本ブログで次世代電動ガン 東京マルイ URG-I SOPMID BLOCK3のレビューを書く準備として実物のURG-I SOPMOD BLOCK3を調べていたら深みに嵌ってしまってそこそこの分量の情報を集めてしまいました。
本来ならレビューの一項目として書こうと思っていた内容ですが非常に分量が多く個人的に興味深い内容があったので独立して本ページを作成することにしました。
折角なので東京マルイ 次世代電動ガンやその他のエアガンを使って実物のURG-Iについて開発の背景から実戦配備、実際の評価まで解説したいと思います。
なお本内容については私が個人的に海外サイト(公式からredditなど)を重点的に調べたものなので解釈の間違い、翻訳ミス、少し情報が古いなどがあり得ますがご了承ください。
※本記事はエアソフトガンの安全なホビー利用と機械工学観点からの教育的解説を目的としており、
暴力行為・武器の使用・改造・実用性評価・法令違反を助長するものではありません。
開発の背景
URG-Iは米軍が長年愛用してきたM4A1カービンの改良から生まれました。しかしその背景には既存モデルが抱えていた課題と特定の部隊からの強い要求がありました。
ここではURG-Iが登場するまでの経緯とその名称に関する混乱について解説します。
SOPMOD計画の進化と課題
事の始まりのSOPMODプログラムはアメリカ特殊作戦群(US SOCOM)隷下の部隊が使用するM4A1カービンやその他の小火器に対し任要求や個々の隊員の好みに合わせて構成を変更可能にするためのアクセサリーシステムとして1989年に構想されました。
M4AA1カービン用にはBLOCK Ⅰ、BLOCK Ⅱといったアクセサリーキット開発され光学照準器、レーザーデバイス、ライト、フォアグリップ、サプレッサーなどの標準化を進めました。

SOPMOD BLOCK Ⅱではダニエルディフェンス社製のRISⅡ(Rail interface systemⅡ)であるピカニティクワッドレールハンドガードが採用され、アクセサリー取付けの自由度と堅牢性が向上しました。

しかし2010年代に入るとBLOCKⅡ構成のM4A1カービンにもいくつかの課題が顕在化し始めました。
- 新型の5.56mm弾薬M855A1 EPR(Enhanced Performance Round)は従来のM855A1よりも高い腔圧を発生するので既存のガスシステムへの負荷が増大、特にサプレッサーを常時装着する特殊作戦部隊の運用では作動不良の増加、部品寿命の低下、射手へのガスの吹き戻しが増加した。

- RISⅡハンドガードは堅牢である一方で重量が重く、やや太いので長時間の携行や射撃姿勢における使いづらさや疲労などの人間工学的な問題が発生。

これらの課題は単なるアクセサリーの追加や変更といった従来のSOPMOD BLOCKの概念では解決が難しくなっていました。
必要とされたのはM4A1の作動機構に大きく関わるガスシステムと銃全体のエルゴノミクスに関わるハンドガード周りの根本的な改良でした。つまり単にアクセサリーを交換するのではなくM4A1アッパーレシーバーグループ自体の性能を向上させることを目的としたSOPMODプログラムの進化形とも言える動きでした。
この動きがURG-Iプログラム(Upper Receiver Group-Improved)へと繋がっていくことになります。
開発
URG-IプログラムはUS SOCOM全体の統一プログラムではなく、主にアメリカ陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)が主導する形で開始されます。
※US SOCOMは陸海空の全てのドメインの特殊部隊を持つ組織
陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)が主導する理由は隷下の部隊である第一特殊部隊コマンド、通称グリーンベレーや第75レンジャー連隊などが直面していた問題のM855A1EPR弾薬への最適化、サプレッサー常時使用時の信頼性向上、エルゴノミクスの改善といった要求に直接応えるためだったからです。


これらの要求への解決策は新しいアッパーレシーバーグループを開発し供給することでした(議会対策の意味もある)。

2017年会計年度の米国防総省予算教書にはUS SOCOM向けに426丁分の”ライフルアッパーレシーバーグループ(URG)”を調達する計画が記載されており、これがURGプログラムの初期の調達と考えれます。
同時に陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)がURGプログラムを主導した事実はUS SOCOM内での装調達における変化を示している可能性があり、従来のようなSOCOM全体で統一された大規模なBLOCKアップグレードを待つことなく特定の部隊が自身の運用要求に特化した改良をより迅速かつ柔軟に追求できるようになった可能性があります。
この変化によって各特殊部隊の多様な任務環境に対応するためにより多様なアプローチへ移行する可能性がありますが初期段階ではSOCOM内の異なる部隊間での装備の共通化レベルが低下する可能性があります。
このように特殊部隊間で所持している装備が多様化することはたびたび発生しており問題になっています(多様化→標準化→多様化の繰り返し、ベトナム戦争では特に酷かった)。

