はじめまして、当サイトの運営者、著作者のkazubara と申します。
元 Honda R&D(二輪)のパワートレイン開発部門で、エンジン・駆動系設計、CAE解析(流体/熱/構造)を経て、後半は社内の横断的な組織に異動しシステムズエンジアリング(MBSE) を用いた設計プロセス構築、現場普及プロジェクト に携わってきました。
運が良いことに2輪最小サイズの50ccスクーターからCRFシリーズ(オフロードレーサー)、大型2輪(NC750、CBR650RやV型多気筒エンジンの先行開発)まで、量産・レース・先行技術と幅広い領域のプロジェクトに携わることができました。
それまでの経験を活かして現在では、技術アドバイザー|技術記事の監修|当サイト運営を行っています。
折角の機会なので少し過去を振り替えながら自分のやってきた仕事を紹介させていただきます。
Honda R&D時代の概要
Honda R&D時代の略歴と思い出に残ってる代表的な開発機種を紹介していきます。
※記載内容は全て株式会社本田技研工業 公式WEBサイトに記載されています。
モトクロッサーCRF(150R、250R、450R)シリーズの開発
シリーズを通じて主にエンジン・駆動系の設計を担当しました。途中から設計者が使える簡単なCAEを使い始めています。
・初代CRF150Rの開発:開発中期から量産立ち上げまでと年次改良モデルの担当。
開発背景と狙い:環境問題、規制の高まりにより従来の2サイクル 80ccモトクロッサーから環境性能が向上する4サイクルモデルを開発。業界では唯一の150ccモトクロッサーです。


参考資料リンク:CRF150R プレスインフォメーション(パワーユニット部を共同執筆、監修)
入社後、初めての仕事で右往左往してました。入社目の設計者のイメージは椅子に座って図面を書いている人だったのですが、そんな幻想は打ち砕かれました。
・CRF450Rのフルモデルチェンジ、モトクロス業界初のFI化モデル:開発中期から量産立ち上げのフェーズまでを担当
開発背景と狙い:高まる環境性能に答えてFI化を図ったモデル。FI化に伴って扱いやすさNo.1を狙った設計で当時は世界最軽量のエンジンでした(車体重量も最軽量)。


参考資料リンク:CRF450R プレスインフォーメーション
仕事がきつ過ぎて扁桃腺が腫れて熱を出して倒れました(笑)。試作での作り込みは楽しかったのですが、試作から量産への移管が地獄でした。
・CRF250Rのフルモデルチェンジ、250ccモトクロッサーでは業界初のFI化:構想から量産立ち上げまでを担当
開発背景と狙い:先にFI化した450ccのノウハウを受け継いで圧倒的No.1性能のモトクロッサーの開発。出力、重量の共に世界最高レベルを達成できました。


参考資料リンク:CRF250R プレスインフォメーション
自分の設計哲学を完全に盛り込めた機種でした。開発途中で挫けそうになりましたが無事に量産、販売されてホッとしました。
・ワークス車両の開発・海外レース支援:構想からレイアウト、詳細設計とレース現場支援を担当

プレッシャーに押しつぶされそうで吐きそうでした。その代わりに設計者としてはやりたい放題でした(笑)。
・CATIA V4、CATIA V5・・・2Dメインで3Dは補助
・CATIA V5 ANALYSIS
スクーターの開発・市場品質対応・先行研究開発
スクーター時代を通じて担当したのはエンジンと駆動系の設計です。スクーターの駆動系はベルコン式CVTです。
・原付スクーター50ccのCrea Scoopyのフルモデルチェンジ:構想から量産立ち上げまでを担当
開発背景と狙い:高まる環境性能の要求に答えるためにFI化。空冷50ccでのFI化がチャレンジポイントでした。

私にとっては初めての海外拠点生産機種の経験でした。国によってこんなにモノづくりの常識が違うものかと驚きました(英語も通じない)。
・企業別燃費規制CAFE対応のスクーター燃費技術の開発
開発の背景と狙い:年々高まる燃費規制CAFEに対し、先行でスクーターの燃費技術を開発して未来に備えるテーマ。

責任は重い仕事でしたが、未来技術の開発なので、量産性の要求の緊急性は高くないのでやりたいことができた開発でした。
・ジャイロキャノピー法規対応開発:構想から量産立ち上げまでを担当
開発の背景と狙い:三輪独特の法規対応。

