今回は最近、流行りのガイズリータイプ(レプリカ)のワンピーススコープマウントを手に入れたのでレビューしていきます(エチゴヤさんの特価で5000円くらい)。
個人的にスコープを含めた光学機器のマウントへの拘りは全く無く完全に安いモノを使ってました。
超低価格の分割タイプマウント(ワンセットで1000円くらい)

この手の製品は安いのは良いのですが締め付け箇所が多くて誤差が集積されてエアソフトに組む時にトラブルを抱えていました。
締め付け箇所(全部で10箇所)

具体的なトラブル内容は誤差が集積されマウントとレールを締め付けるネジの軸が曲がってしまいました。

軸が曲がったためエアガンへの取り付け、取り外しがスムーズにいかないのでマウントを変えることにしました。
最もこの分割タイプでも時間をかけて丁寧に各ネジを締め付ければ問題ないのですが面倒になったのでワンピースタイプのマウントに絞って選んだ結果、ガイズリー スーパープレジション ワンピース スコープマウントのレプリカにしました。
・ANS OPTICAL スコープマウント 径30mm 高さ20mm ミドル
入手性と安さは良いのですが正確に組み付けるのが面倒になってしまいました。
ガイズリー レプリカ ワンピースマウント外観
ガイズリー スーパープレジション ワンピース スコープマウント(GEISSELE SUPER PRECISION MOUNT)の外観です。
後で知ったのですがレビュー品はサイトの高さがロータイプで1.54inchでおおよそ39mmでした。ハイタイプは1.93inchで49mmだそうです。
サイドビュー(左:接眼、右:対物)

トップビュー(左:接眼、右:対物)

スコープマウント締め付けは六角穴ボルトでした(おそらくM3)。
反対サイドビュー(左:対物、右:接眼)

レールとの取り付けネジは六角ナットにマイナスの溝付きです。
バックビュー(上が対物側、下が接眼側)

フロントビュー(対物側)

リアビュー(接眼側)

私が購入した物は水平器が付いていました。水平器は最初はいらないと思ったのですがあるとかなり便利です。
外観全体の印象としてはなかなか良い感じの出来に見えます。ただしレプリカなので本物の削り出しとは違ってアルミの鋳物です。
おそらくですが本物のガイズリーはアルミの展伸材7000番系(超超ジェラルミン)の削り出しにハードアルマイト(装飾のアルマイトと異なって表面が硬い)を表面処理をして出来ています。
一方でレプリカではアルミの鋳造材(おそらくADC6)で鋳造で大まかな形状が決まり(加工はネジ穴くらい)表面に塗装して出来ているようです。まあ、価格から考えて妥当な内容だと思います。
鋳造だから簡単な技術で済むという話ではなく大量生産向きな技術なだけでこの製品の金型は金型の分割など複雑で難しそうな部分は見受けられます(鋳造より削り出しのが優れている訳ではなくそれぞれ一長一短で適切な使い分けが重要)。
付属品は箱と六角レンチ、商品ステッカー、25mm(正確には25.4mm、1inch変換リング)アダプターリングでした。
ステッカー(カラーのチェックが未記入なので意味なし)

25mm変換アダプター

各部詳細(個人的に気になった部分)
次に各部詳細を見ていきます。
刻印関係です。
刻印

刻印は
SUPER PRECISION(高精度)
GEISSELE AUTOMATICS(メーカー名)
30mm 0MOA(意味がわかりませんでした)
PN(プロダクトナンバー、部品番号):05-329
PAT(パテント、特許):GEISSELI.COM/PATENTS(ガイズリー社のパテント)
オシャレポイントはレールへの取り付けネジ部のGマークだと思います。
次のポイントはおそらくガイズリー社のパテントに関わると思われる構造部分です。
着目点は次の写真の部分です。

このリブによって構造物の剛性がかなり上がります(自動車、バイクではよく使う手法)。
効果をわかりやすく解説すると次の写真のようになります。

写真の赤斜線部がリブでマウントの前後方向の曲げとねじれ剛性が物凄く強くなります。
リブの断面を見ると次の図のようになります。

少し詳しい話をするとリブによって断面二次モーメントが大きなるので特定の曲げ、ねじれに強くなります。リブがチョンマゲに見えることから私がいた会社(自動車)ではチョンマゲリブと呼んで使っていました。
もし詳細に興味がある方はこちらで解説しています。