URG-I SOPMOD BLOCK3の名称について
新しいアッパーレシーバーグループの正式名称は”URG-I(Upper Reciever Group-Improved:改良型アッパーレシーバーグループ)です。
たまに誤解されることがありますが公式には”SOPMOD BLOCK3″とは命名されていません。
※SOPMOD BLOCKはアクセサリーを含めたシステム全体を指す
URG-Iを搭載したライフルはアクセサリーパッケージとしては依然としてBLOCK Ⅱの構成要素(光学機器、レーザーサイトモジュール、ライトなど)を使用していると見做されることが多いです。
しかしながら民間、クローニングコミニティにおいてはURI-I構成を非公式”BLOCK3″と呼ばれることがあります。M4カービンの主要なアップグレードが伝統的にSOPMOD BLOCKシステムと関連づけられてきていることを反映しています。
※クローニングコミニティとは軍用モデルの再現を試みるコミニティのこと
技術的にはURG-Iはアクセサリーの集合体ではなくアッパーレシーバーグループそのものの改良(ガスシステムとハンドガードがメイン)に焦点を当てている点、陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)主導で開始された点において従来のSOCOM全体でのアップグレードの概念とは異なります。
実際にSOCOM全体として”BLOCK3″は策定されませんでした。理由としては既に確立された調達ルートを通じて各部隊が必要な改良を行えるようになったことやSOCOM全体で統一された要求よりも各部隊固有の要求がゆせんされるようになったことが考えられます。
もしかしたらURG-Iの登場はSOPMODプログラムにおける従来の”BLOCK”という概念の終焉、もしくは変化を示すと言えるかもしれません。
URG-Iプログラム
URG-IプログラムはM4の性能向上を実現するため、陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)は明確な要求仕様を提示し、それを実現できるトップメーカーと協力しました。
ここではURG-Iに盛り込まれた主要な技術や開発の経緯を見ていきましょう。
USASOCの要求仕様と参加メーカー
URG-Iプログラムにおける陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)の要求仕様は下記の通り明確に既存のM4A1 BLOCKⅡからの改善を目指すものでした。
・M855A1 EPR弾薬使用時の信頼、精度向上
・サプレッサー使用時の使い勝手、信頼性向上
・BLOCK ⅡのRISⅡハンドガードと比較してエルゴノミクス性向上
・既存のM4A1のロアレシーバーとの互換性
・M-LOKハンドガードシステムの採用
など
特に重要視されたのがM855A1 EPR使用時の信頼性、精度向上を図るミッドレングス・ガスシステムの採用です。
※ガスブロックの位置のこと、ガスブロックの位置によってレシーバーに取り込むガスの圧力などが変わる


ミッドレングス・ガスシステムはカービンレングス・ガスシステムよりも作動をより穏やかにし反動を低減させ部品寿命を延ばす効果が期待されました。
※ミッドレングスでガス圧が下がりボルトなどの動きを穏やかになるが連射速度は低下する
海軍海上戦センター・クレーン分遺隊(NSWC Crane)によるテストでもミッドレングスの優位性が検証されました。
※海軍海上戦センター:アメリカ海軍の研究・開発・試験・評価を行う施設の一つ、特殊部隊や海兵隊も含むので陸上戦も対象内
さらに特定の部品としてガイズリーオートマティック社のMk16 レールとエアボーンチャージングハンドル(ACH)の採用が要求されました。外見上の特徴となるカラーについても主要部品にはデザートタンカラーが指定されました。