まさか2輪に配属されて3輪をやることになるとは夢にも思いませんでした(笑)。某巨大ピザチェーンのアメリカ本社の社長さんがジャイロキャノピーのことが大好きらしく、わざわざ日本の開発現場までいらっしゃって試乗し満足して帰って行きました。
・スクーターLEAD125のフルモデルチェンジ:構想からレイアウト、詳細設計から仕様Fix、試作車仕立てまでを担当
開発背景と狙い:大幅な商品魅力向上を狙って、従来の110ccエンジンからFIを搭載した新規4サイクルエンジンの開発。信号ダッシュNo.1を狙ったエンジン(もちろん、法廷速度以内)。


参考資料リンク:LEAD125 プレスインフォメーション
新規エンジン開発だったので構想、レイアウトだけでも非常に大変でしたが、それ以上に部品のグローバル調達、複数拠点での組立に伴う調整が大変でした。そもそも部品によって通貨が異なるのでコスト計算が地獄でした(見たことがない通貨だらけでわけがわからん)。
・市場品質対応
流石にスクーターだと販売機種、販売台数も莫大なため様々な市場品質対応案件が発生しており対応に追われることになりました(一時期、眠れない夜がいくつかありました。役員報告案件は地獄過ぎる)。
・CATIA V5・・・2Dと3Dのハイブリット
・CATIA V5 ANALYSIS
大型2輪の開発
大型2輪時代を通じて担当した業務はエンジン設計です(駆動系は離れました)。ここで本格的にCAEも使い始めました(設計CAEコンセプト)。
・NC750の新開発:構想から詳細設計、仕様Fixまでを担当
開発の背景と狙い:好評だったNC700の大幅な魅力向上のために従来のエンジン660ccを750ccにスケールアップする開発。やっぱり日本では”大型バイクはナナハン(750cc)でしょう”と言う声を受けて大幅な商品魅力向上を図りました。

初めての大型2輪開発でしたが冷静に考えると1気筒あたりは375ccなのでいつもがんばるだけでした。
・CBR650Fの新規開発:構想からレイアウトまでを担当
開発背景と狙い:速さを追求する大型2輪ではなくて余裕のある扱いやすいエンジンをコンセプトに開発。本気で走るとそこそこ速いけど基本的にはジェントルで上品なエンジンを目指して開発。


参考資料リンク:CBR650R プレスインフォメーション
ジェントルとは何か?と思い悩みながら設計をした記憶があります(笑)。
・V型多気筒エンジンの先行開発:構想、レイアウトまで担当
これまで得てきた経験を全てつぎ込んで設計しました。個人的には自分の集大成的なエンジンです。
・CATIA V5・・・完全に3Dメインで2D図は補助。
・CATIA ANALYSIS
CAE解析:設計者CAEコンセプトの推進、機械要素部品の研究
設計者が電卓代わりにCAEを扱う設計CAEコンセプトを広めるため、設計業務を担当しながらCAE解析を行っていました。
・流体シミレーション 定常流(ANSYS FLUENT FOR CATIA、ANSYS FLUENT)
適切な乱流モデルを使ってエンジンの様々な流路の定常計算を行っていました。

・流体シミレーション 非定常流:VOF法による混相流や移動変形メッシュでのシミレーション(ANSYS FLUENT)
メインはVOF法を使ってスロッシング(オイル攪拌)の解析を行っていました。VOFの設定が大変なことは勿論ですが、メッシュ品質が計算の収束性に大きく関わるので、地味な手作業で一部のメッシュを修正していたことを思い出します。また計算負荷が高いので計算リソースの確保に苦労しました。


・構造解析 アセンブリーの構造解析(CATIA ANALYSIS)
複数の部品を組んだ状態での構造解析を行っていました。各部品の接触条件の設定が非常に難しく苦労した解析です。

・熱、流体、構造のマルチフィジックス解析
各領域を統合するソフトが一般化する前の時期だったので、各ドメインのソルバーの解析結果を吐き出させて別のソルバーにデータをインポートして連結していました。手作業で非常に大変でした。
・機械要素部品の研究
身に着けたシミレーション技術を活かして機械要素部品の開発を推進していました。設計とCAEを兼任していたので管理職的には工数確保が楽だったともいます(笑)。

