前回は、東京マルイ SAA.45 アーティラリーの分解と仕組みについて解説しました。

今回は、前回の気になった点を振り返りながら整理し、実際の作業を進めていきます。
気なった点の振り返りと改善点
前回で気になった点は以下の項目になります。
・初速の向上が構造上難しい
・グリスの塗りが甘く動きが渋い部分がある
初速の向上に関してはバレル交換で出来そうですが本モデルの特色としは飛距離を伸ばして遊ぶというよりはギミック重視だと思うのでそのままにします。
各部の動きの渋さはグリスの塗り直しで対応していこうと思います。グリスはいつものベルハンマーゴールドグリスを使ってさらなる動作性向上を狙っていきます。
・ベルハンマー No.0 ゴールドグリス
定番の超優良グリスです。No.0は粘度が低いグリスです。私は基本的に樹脂パーツ同士、樹脂ー金属パーツにはNo.0を塗っています。
上記の2点に加え塗装の仕上げが艶消しブラックみたいな色で金属感を感じにくい色なので表面を磨いて光沢を出して行きます。
構造上、初速の向上は難しい→そのまま
グリスの塗りが甘く動きが渋い部分がある→ベルハンマーグリスで塗り直し
表面の質感を変更→研磨
これを基に組み立てて行きましょう。
表面の研磨
全体の塗装に金属感を出すために表面を磨いていきます。
本来であれば塗装をして塗膜厚を多めに確保してから研磨した方が下地が出てくる心配がないのですが面倒なので塗装はそのままで磨いていきます。
磨くのに使う道具はWAKOSのメタルコンパウンドと布を使って磨いていきます。
・WAKOS メタルコンパウンド
磨きの定番です
・クリーナークロス
メガネ吹きみたいな布なら何でもいいと思います。
今回は塗装はそのままなのでクリーナークロスにちょっとだけメタルコンパウンドを付けてひたすら磨いて行きます。

磨いた部品は下の写真のように光沢が出ます。


磨き終わったらメタルコンパウンドが付いていないクリーナークロスでメタルコンパウンドを拭き取ります。
どうでしょうか?少しは金属感が出たと思います。
研磨前

磨きすぎると下地が出てきてしまうので磨きすぎないように注意が必要です。

このようにして外装部品を全て研磨したら完了です。

ちなみにダミーカートは塗装が薄く磨くと直ぐに下地の肌色が出てしまうので止めておいた方が良いと思います(そのままで十分に質感が良い)。
ハンマー、トリガーユニットの組み立て
ハンマーを組み立てて行きます。使用する工具は分解編を参考にしてください。
使う部品としては以下の部品になります。

ハンマーの摺動部にグリスを塗っていきます。


ハンマーにアームを乗せます。

このハンマーをインナーフレームに組みます。

組んだインナーフレームを反対側にしてハンマーピンにグリスを塗って組みます。ピンを挿入するのは下の図の側から挿入するので注意して下さい。

ピンの向きも決まっているので注意してください。

再びインナーフレームを反対側にして下の図のエリアにグリスを塗ります。

次にトリガー周りを組んでいきます。使う部品は以下の部品になります。

まずはシリンダをロックする部品にグリスを塗ります。

シリンダをロックする部品をインナーフレームに組みます。

ピンにグリスを塗って挿入します。

次にトリガーにグリスを塗ります。摺動部にグリスを塗ります(写真を撮り忘れたので画像はありません)。
トリガーピンを組み立てます。トリガーピンもグリスを塗っておきましょう。

トリガーを組んでピンを挿入します。ピンを入れる向きは決まっていますが構造上、挿入できる向きが決まっているので見ればわかるようになっています。

最後にトリガースプリングを組んでトリガーユニットの組み立ては完了です。

ここまで組み立てた状態です。


ここで各部の動きのチェック、グリスを塗り忘れた摺動部があれば部品の隙間から塗れるので確認しておくことをおススメします。
フレームの組み立て
組み立てたインナーシャーシをフレームに組み込んでいきます。