URG-Iの開発と製造には複数の企業が関与しており重要な役割を果たしたのはガイズリーオートマティック社とダニエルディフェンス社になります。
- ガイズリーオートマティック社
高精度トリガーシステム(SOPMOD向けにはSSFトリガーを提供)で知られています。
URG-I向けにはMk16 スーパーモジュラーレールハンドガード(SMR)、エアボーンチャージングハンドル(ACH)と初期にはスーパーガスブロックを供給する契約を取得しています。ただし実際に供給されたガスブロックは後にダニエルディフェンス社に移行しました。
- ダニエルディフェンス社
高品質なAR-15コンポーネント、特にバレルとレールで評価が高いメーカーです。
URG-Iプログラムでは心臓部なる14.5インチ、ミッドレングスガスシステムの冷間鍛造(CHF)”GOV”プロファイルバレルを供しています。さらにガスブロックの仕様変更(Mk12から固定式LPGBへの変更)においても重要な役割を果たしています。
※GOV プロファイル:ガバメントプロファイルバレルの略、M16A2採用時に決めたヘビーバレルに準拠する規格
上記の主要2社に加え他のコンポーネントも既存の信頼できるサプライヤーから供給されています。
| サプライヤー | 供給パーツ |
|---|---|
| コルト | レシーバー ボルトキャリアグループ |
| シュアファイア | マズルデバイス(SF4P、後にWARCOMP) |
| マグプル | M-LOKアクセサリー ストック |
| ナイツアーマメント | バックアップアイアンサイト(BUIS) |
| FN | バレル(クローンモデルで使われる) |
このようにURG-Iは単一メーカーが全てを供給するのではなく各分野での実績のある企業の専門技術を結集して開発されました。レールとチャージングハンドルはガイズリー、バレルとガスシステムはダニエルディフェンスといったようにそれぞれの分野で”ベスト・オブ・ブリード(最高のモノ)”を選定して組み合わせるアプローチはUS SOCOMの特徴的な手法です。
初期配備
URG-Iプログラムの開始点は陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)がM4A1の限界を認識し始めた2010年代半ばに遡ります。
正式な調達計画は2017年度の予算教書に表れ始めます。
配備に先立ち海軍海上戦分遺隊(NSWC Crane)によるミッドレングス・ガスシステムの評価を含む、各種テストと検証が行われました。
2018年から2019年頃にかけて陸軍レンジャーや特殊部隊(グリーンベレー)への配備が開始されより広く知られるようになりました。


ガイズリー社は2019年から2020年頃に軍用モデルに酷似した”ニアクローン”バージョンのアッパーレシーバーグループやコンプリートライフルの民間市場への販売を開始しました。
URG-Iの開発と配備が比較的迅速に進んだ背景は既存の市販品のコンポーネントを効果的に活用した点が挙げられます。ダニエルディフェンスのバレルやガイズリーのレールシステムはURG-Iプログラムが正式に発行される前に市場に既に存在している、他の契約者向けに開発されたものでした。
プログラムの焦点としてこれらの優れた既存品を選定、統合しミッドレングスのガスシステムの採用やガスブロックのピン固定化のような要求仕様に合わせた特定の改良を加えることに当てられました。
この手法により全てを一から設計する場合と比較して開発期間を大幅に短縮することが可能になったと考えられます。
技術仕様と特徴
USASOCが主に採用した14.5インチモデルのURG-Iは以下の主要コンポーネントで構成されています(MSN 1005-01-671-3911)。
※MSN:ミリタリーストックナンバーのこと、政府の管理番号

- バレル
Daniel Defense製 14.5インチ “GOV” プロファイルで冷間鍛造(CHF)クロモリバナジウム鋼製で内面はクロームラインド処理がされています。
ライフリングのツイストレートは1:7で5.56x45mm NATO弾仕様で、特にM855A1弾薬に最適化されています。
- ガスブロック
当初はダニエルディフェンス社製のMk12ガスブロック(セットスクリュー固定式)が使用されましたがガイズリー Mk16ハンドガードとの干渉問題(落下時などに接触する可能性)が指摘されたためよりスリムなダニエルディフェンス社製 ロープロファイルガスブロック(LPGB) に変更されました。
このLPGBはテーパーピンによってバレルに固定され非常に強固な取り付けを実現していて”ボムプルーフ(爆撃に耐える)”と表現されることもあります。

- マズルデバイス
当初はシュアファイア製 SF4P(4又タイプ)フラッシュハイダー(FH556RC)が標準でした。これはシュアファイア SOCOMサプレッサーとの互換性を持ちます。一部の運用例やクローンモデルでは同じくサプレッサー互換性のあるシュアファイア Warcompの使用も見られます。
民間向けの”ニアクローン”モデルでは連邦法(NFA)の最短銃身長規制(16インチ)をクリアするため、マズルデバイスがピンで固定され溶接されているのが一般的です。


- ハンドガード
ガイズリー社製 スーパーモジュラーレール (SMR) Mk16。長さ13.5インチでM-LOKアクセサリー取り付けシステムを採用しています。色はデザート・ダート・カラー(DDC、NSN 1005-01-672-4794)が指定されています。
Block IIのRIS IIと比較してスリムで軽量であることが特徴 です。

- ボルトキャリアグループ
標準的なM4A1/M16フルオート仕様のBCGです。初期にはColt製やFN製のものが多く使用されました。
ガイズリー社が販売する”ニアクローン”アッパーには同社製のReliability Enhanced BCGが組み込まれていることがあります。
- アッパーレシーバー
標準的な鍛造製 M4/M4A1 フラットトップ・アッパーレシーバーでクローンビルドではColt製がしばしば参照されます。