このリブはスコープマウント間だでなくマウントをはみ出てリブがついています。

このはみ出たリブは飾りではなくマウント部の倒れ方向の剛性をかなり高めていると思われます。
ガイズリーの特許は全体の曲げ高剛性化、各マウントの倒れ剛性化を単一のリブで成し遂げたこと特許の請求項になっていると思います(なかなか知恵を使ったなという印象ですごいです)。
ここまでの解説を踏まえて再度、サイドビューを見てみます。

マウントの基本形状にチョンマゲリブで必要な剛性が得られたので荷重が掛からない部位には大胆な加工で肉を抜いています。
この肉抜き形状は典型的なCAE(コンピューターシミレーションの一種)結果に基づいているような形状です(これも特許の一部だと思う)。
この製品の形状からすると単なるCAEで計算しただけでなくトポロジー最適化(位相最適化、簡単にいうと半自動で最適形状を示すソフト)を行っているように見えます(私は設計ですがCAEも自分で実施していたのでこのマウントのCAE結果が脳内浮かんできます)。
ガイスリーはアメリカのメーカーでDID(国防総省)と取引しているはずなのでCAEソフト会社、最適化処理会社(トポロジー、パラメーター最適化)と協力状態にあると思うのでそれらの協力を得るのは簡単だと思います。
私自身の感覚でもアメリカはCAE、最適化処理の技術が超得意で日本は戦うにはかなり厳しい状況です(2013年くらいから明確な差を感じた)。
これらの技術が組み合わさって矛盾する特性である高剛性、軽量を高いレベルで達成していると思われます。
次にマウントの裏側(レール接触部)を見ていきます。
裏側にもSUPER PRECISIONへの工夫が見られました。

一番上で紹介した2ピースのマウントのレール取り付け部の位置決めはかなり適当です。

この構造だとマウントとレールの位置を決めるのは締め付けボルトの軸がレールの溝に嵌るだけになります(後はマウントを挟むだけ)。
当然ながらレール溝の形状は凹に対し軸は○なのでガタが大きくなります。このガタによって取り付け位置も正確ではなくなってきてしまいます。
ガタが集積されて前後のマウントリングの位置関係は少しでもねじれ方向にズレたままレールに取り付けると私のようにネジが曲がったりします。最悪ではレールが抉れます。
一方でガイスルーではレールの締め付けネジとは関係がない独立した位置決めの形状を設けているようです。

ガイズリーで上の写真で上下方向の位置決めはピカニティレールの凹に合うような正確な凸形状を嵌めることで確定しているので上下方向の位置が正確に決まります。
レールへの取り付けネジは位置に全く関係ない状態にしています。
これらによって簡単に正確にマウントをレールに取り付けられます。
ここまで紹介した技術がSUPER PRECISIONのコアになると思います。ここまで紹介した技術は主に形状による効果なのでレプリカ品でもその恩恵は大いに得られると思います。細かく言えば精度のレベルが本物とは桁が違うレベルだと思うので効果の度合いは下がりますが何の考えもない形状よりと比較にならないくらい良くなると思います。
以上、技術的に気になる点でした。
スコープ取り付け
スコープを取り付けるためにリングを外していきます。

ここで本物とレプリカの差が大きく出てきます。この写真からわかることですがレプリカ品は鋳造一発で形状を出しているのでスコープの接触部(機械加工なし)、リングとの締め付け部の精度、面相度(面の荒さ)が悪いです。本来なら面相度で最大高さ12.5sくらいが適切ですが触った感じ25sだと思います。
リングも同様です。

まあ低価格レプリカなので仕方がない部分です。
次にスコープを乗せます。

水平器を利用してスコープの水平を出しながら位置を決めてリングを取り付けます。ここでマウントの水平とスコープの水平をある程度、合わせておきます。
次にリングを付ける注意点のその1です。
各リングの刻印の位置を合わせます。

理由は後述します。
次にリング取り付けで注意する点は次の写真のように各隙間(計4箇所)が一定になる様に少しずつ組みます(均等にスコープを固定するため)。またここでマウントの水平、スコープの水平状態をキッチリ決めます。
横(刻印の位置を間違えている状態です)

逆(刻印の位置を間違えている状態です)