組むときにスプリングが外れやすいので注意して下さい。
上手く組めれば下の写真のようになるのでグリスを塗っておきます。

次にエア排出口を作動させるアームを組んでいきます。

上の部品をスプリングが飛ばないように注意して組んでいきます。

このままサイドパネルを組んでスプリングが飛んで行かないようにします。またエアシリンダの動きを良くするために可動部にグリスを塗ってリンクロッドを組みます。

ここからは残りの外装部品を組めばフレームは完了です。
左側のグリップとエアシリンダカバーを取り付けて以下の場所のネジを締めます(サイドパネルのネジの締め忘れに注意)。

トリガーガードを取り付けて下の写真のネジを締めます。

忘れがちなフレーム上部のイモネジを締めれば完了です。

祭儀に右側のグリップを付けてフレームの完成です。


バレル周りの組み立て
まずはホップパッキンをインナーバレルに組んで行きます。
ホップパッキンを組む前に念のためシリコングリスを下の写真のように塗って機密を高めておきます。

・AZ シリコングリス
定番のAZ社製です。東京マルイさんの純正グリスでも十分ですが量が少ないのでAZがおススメです。安いです。
ホップパッキンを丁寧に組みます。

ホップチャンバーを組み立てます。

残った部品を組み立てればホップチャンバー、インナーバレルの完成です。

ここでホップの量を変更しながら凸の出具合、出る方向を確認します。

これでホップ周りの組み立ては完了です。
インナーバレルを変更する場合も組み込み方法は同じなので参考にしてください。個人的にはフリーダムアートさんのバレルが初速が上がりそうでいい感じです。
・フリーダムアート 東京マルイ SAA用 アキュバレル
純正の長さ65mmに対し100mmで材質もアルミから真鍮に変更されています。初速が箱出し、0.12gで41m/sくらいから47m/s以上に向上するようです。
完成したバレルをフレームに組みます。

次にアウターバレルを組みます。

シリンダを組みます。

シリンダの軸をネジ留めして固定します。

最後にイジェクションロッドを組んで完了です。

完成
今回のカスタムは作動性は向上させたものの性能向上はほぼなく、見た目を変更がメインなので初速計測は省いて外観を見て行きましょう。
左側面

カスタム前

右側面

カスタム前

上面

カスタム前

箱出しのマットブラックのような色合いからかなり光沢が出て高級リボルバーのような雰囲気が出たと思います。
まとめ

今回は見た目重視の作動性向上カスタムを紹介しました。
見た目は面倒な塗装工程を省いたにも関わらずたそこそこ向上できたのが今回のポイントです。コスト的にもメタルコンパウンド代(布がなければ布代)くらいで済みます。
ただし時間はかなり掛かりますが磨いていると段々と光沢が出て楽しくなってくると思うので苦に感じることはそこまでないと思います。
まとまった時間を作ってお酒でも飲みながらゆっくり磨いているとかなり楽しい時間を過ごせると思います。ただし分解、組み立ては飲みながらやると間違い、部品紛失、最悪時は怪我に繋がるのでお勧めしません。
さらなる質感向上としてグリップあたりを変えるともっと楽しめると思います(またはグリップ塗装へのチャレンジなど)。
性能に関してはグリスアップ、丁寧な組み立てだけなので上がりませんが作動性は確実に良くなりました。特にシリンダロックパーツ、ハンマーの初期の動きが良くなっているのでシリンダをフリーで回転させるハーフコックがかなりやり易くなっています。
初速向上に関しては今回は手を出しませんでしたが記事内で紹介したバレルを入れてやれば上がります(やり方は本記事を参考にすれば組み込めます)。
このような感じ10歳以上用なので無理に性能を向上させるよりも素材の良さを活かして質感アップのカスタムがコスパ良く楽しめる製品だと思います。
以上、東京マルイ SAA.45 アーティラリーのカスタム紹介でした。
・東京マルイ SAA.45 アーティラリー 5.5インチ
レビューしたモデルです。リンク先でシルバーも選べます。
・東京マルイ SAA.45 カート
付属以外に1セット追加しておくとリロードがより楽しくなると思います。
・東京マルイ SAA.45 キャバルリー 7.5インチ カスタム
7.5インチのキャバルリー(騎兵)モデルはカスタムエディションで少し価格が高めです。
・東京マルイ SAA.45 シビリアン 4.75インチ
4.75インチのシビリアン(民間)モデルは色が黒、銀が選べます。グリップは木目調になっています。
他にもエアコッキングガンレビューを書いているので良かったら覗いて見て下さい。
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