前回の投稿では東京マルイのリボルバープロ SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックをレビューしました。

今回は内部品質や内部メカニズムを見ながら分解していきます。
バレルセクションの分解
まずはバレル周りを分解していきます。

イジェクターロッドを分解していきます。

イジェクターロッドを分解すると以下のような部品が出てきます。

組み立てる時はピンの向きに注意しましょう。
次にシリンダを外すために以下の写真のフレームのネジを外します。

注意点として反対側はダミーのネジなのでドライバーで回さないように気を付けましょう(私は回しました)。

ネジを外せばピンが抜けてあまり悩まずにシリンダが取り外せます。

次にバレルを外していきます。
下の写真のイモネジを外します。

イモネジを外すとアウターバレルが取れます。
アウターバレルを外すとインナーバレルを固定しているパーツが出てくるので回して外します。

インナーバレルアッシーを後方に向かって抜いていきます。

インナーバレルを抜く途中でホップ調整ダイヤルが外れていると思うので失くさないように注意してください。
これでバレル周りの分解が完了です。

ここからはホップチャンバーを分解していきます。
まずはホップチャンバーのO-リングを丁寧に外します。

O-リングは非常に細いので切らないように注意してください。私は細いマイナスドライバーでゴムを傷つけいないように丁寧に外しています。
ここまででホップチャンバーの分解は完了です。

ざっくり構造や部品を見ると10歳以上用ですがかなり本格的なホップ機構が搭載されていることがわかります。
気になる部品を見ていきます。
まずはホップパッキンです。

いつもの東京マルイさんのコブタイプのパッキンです。パッキン形状は独自は東京マルイ 電動ハンドガン、コンパクト電動ガンのモノに似ている形状ですが互換性はわかりません。
インナーバレルです。

インナーバレルはアルミ製でホップ窓部は樹脂のパーツになっていました。バレルとホップ窓を一体で作るより安いのが理由だと思います。
これでバレル周りの分解は完了です。
・ドライバーセット
安いモノでも良いのですが手頃で高品質なものだとハゼット、トネ、KTC、ベッセル辺りが良いと思います。
メカニズム解説
ここでシリンダと残ったフレームを使って作動のメカニズムを簡単に解説します。

シリンダを見ていきます。
シリンダの回転はフレームのロッドによって押し上げられることによって回転します。

フレーム側にあるロッドです。

一方でシリンダの回転の固定は側面の弾丸マークの凹にフレーム側から出てくる凸が嵌ることによって固定されます。

フレーム側の凸形状です。

この凸形状は凸状態でも押すと凹む、離すと出てきます(ドアのロックと同じ)。
これらのシリンダを回転する動作、シリンダの回転を止める動作を切り替えることによって上手く作動せています。
その切り替えはハンマーと連動しているのでフレームの可動部品を見て行きましょう。
まずはハンマーに何もしていない、ハンマーレストポジションでのフレームの状態です。

このポジションではフレーム下側の凸が出てきているのでシリンダはロックされています。
さらに東京マルイさんの独自技術で発射のためのエアの吹き出し口が前に出てダミーカートを固定します。

固定と同時にダミーカートの弾頭が前進してホップチャンバーと接触しエア漏れを激変させる仕組みです。

これが東京マルイの独自技術でまともに弾を飛ばすのが難しいエアコッキング リボルバーをまともに機能させるデバイスになっています。
次にハーフコックポジションでシリンダを回転させられる状態を見て行きましょう。

ここで凸が下がる、エア吹き出し口が下がることによってシリンダはフリーになります。
ロッドが少し上がるのはシリンダの逆転防止のためです。

これで片側だけにシリンダが回る仕組みになっています。
最後にハンマーが発射ポジション、フルコック状態の様子です。

1,ロッドが上昇しシリンダが回転
2,凸が出てシリンダロック
3,空気発射口が出てカートが固定
この工程で発射準備完了となります。
ここまでからフレームの役割は以下のポイントになると思います。
・空気発射口の適切なタイミングでの前後移動させる
・凸の適切なタイミングでの上下移動させる
・ロッドを適切なタイミングで上下移動させる
この他にトリガー操作でハンマーの開放、エアの吐出が加わります。
これらのことを頭の片隅においてフレームを分解していきましょう。
グリップ部分の分解
グリップの一部分がトリガーガードに嵌っているのでトリガーガードを外していきます。
まずトリガーガードのネジを外します。

トリガーガードを外すとトリガーメカが見えます。

トリガーメカはここではそのままにして置きます。
グリップパネルのネジを外します。

グリップパネルを外すとの以下の写真のようになりエアシリンダが見えてきます。

ハンマーをフルコックするとリンクを介してピストンを押す仕組みになっています。

この仕組みからピストンを押す力はハンマーを倒す力に依存していることがわかります。
このことからハンマーの強度とピストンのスプリング荷重は密接に関わっていてスプリング荷重限界はハンマー強度で決まります。つまりハンマーが樹脂製であるのは余計な出力アップができないようにしているのも大きな要因だと思います。
シリンダカバーのネジを外します。

これでグリップが外せます。

グリップだけ交換したい方に取ってはちょっと面倒な仕組みになっています。
フレームの分解
まずはフレームの上部にあるイモネジを外していきます。

サイドパネル固定ネジを外します。

これでフレームのメカが見えるようになります。

ここでのポイントはエア吹き出し口が前後移動するメカニズムがわかります。
ハンマーをハーフコックすると以下の写真の部分の隠れたローラーとアームによってエア吹き出し口が後ろに移動します。

ハンマーをフルコックすると下のリンクを介してエア吹き出し口が前進します。

これでメカズムパートで解説したフレームの役割、エア吹き出し口の前後移動が実現されています。
次にハンマーメカを取り出していきます。
まずサイドパネルと結合されているネジを外します。