私の個体の隙間はおおよそ0.8~0.9mmでした。
面倒なのですが各隙間の量を見ながらネジの締め付けによる座面への沈み込み量を均等にすれば同じ隙間になるはずです。根気がいる作業になります。
これで完成です。
リングとマウントの刻印を揃えることは本物では超重要なのですがレプリカ品(特に鋳造品)では飾り以外の意味はありません。
本物では精度を出すためにスコープマウントの円の機械加工を共加工という手間のかかる方法を取って精度を出しています(流石、SUPER PRECISION)。
普通の生産効率重視の加工ではマウント、リングを別々に機械加工します。

これを組むと半円が合わさって綺麗な円ができるはずですが実は全くそうならないのが現実で楕円になります(机上だけでは絶対にわからない知識)。
実際に組むと次のようになります。

リングを固定するためのボルトによって発生した荷重がリングにも影響を及ぼして見事な楕円形になります。
少し細く見るとマウントを固定するボルトがおそらくM3なのでボルトの軸力(ボルトが発生する荷重)がおおよそ400〜600kgfほどになります。
片側4本で締めているので800〜1200kgfの荷重で円を引っ張ることによって変形してしまうのです。
ガイスリーはどうのように対策しているかというと精密共加工にで対応しているようです。
精密共加工の概要は次の写真のようになります。

機械加工前にマウントとリングをスコープを取り付ける設定で組んでおきます(スコープの締め代、ボルトの締め付けトルクは決まっている)。
その組んだ状態(重要なのはボルト)でスコープ搭載部の円を加工します。
これでボルトを締めた状態で円ができるのでスコープを搭載する部分が精密に仕上がります。この時に重要なのはEA135B、EA135Aの識別が重要でこの識別があっている状態で組まないと共加工した意味がなくなってしまうからです(組み上がり時、加工時で条件が変わってしまう)。
これはSUPER PRECISIONの名の通りの高精度製法だと思います(今回の紹介した製品であるレプリカは異なります)。
この製法は自分のエンジン設計者としてはコストのバランスによりますがよく使います。例えばエンジンのシリンダーの穴、カムシャフトを入れる穴、クランク軸が入る穴など数多にあります(レース、高価格機種だけ)。
話は戻してスコープの搭載完了です。

搭載スコープはベクターオプティクスのフォレスタ GEN.3です。レビュー記事があるので興味があれば覗いて見て下さい。

まとめ

5000円くらいのレプリカの割に不具合もなく精度、見た目ともに良好で良い製品でした。
ガイズリーの技術も以下の部分はレプリカでも引き継がれているので性能も期待できます。
・特徴的なリブによる高剛性
・CAE、形状最適化による適切な軽量化
・レール接触部の特徴的な位置決めによる高精度化
ただし本製品はレプリカの鋳造品なのでガイズリーの機械加工の精度は高くありません。自分の感覚的にもマウント、リングの合わせ面やスコープ搭載部の精度はイマイチに感じます(使えないことは全くない)。
スコープを取り付けてこのマウントでM4系に取り付けてみましたが高さ的にはバッチリでした(自然に目線と合う高さ)。位置的に低すぎず高すぎずの良い感じで自分が愛用している東京マルイさんのフェイスガードでも問題なさそうでした。高さが気になる場合はライザーレールや本製品のハイマウントタイプ 1.93inchで49mmがあります。
総合的にコスパが高く良いモノだと思います。
レプリカを通してガイズリーの技術を少しだけ見てきましたが基本的に機械加工がすごく上手なことに加え自前でかなりハイレベルなメカ設計技術を持っているように感じました。製品の形状から最新3D CADは当たり前ですが加えてそこそこのCAE(シミレーション)技術もありそうです。悪い意味での職人気質で勘と経験でやるのとは正反対に見えます。自分的にガイズリーの商品群は高価にも関わらずよく採用される理由がわかった気がします(流石に特殊部隊メインの採用)。
以上、お付き合いありがとうございました。
・ガイズリータイプ ワンピーススコープマウント 25-30mm対応
カラー(ブラックorタン)、高さ違い(1.57インチor1.93インチ)、水平器有無はお好みで選んで下さい。個人的にフェイスガードをする方は高さ1.93インチがオススメです。
個人的なお勧めで私はエアソフト本体やパーツ関連の多くをアマゾンのプライム会員に入って購入しています。
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