- サイト
バックアップ・アイアンサイト(BUIS)としてKnight’s Armament (KAC) 製のマイクロフリップアップサイトが装着されることが多いようです(フロントサイトはトープカラーのP/N 99051、リアサイトはKAC製またはマテック製)。
主に使用される光学照準器は部隊や任務によって異なり、エルカンスペクターDRやVortex Razor HD Gen II-E、Nightforce ATACRといったLPVO(低倍率スコープ)が参考写真やクローンモデルでよく見られます。


- アクセサリー
Magpul製のM-LOKレイルセクションやQDスリングマウントが仕様に含まれるか、あるいは標準的な付属品として支給されることが多いようです。


| コンポーネント | メーカーと特徴 | 部品番号/MSN(判明分だけ) |
|---|---|---|
| バレル | ダニエルディフェンス14.5インチ ,GOV プロファイル, CHF(冷間鍛造), クロームラインド処理 ツイスト 1:7で5.56mm NATO対応, ミッドレングスガスシステム対応 | 07-077-07308 |
| ガスシステム | ミッドレングスガスシステム | |
| ガスブロック | ダニエルディフェンス ロープロフィールガスブロック (LPGB), ピン固定式 | (DD Mk12から変更) |
| ハンドガード | ガイズリー SMR Mk16, 13.5インチ, M-LOK, デザートタンカラー | 05-650S / 1005-01-672-4794 |
| マズルデバイス | シュアファイア SF4P (4又仕様) フラッシュハイダー | FH556RC |
| チャージングハンドル | ガイズリーエアボーンチャージングハンドル (ACH), デザートタンカラー, マーキング縮小版 | 05-664S / 1005-01-672-4803 |
| BCG | 標準のM4A1/M16 Full-Auto仕様 (コルト/FNなど) | |
| アッパーレシーバー | 標準のフラットトップM4/M4A1 (コルトなど) |
バリエーション
その他のURG-Iのバリエーションとして11.5インチモデルとアメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)の10.3インチモデルに加え他のバレル長のバリエーションも存在しています。
- 11.5インチモデル URG-I
USASOC向けには11.5インチバレルと10.5インチ長のガイズリー Mk16 SMRを組み合わせたバージョンも開発され、独自のNSNが付与されています。
このモデルは近接戦闘(CQB)などでの取り回しを重視したものでガスシステムはカービンレングスとなります(バレル長から推測されガイズリーの市販モデル仕様でも確認-ガスポート径.067インチ)。
当初は実戦での使用例の確認が少なかったが現在ではその存在と使用が広く認知されています。
ガイズリー社も市販の11.5インチ”ニアクローン”モデルを販売しています。
- 10.3インチ アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)構成
アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)の一部の部隊では標準的なCQBR(Close Quarters Battle Receiver)と同じ10.3インチバレルに9.3インチ長のガイズリー Mk16 SMR(DDCカラー)を組み合わせた構成が採用されています。
非公式に”10.3インチURG-I”と呼ばれることがありますが技術的には陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)のURG-Iプログラムとは別個のものです。
既存のMk18 Mod 1 / CQBRアッパーレシーバーのハンドガードをガイズリー Mk16レールに換装し場合によってはガイズリー エアボーンチャージングハンドルなども追加した近代化改修と見做されます。
使用されているバレルについては議論があり(コルト製かダニエルディフェンス製かなど)がおそらくは空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)が既に保有していた標準的な10.3インチCHFバレル(Mk18で使用されているもの)が流用されている可能性が高いようです。
ガスシステムはカービンレングスでガスポート径はおそらく10.3インチMk18の標準である0.070インチの可能性が高いです。
ガイズリー社はこの構成に近い10.3インチの”ニアクローン”モデルも市販しています。
実戦配備と性能評価
ここではURG-Iはどの部隊に配備され、その性能はどのように受け止められているのか公式な報告や海外掲示板Redditなどからユーザーの声を探ります。
配備部隊
URG-Iの配備はUSSOCOM全体で一律に行われたわけではなく陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)に集中しており空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)の一部の部隊が採用しています。
- 陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)
主要な採用コマンドで特に陸軍特殊部隊(グリーンベレー/ODA)と第75レンジャー連隊がURG-Iを受け取ったと報告されています 。これらの部隊では既存のM4A1 Block IIからのアップグレードと位置づけられました 。


- 空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)
USASOCのプログラムとは別に10.3インチバレルにGeissele Mk16 9.3インチハンドガードを組み合わせた構成をPJ(パラレスキュー隊員)を含む一部隊員向けに採用しました 。
※パラレスキュー:戦場で負傷し取り残された兵士を回収、治療する戦闘と医療のエキスパートで精鋭中の精鋭部隊