ハンマーメカを取り出します。

ここではシリンダを回転させるロッドに注目していきます。
まずは初期状態、ハンマーがレストポジションです。

ロッドの一端とハンマーが繋がっておりハンマーが動くと連動してロッドが動くのがわかると思います。
※スプリングは飛んで行ってしまうので省略
シリンダがフリーになるハーフコック状態です。

ロッドがハンマーと連動して少しだけ上がってくるのがわかると思います。少しだけの上昇なのでシリンダは回転せずにロッドはシリンダの逆転防止だけを防ぐ位置にいます。
シリンダが回転してロックするフルコック状態です。

ここではロッドが完全に上がりきってシリンダが回転しロックされます。
これでメカズムパートで解説したフレームの役割、ロッドの上下移動が実現されています。
残ったフレーム側を見るとエア吐出ホースを押すローラーが見えます。

シリンダは、はめ込まれていて外すのが面倒そうな構造になっています。
ハンマーメカ、トリガー部の分解
次にトリガー部分を見ながら分解していきます。
下の写真がトリガースプリング、シリンダロックする凸部のスプリングになっています。

シリンダロック用凸部のスプリングのイメージとしては下の写真のようになります。

トリガースプリングの取り外しの写真は省略して次にトリガーピン(セーフティ)を抜きます。

取り外した状態です。

次にシリンダロック用の凸を保持しているピンを抜きます。

ピンは圧入なのでピンポンチとベンチブロックがあるとかなり便利です(むしろないと分解できない)。

最後にハンマーのピンを抜きます。このピンは方向があるので注意が必要です。

これでほぼ全部の分解が完了です。

・シグネット ピンポンチセット
高級ブランドではありませんが、自動車業界ではコスパが良い中級ブランドでおススメです。しかも安いです。
・イーグルフォース メンテナンスベンチブロック ハンドガン用
あるとかなり便利です。しかもハンドガン用で長モノにも十分、対応できるので重宝します。むしろ同社のM4用は個人的に必要性を感じませんでした。
・ベッセル プラスチックハンマー
安くて頑丈で長持ちします。サイズはコントロール、パワーのバランスで1ポンドがオススメです。
ハンマーとトリガー、シリンダロック用凸の動き
ここからはハンマーと連動する部品の動きを見て行きましょう。

まずはトリガーとハンマー、シリンダロック用凸の関係を見ていきます。
初期状態、レストポジションです。


シリンダロック用凸がスプリングに押されて上がっている、シリンダがロックされます。
ハーフコック、シリンダフリー状態です。


ハーフコック状態ではハンマーのカムに押されてシリンダロック用凸は下がります、シリンダのロック解除です。
フルコック状態です。


シリンダロック用凸はハンマーのカムを乗り越えて再び上昇、シリンダがロックされます。
これでメカズムで解説した適切なタイミングでシリンダロック用凸を上下させるメカニズムが理解できるはずです。
レビューで紹介した謎コックは以下の位置で発生します。

シリンダロック用凸がカムを乗り越えてシリンダロック、トリガーはハーフコック位置でかみ合いになります。
この状態が狙って設計したのか、意図せず発生したのかよくわかりません。ハンマーのカムの位置を下にずらす、カムの長さを伸ばせばハンマーが3ポジションで収まったはずです。
実物モデルがハンマーが4ポジションなので拘ったのでしょうか?
これで大方の分解、メカニズム解説は完了になります。
まとめ

分解した全体の印象としては10歳以上用にしてはかなり複雑で部品数が多い製品で精巧に出来ているなという印象です。
内容が濃い中身なので分解もそれなりに時間が掛かりはじめての場合ならおおよそ1時間~1時間半くらい見ておくと良いと思います。
分解して驚いた部分としてはフルスペックの可変ホップ機構とカートの弾頭の出し入れ機構です。この辺は造形だけではなくエアガンとしてしっかり命中性精度を持った製品を作ろうという意気込みを感じます。
その他のメカニズムは他メーカーのリボルバーと同等レベルの機構を備えており10歳以上用、価格を考えるとかなり凄いと思います(タナカのペガサスシリーズは別)。
内容からして価格以上の価値があるように感じました。
気になった点としてはパワーアップは機構的にほとんどできないことでしょうか。
発射機構上、空気を押し出すスプリングの荷重はハンマー強度に依存するのでスプリング荷重を上げる余力はほとんどないと思います。もし初速を上げるんだったらエアシリンダ系ではなくバレルを細い径にする、長くすることでしょうか。
もう一点は気軽なカスタムのグリップ交換が少し面倒なことくらいでしょうか。他には量産品なのでグリスの塗りが甘いことくらいです。
いくつか気なる点を述べましたが全体的には精巧に出来ていてかなり良い製品だと思います。
もし皆様のメカニズム理解、分解の参考になれば幸いです。
次回は気になったグリスの塗りが甘いことを踏まえてカスタムしながら組み立てて行きます。

・東京マルイ SAA.45 アーティラリー 5.5インチ
レビューしたモデルです。リンク先でシルバーも選べます。
・東京マルイ SAA.45 カート
付属以外に1セット追加しておくとリロードがより楽しくなると思います。
・東京マルイ SAA.45 キャバルリー 7.5インチ カスタム
7.5インチのキャバルリー(騎兵)モデルはカスタムエディションで少し価格が高めです。
・東京マルイ SAA.45 シビリアン 4.75インチ
4.75インチのシビリアン(民間)モデルは色が黒、銀が選べます。グリップは木目調になっています。
他にもエアコッキングガンレビューを書いているので良かったら覗いて見て下さい。
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