみの資料に対し以前ほど障壁の高さはありませんが現場で直ぐに調べたい、習得に集中したい、仲間と共有しないなどのことを考えると、簡易な日本語で書かれていると非常に有用だと以前から思っていたので次回から実際に始めて行きます(私は英語版で読むと日本語に対し2~3倍は疲れる)。
※辞書的に使うことも想定すると日本語のが便利
さらに私が翻訳してサイトに載せる折角の機会なので自分の経験による解釈や比喩、分かりやすくした図や表の追加をやって行こうと思います。
まとめ
ここまででシステムズエンジニアリングの概要と可能性については理解して頂けたでしょうか?
複雑な製品・システムを要求から設計、製造、運用まで一貫して設計、実装、管理を行い、全体最適を実現する方法論
システムズエンジニアリングの概要がわかれば、狭いIT分野の範囲だけでなく広範囲に適用できる手法だと理解いただけたと思います。
※しつこいかも知れませんが、日本で平均的に使われるシステムという言葉とはかけ離れた大きな意味を持つ
実際にWWⅡ、アポロ計画などの超巨大な国家プロジェクトで鍛え上げられた手法です。
2026年現在でも日本を除くG7先進国では政府、企業などの期間となる考え方になっています。特に軍事分野では顕著であらゆる軍事オペレーションやF-35などの最新ステルス戦闘機の開発、運用はまさにシステムズエンジニアリングそのモノです。


またSEは単なる開発手法ではありません。
例えば政府の政策を見る時、”この政策は要求が明確か?各省庁の連携は取れているか?”と考えることができます。企業の不祥事報道を見た時、”これは部分の問題なのか、それともシステム統合の失敗なのか?”という視点が持てます。
ニュースでも開発遅延、プロジェクト失敗という言葉を聞いた時、SE的な視点があれば要求が曖昧だったのでは?、インターフェース管理が甘かったのでは?と本質的な問題が見えてきます。


そして何より、皆さん自身の仕事や生活にも応用できます。自分の担当業務だけを最適化するのではなく、全体最適を考える、関係者との相互作用を明確にする、リスクを早期に見つける、これらはSEの考え方そのものです。
本シリーズでは、このSEをNASA Handbookという教科書を使って、実践的に学んでいきましょう。
次回から、いよいよ本編に入っていきます。
付録:MBSEについて(Model-Based Systems Engineering)
本シリーズでは、SEの解説にあたってMBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)の図を使っていきます。
MBSEとは、システムの要求、設計、検証などをモデル(図やダイアグラム)を使って表現・管理する手法です。
NASA Handbookはテキストベースで書かれており、非常に体系的ですが、文章だけでは複雑なシステムの構造や関係性を理解するのに時間が掛かるので直感的に理解できるMBSEをフル活用しようというわけです。
よって本シリーズでは、NASA Handbookの内容をMBSEの図を使って視覚化し、理解しやすく解説していきます。※MBSEの詳細な考え方は、本編の中で必要に応じて解説していきますが、取りあえずはSEを図で表現する手法くらいの理解で十分です。
- システムズエンジアリングハンドブック 慶応義塾大学出版 監修:西村秀和
本サイトでも頑張ってNASAのハンドブックを監修していきますが、時間が掛かるので直ぐにでも全体を学びたい方はこの本がおススメです。私も持っています。



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