- その他のSOCOM部隊 (海軍/海兵隊)
海軍特殊戦コマンド(Navy SEALsなど)や海兵隊特殊作戦コマンド(MARSOC)はURG-Iを採用せず引き続きMk18 Mod 1やM4A1 Block IIを使用していると一般的に報告されています 。


この配備状況はURG-Iが主に陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)向けのシステムであり、空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)がその設計要素の一部を取り入れたもののSOCOM全体でBlock IIを置き換える普遍的な標準装備とはならなかったことを示しています。
これはSOCOM内でも各構成軍コマンドが独自の要求に基づいて装備を選択・改良する傾向が強まっていることの現れとも考えられるかもしれません。
公的な性能評価
URG-Iはその設計目標であった性能向上を達成したと評価されています。
- 信頼性
ミッドレングス・ガスシステムはM855A1弾薬の使用やサプレッサー装着時においてカービンレングス・ガスシステムのM4A1と比較して信頼性を向上させ部品寿命を延ばすとされています。
SWC Craneによるテストデータもッドレングス・システムが(特に常温環境下で)平均故障間隔(MRBF: Mean Rounds Between Failures)を改善することを示しています。
ガイズリー製のコンポーネント(レールの堅牢な取り付け、エアボーンチャージングハンドル、ガスブロックのピン固定)も全体の信頼性向上に寄与していると考えられます。
- 精度
ダニエルディフェンス社製の高品質な冷間鍛造バレルと、システム全体の精密な統合により、優れた精度が報告されています。1MOA(100ヤードで1インチの内に収まる集弾性)以下の集弾性能を達成すると言われています。
オンラインフォーラムのユーザー報告でもその精度は高く評価されていてあるレビューではマッチグレード弾薬使用時に0.5MOA(100ヤードで0.5インチ)のグルーピングを記録したと報告されています。
- エルゴノミクス
Mk16 M-LOKハンドガードはBlock II RIS IIクアッドレールと比較して軽量かつスリムであり、より自然なグリップと優れた取り回しを可能にすると評価されています。ガイズリーエアボーンチャージングハンドル( ACH)も操作性の向上に貢献しています。
全体として反動が穏やかでスムーズに射撃できバランスの取れたライフルであると評されています。
これらの報告は公式なテストデータ(NSWC Craneによるミッドレングス・ガスシステムの評価)とユーザーレビューの両方から裏付けられており、URG-IがM4A1 Block IIに対して信頼性、精度、エルゴノミクスの面で設計目標を達成したと言えると思います。
特にミッドレングス・ガスシステムと高品質なコンポーネントの組み合わせがこの性能向上の中核を担っていると考えられます。
レビューサイト、オンラインフォーラムからのフィードバック
オンラインのミリタリーフォーラムやレビューサイトにおけるユーザーからのフィードバックはURG-Iの実際の使用感を知る上で貴重な情報源となるのでいくつかピックアップします(情報の信憑性は謎)。
- 肯定的なフィードバック(Rddeit/フォーラム)
実際にURG-Iを支給されたと主張するユーザーからは概して肯定的な意見が寄せられていて”かなり気に入っていた(liked it quite a bit)”といった感想が見られます。特にガスシステムが適切に調整されている点(特に11.5インチモデル)、精度、信頼性、そしてBlock IIよりもスムーズな射撃感が賞賛されています。
Mk16レールの軽量性とエルゴノミクスも頻繁に言及される利点です。
一部のユーザーはURG-Iを大幅なアップグレードと見なし、もし展開するならURG-Iを選択すると述べています。
- クローニングコミニティの関心
URG-Iはミリタリー銃器のクローン(再現)を趣味とするコミュニティ(Redditのr/MilitaryARClonesやr/URGIなど)で非常に高い関心を集めています。
コミュニティ内での議論はしばしば正確な部品(DDCカラーの色調差、特定のガスブロック、レシーバー刻印など)の特定や入手に焦点が当てられています。
- 問題、議論になるポイント
アクセサリーを取り付けた状態での実際の重量削減効果についてはBlock IIと比較して議論の余地があるとする意見もあります。Mk12ガスブロックとの干渉問題はガスブロックをLPGBへの変更によって解決されたと考えられています。
Block IIと比較して広範な実戦における性能データが公には少ないという指摘もあります(配備年数がまだ短いから仕方がない)。
これらのフォーラムでの議論は逸話的な情報ではあるもののレビュー記事などで報告されている肯定的な性能特性や設計目標と概ね一致しておりかなり好意的に受け止められているようです。
サプレッサーとの相性
URG-Iはシュアファイア社のSOCOMサプレッサー(SOCOM556-RC2)と組み合わせて使用されることを前提に設計されていて標準的なマズルデバイスであるSF4PやWarcompはこれらのサプレッサーに対応したマウントとなっています。
ミッドレングス・ガスシステムの採用はカービンレングス・システムと比較して、サプレッサー使用時に発生しやすい問題(過剰な後方へのガス圧、発射サイクルの高速化、部品摩耗の増加など)をある程度緩和する効果があります。
NSWC Craneのデータによればミッドレングス・システムはカービンレングス・システムよりもサプレッサー装着時の発射サイクル上昇率が低いことが示されています(ミッドレングスが有効に作用している証拠)。
しかし一部のレビューやユーザー報告ではサプレッサー装着時には依然として射手の顔へのガス吹き戻し(gas-to-face)が増加することが指摘されていますが程度としてはカービンレングス・ガスシステムのM4にサプレッサーを装着した場合よりは少ない可能性が高いです。
特に11.5インチモデルとシュアファイア社 SOCOM556-RC2 サプレッサーの組み合わせについてはガス吹き戻しが少なく良好な性能であるとの報告もあります(物理的な理由がわからない)。
ミッドレングス・ガスシステムがサプレッサー使用時の性能を改善する一方でダイレクト・インピンジメント(DI)方式のAR-15に固有の課題(ガス吹き戻しなど)を完全に解消するわけではありません。
既存モデルとの比較
ここでは既に広範囲に配備されているM4A1 SOPMOD BLOCKⅡと特殊部隊でよく使われているHK416と比較していきます。
URG-IとM4A1 SOPMOD BLOCKⅡ
URG-IはSOPMOD Block II構成のM4A1からいくつかの重要な点で進化しています。