・CATIA V5
・CATIA ANALYSIS、一部abaqus
・ANSYS FLUENT FOR CATIA
・ANSYS FLUENT
・内燃機関のクランクシャフト構造・・・潤滑系の発明
システムズエンジニアリング(MBSE)を用いた設計プロセスの構築と現場への普及
開発の直接部門を離れて開発プロセス、設計プロセスを構築する業務を推進していました。このフェーズでの業務はシステムズエンジニアリング(MBSE)を利用した業務プロセスの構築と現場への普及プロジェクトに携わっていました。
・システムズエンジニアリング(MBSE)に基づいた設計プロセスの構築:エンジン部門の代表として担当
開発背景と狙い:電動化やCASE、ISO26262など複雑化する開発に対応するためにシステムズエンジアリングを利用した業務プロセス改革。


当時としては新しい概念の取り組みのために自分自身の理解から始めなけれなければならず非常に難しい業務でした。2025年現在でも多くの日本企業が直面している大きな課題だと思います。
・システムズエンジアリング(MBSE)を実施するための環境整備:エンジン部門の代表として担当
開発背景と狙い:システムズエンジニアリング(MBSE)を実施するためのツールの選択、導入、環境構築、ツールのカスタマイズ


これまで聞いたことがないIT用語に困惑しながらベンダーさんと苦労して環境整備をしていました。
・構築した設計プロセスの現場への普及プロジェクト:エンジン部門の代表として担当
開発背景と狙い:構築した設計プロセスを実際に現場で使ってもらうサポート業務。
システムズエンジニアリング(MBSE)の概要から理解していただく必要があったので非常に苦労しました。どんな施策であれ現場に落とし込む苦労を身に染みて感じました。
以上がHonda R&Dでの主な業務でした。
・鞍乗り型車両へのナンバープレート取付構造・・・コストダウン系の発明
現在の活動
現在では2021年よりwebサイト Kazubara.netを運営しながら技術アドバイザー/技術記事の監修を行っています。

・初心者でもわかる機械図面シリーズ
・初心者でもわかる材料力学シリーズ
・初心者でもわかる機械材料シリーズ
・世界初ジェット旅客機コメット墜落事故から学ぶシリーズ
他
・月間平均PV50000
・平均検索順位6位
・平均CTR5.6%
技術アドバイザーとしては中部電力株式会社様から若手技術者用の研修資料の監修(本サイトへの掲載の許可済)、大学からの質問等を受けさせて頂きました。
また公益社団法人 日本鋳造工学会 中国四国支部様より応力集中、材料の破壊について公式サイトにリンクを貼って頂いてます。
技術相談、技術記事作成、監修などのご依頼
Honda R&D での経験をもとに、技術課題の相談/機械設計にまつわる相談/CAE方針の相談/プロセス改善/若手育成などを中心としたアドバイザー業務を行っています。
技術課題の棚卸や問題解決のプロセスの構築、再現性のある設計プロセスづくり、CAEの結果の解釈から設計への落とし込みなどを得意としています。
また技術記事の作成、監修や研修用の資料作成のお手伝い、チェックなどを行っています(特許のめくりも得意です)。
実施方法や料金、時間は内容に応じて 応相談 とさせて頂いておりますので、まずは内容のご相談だけでもお気軽にお問い合わせください(ご費用は発生しません)。
※スポット相談・資料レビューなどの軽微な内容から対応可能です。
※法人・個人いずれのご相談にも対応しています。
※守秘義務・秘密保持契約(NDA)にも対応しております。
・技術課題のばらし、トラブル解決、設計プロセスの構築(MBSE)、レビュー方法の相談
・CAEの方針確認、解析結果の妥当性評価
・トラブル原因の究明やトラブル解決のプロセスのお手伝い
・若手育成/レビュー項目づくり/教育体制づくり
・研修資料・技術コンテンツの監修・制作
・実施方法:リモート(Zoom)/対面(訪問)
・料金:1時間単位(スポット)、1日単位、期間契約など柔軟に対応(部署決裁・課内予算内での対応など)
・守秘義務は徹底し、必要に応じて秘密保持契約(NDA)にも対応します。


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