- ハンドガード
URG-Iはガイズリー Mk16 M-LOK(軽量、スリム、エルゴノミクス向上)を採用する一方でBlock IIはダニエルディフェンス RIS II ピカティニー・クアッドレール(堅牢だが重く、かさばる可能性がある)を使用しています。


- ガスシステム(14.5インチモデルの比較)
URG-Iはミッドレングス(より穏やかな射撃感、M855A1/サプレッサー使用時の信頼性向上、部品寿命延長の可能性)を採用、Block IIはカービンレングス(より強い反動、摩耗が大きい可能性)を使用しています。
- バレル
URG-Iの標準は14.5インチ ダニエルディフェンス 冷間鍛造 ミッドレングスバレルを採用、Block IIはColt/FN製 M4プロファイルまたはSOCOMプロファイル(より重い)のカービンレングスバレルを使用しています。
- 重量
URG-Iは一般的に軽量とされるが、アクセサリー装着後の実際の差については議論があります。
- チャージングハンドル
URG-IはGeissele ACHを採用、Block IIは標準的なM4チャージングハンドルを使用しています。


- アクセサリーの取付方法
URG-IはM-LOKダイレクトアタッチメント、BLOCKⅡはピカニティマウントレール。


| 特徴 | URG-I仕様 | BLOCKⅡ仕様 | 相違点 |
|---|---|---|---|
| ハンドガード | ガイズリー Mk16 M-LOK (13.5インチ) | ダニエルディフェンス RIS II ピカニティ 4面レール | URG-I: 軽量、スリム、M-LOK規格 Block II: 堅牢、ピカティニー規格 |
| ガスシステム | ミッドレングス | カービンレングス | URG-I: スムーズな作動、信頼性向上(特にM855A1/サプ使用時)、部品寿命延長 |
| バレルプロファイル | ダニエルディフェンス 14.インチ GOV プロファイル (冷間鍛造) | コルト/FN M4 or SOCOM プロファイル (カービンレングス・ガスシステム) | URG-I: 高品質冷間鍛造バレル、ミッドレングス Block II: 多様な供給元、カービンレングス |
| 重量 (概算) | Block IIより軽量とされる | URG-Iより重いとされる | URG-Iが有利だが、アクセサリーにより差は縮小 |
| エルゴノミクス | スリムなハンドガード、改善されたグリップ | 太めの4面レール | URG-I: より現代的で握りやすい |
| チャージングハンドル | ガイズリー エアボーンチャージングハンドル (ACH) | 標準のM4カービン用チャージングハンドル | URG-I: 操作性向上。 |
| アタッチメント | M-LOK | ピカニティレールマウントシステム | URG-I: 軽量化 Block II: 既存アクセサリーとの互換性 |
URG-IとHK416
US SOCOM内で使用されるもう一つの主要な近代カービンであるHK416と比較すると、URG-Iは異なる設計思想に基づいていることがわかります。


- 作動方式
URG-Iは改良されたダイレクト・インピンジメント(DI)方式(ミッドレングス・ガス)を採用しているのに対し、HK416はショートストローク・ガスピストン方式を採用しています。


- 信頼性
両者ともに高い信頼性を持つとされています。
HK416のピストンシステムは特に過酷な環境下や清掃せずに多数の弾薬を発射する場合、サプレッサー使用時にDI方式よりもクリーンに作動し信頼性が高いと評価されることが多いです。
一方でURG-IのミッドレングスDIシステムも標準的なカービンDIシステムから大幅に改善されておりテストによってその信頼性が裏付けられています。
選択は運用環境やメンテナンス方針に依存する可能性があります。
- 反動/射撃感
URG-I(ミッドレングスDI)はカービンDIのM4と比較してより穏やかでサイトのズレが少ない射撃感であると一般的に評されています。HK416のピストンシステムはわずかに鋭い、あるいは異なる反動特性を持つと感じられることがあり発射サイクルが速い傾向があります。
- 重量
HK416はピストンシステムの部品やより太いバレルプロファイルのため、同程度の長さのURG-IやM4A1よりも一般的に重いです。例としてHK416 D145RSは約4kg、M4A1は装填時約3.5kg。
- 精度
両者ともに優れた精度を発揮する能力がありますが基本的にバレルの品質が両システムの精度に大きく影響します。
- 使用状況/採用
URG-IはUSASOCおよび一部AFSOC部隊で採用されています。HK416はJSOC(統合特殊作戦コマンド)隷下の部隊(デルタフォースやDEVGRUなど)や米海兵隊(M27 IARとして)、そして多くの国際的な特殊部隊や軍隊で使用されています。
| 特徴 | URG-I | HK416 |
| 作動方式 | ダイレクト・インピンジメント (Mid-Length) | ショートストローク・ガスピストン |
| 信頼性 (認識) | 高い (ミッドレングス DIで改善) | 非常に高い (特に過酷環境/サプ使用時) |
| 反動特性 (一般) | 穏やか、スムーズ | やや鋭い可能性、異なる特性 |
| 重量 (概算) | HK416より軽量 (M4A1準拠) | URG-I/M4A1より重い |
| 精度ポテンシャル | 非常に高い | 非常に高い |
| 主なUS SOCOMユーザー | USASOC (SF, Rangers), AFSOC (一部) | JSOC (Delta, DEVGRUなど) |
US SOCOM内で高性能なDIシステム(URG-I)とピストンシステム(HK416)の両方が存在し、継続して使用されている事実は全ての用途にとって単一の最良の解決策が存在しないと言えるかも知れません(単純に好みかも)。
現状と将来展望
URG-Iは主にUSASOCのODA/レンジャー、AFSOCの一部において現在も運用が続けられています。
依然としてM4A1プラットフォームの近代的かつ効果的なアップグレードであると見なされていまが同時にSOPMOD Block II構成のM4A1もSOCOM内および米軍全体で依然として広く使用されています。
URG-Iは特定のSOCOM構成部隊におけるM4A1アップグレードの最先端を示すものでしたがコマンド全体で旧システムを完全に置き換えるには至りませんでした。
今後の運用期間は現在進行中の新しい小火器システムの導入計画と密接に関連していると考えられるのでここでは次世代分隊火器NGSWの動向、M4系とNGAWの共存関係、その他のプログラムについて見て行きます。
次世代分隊火器プログラムの影響(NGSW)
米陸軍は次世代分隊火器(NGSW: Next Generation Squad Weapon)プログラムを推進しておりSIG社がその契約を獲得しました。

NGSWシステムにはM4/M4A1カービンを置き換えるXM7ライフルとM249分隊支援火器(SAW)を置き換えるXM250分隊支援火器が含まれ両者ともに新開発の6.8mm弾薬を使用します。


NGSWは歩兵、偵察兵、戦闘工兵といった”近接戦闘部隊(Close Combat Force)”向けに計画されており、これらの兵科はレンジャーや特殊部隊といったSOCOM部隊にも多く含まれます。
US SOCOMはこのNGSWプログラムに深く関与し、支持しており特殊作戦部隊によるテストや評価も行われており実際の配備計画にも特殊作戦部隊が含まれています。
新しい6.8mm弾薬は従来の5.56mm弾薬と比較して有効射程、威力、およびボディーアーマーなどに対する貫通力の面で大幅な性能向上を目指して設計されています。
NGSWの配備は既に開始されており第101空挺師団や州兵部隊などが受領しています(ライフルは正式ナンバーM7として配備)。
NGSWプログラムは陸軍およびSOCOMの第一線の戦闘部隊において5.56mm口径のAR-15プラットフォーム(M4/M4A1、そしてURG-Iを含む)から根本的に移行することを目指す動きなのでURG-Iを含むM4バリアントが段階的に完全に置き換えられる予定です。
M4系とNGSW系の共存
NGSWが指定された後継システムであるとはいえ5.56mmプラットフォームから6.8mmシステムへの完全な移行には数年を要すると予想されます(2025年現在では今後10年間で107000丁の発注予定)。
そのためM4のバリアント(URG-Iを含む)は特に後方支援部隊やNGSWの初期配備の優先順位が高くない部隊ではかなりの長い期間の間で引き続き運用される可能性が高いです。
SOCOM内においても6.8mm弾薬の特性(重量、反動)が必ずしも有利でない特定の任務(例えば一部のCQBシナリオ、訓練、より秘匿性が求められる作戦など)においてはURG-IやSURGのような5.56mmプラットフォームが継続して使用される可能性が高いです。
新しい口径の導入に伴う資金調達サイクルや兵站上の課題も既存のM4/URG-Iシステムのインフラが当面維持される要因となるでしょう。
将来的にSOCOM内ではしばらくの間、異なる口径・プラットフォームの小火器が混在する状況が続くと考えられます。
NGSWを受領する第一線の戦闘部隊ではURG-Iの役割は縮小するかもしれませんが実績ある性能、既存の兵站、NGSWと比較した場合の潜在的な利点(軽量性、低反動など)から特殊な用途、訓練、予備部隊などにおいては存続する可能性が非常に高いと考えられます。
その他のSOCOMプログラムとの関連(例:SURG)
URG-Iプログラムと並行してUS SOCOMは他の小火器近代化プログラムも進めていました。その一つがSURG(Suppressed Upper Receiver Group)プログラムです。
これはサプレッサー使用に特化して最適化されたアッパーレシーバーグループを求めるものであり、一体型サプレッサーや非常に高性能な着脱式サプレッサーの採用を視野に入れていました。
この契約はSig Sauer社がMCXプラットフォームをベースとしたアッパーで獲得しました。

SURGの要求仕様は標準的なM4アッパー(URG-Iを含む)が提供するレベルを超えるサプレッサー性能(消音効果、信頼性、熱管理、着弾点移動の最小化など)に重点が置かれていました。
URG-IとSURGプログラムはそれぞれ異なる主要目標に対処するための並行した取り組みになっていました。
URG-Iが汎用M4A1アッパーの全体的な改善を目指したのに対しSURGはより特殊な役割のために最適化されたサプレッサー性能を追求しました。
あるコメントによればUSASOCはURG-Iが自身の要求を満たすと考えてSURGプログラムには参加しなかったと言われており、これは異なるコマンド間でサプレッサー性能に対する要求レベルが異なっていた可能性を示しているかもしれません。
いずれにせよSURGの場合は非常に特殊な用途に特化したモデルなのでURG-Iと競合になることはなさそうです。
まとめ

URG-I(Upper Receiver Group – Improved)はSOPMOD Block II構成のM4A1カービンが抱えていたM855A1弾薬やサプレッサー使用時の性能限界に対処するため、USASOC主導で開発された特化型アップグレードでした。
主要なサプライヤーであるガイズリーオートマティック社やダニエルディフェンス社との協力、そして既存の高品質なコンポーネントの活用により、短期間での開発・配備を実現しました。
ミッドレングス・ガスシステム、高品質な冷間鍛造バレル、人間工学に基づいたM-LOKハンドガードの採用により精度・信頼性・操作性が大幅に向上し、USASOCとAFSOC部隊から高い評価を得ています。
2025年現在はNGSWが進行しておりいずれURG-Iを含むM4プラットフォームは完全に置き換えられる可能性が高いですが1950年代に誕生したAR-15ライフルが進化をしながら70年以上もの間で最前線で活躍を続けているのは非常に興味深いと思います。
URG-Iは70年以上もの月日を掛けて進化した究極のAR-15の一つと言えるのではないでしょうか?
以上、URG-I SOPMOD BLOCK3の解説でした。
次回は東京マルイ 次世代電動ガン URG-I SOPMOD BLOCK3 14.5インチのレビューをして行きます。

・東京マルイ 次世代電動ガン URG-I SOPMOD BLOCK3 14.5インチ
このページの説明で使った次世代電動ガンでバレル長はベーシックな14.5インチです。
・東京マルイ 次世代電動ガン URG-I SOPMOD BLOCK3 11.5インチ
一部の陸軍特殊作戦コマンド、第75レンジャーが使う11.5インチモデルです。
・東京マルイ ガスブローバックマシンガン URG-I SOPMOD BLOCK3 11.5インチ
ガスブロです。14.5インチはラインナップにないようです。



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