今回は修理を頼まれていたマルシンさんのCO2 ガスブローバック FN Five-seveNの修理を実施していきます。
まずは破損の状況から紹介します。
破損状況と破損形態
昨年の秋頃に依頼者と一緒にサバゲーに行ってて依頼者がシューティングレンジから戻ってくると、ファイブセブンのスライドを引いてもハンマーがダウンせずにいくらトリガーを引いてもエアガンが作動しませんでした。
まずは現地できるところまで分解したのですが、原因がすぐにわかりました。
ハンマーを保持するシアーが折れていました。
今までにどのくらい撃ったのかと尋ねると、どうも2000発も行かないくらいのようです。
破断面をよく観察すると鋳物の品質があまりよくないのと、低サイクル疲労破壊っぽいので設計ミスに近い感じがします(個人の意見です)。
部品がないと修理できないことがわかったので、その日は他のエアガンで遊んで帰宅しました。
依頼者には申し訳なかったのですが、それから少し経ってからマルシンさんにシアーとハンマーassyを注文しました。
注文の仕方は電話で在庫の確認をしてから現金書留で送料込みで支払いをしてから部品が来ます。
書き留め代金が微妙に痛いです。
あと、書き留めを送ってから部品が届くまで1週間以上かかるのが現代の通販事情に慣れてしまった自分としては少しがっかり。(KSCさんみたいにオンラインが良いです)
・シアー 600円
・ハンマーassy 3000円
シアーは今後も折れそうなので2個ほど買っときました。
ただ残念なことに執筆時点(2021年2月)ではマルシンさんの再販に伴いシアーも部品が変わっており、調べると亜鉛かアルミの削り出しになるようですが、私のところに来たのは従来の鋳物のシアーでした(問題があることを把握してたっぽい)。
再販品を優先したんでしょーか?残念です。
修理
修理を始めるために分解していきます。
まず普通にスライドを外します。
フレーム後方のピンを2本抜きます。
・シグネット ピンポンチセット
高級ブランドではありませんが、自動車業界ではコスパが良い中級ブランドでおススメです。しかも安いです。
・イーグルフォース メンテナンスベンチブロック ハンドガン用
あるとかなり便利です。しかもハンドガン用で長モノにも十分、対応できるので重宝します。むしろ同社のM4用は個人的に必要性を感じませんでした。
・ベッセル プラスチックハンマー
安くて頑丈で長持ちします。サイズはコントロール、パワーのバランスで1ポンドがオススメです。
注意点ですが上のピンは抜け止めのEクリップが入っているので外さないと抜けません。
外したEクリップです。あまり仕事をしてないクリップなので再破損時のメンテ性から外したままにします。
ピンが抜ければハンマーユニットが取り外せます。
シアーが折れてぶら下がっています。
破損の起点です。
赤枠部が破損しているシアーです。これは写真のマイナスボルトを取り外せば外れます。
参考までにハンマー廻りの写真を載せます。
興味深いのが東京マルイさんと異なってノッカーリターンがハンマーユニットの内側に付いています。
ノッカーリターンが引っ込んだところ。
上から見たハンマー全容。CO2の圧力に負けないようにハンマースプリングがかなり強そうです。
ここで調達したハンマーassyとシアーを交換すれば終わりですが、折角、私に頼んで頂いたので簡単なメンテをします。
まずスライド側を分解します。
次の写真のスライド後端とリヤサイトのネジを3本外せばスライドが分解できます。
・ドライバーセット
安いモノでも良いのですが手頃で高品質なものだとハゼット、トネ、KTC、ベッセル辺りが良いと思います。
ブローバックエンジン側のネジ2本
そうするとインナーフレームが取り出せます。
スライドストップを受け止めるプレートを外します。
私にバレせるのはここまでが限界でした。
ブローバックエンジンを留めているボルトが尋常じゃない硬さで外れませんでした。
仕方がないので、軽くシリコンスプレーで洗浄して組み立てるだけです。
今回は、部品の摺動部にベルハンマー No.2 極圧グリスを塗ってみました。
・ベルハンマー No.2 ゴールドグリス
定番の超優良グリスです。No.2はNo.0と同じ成分で粘度が硬めになります。私は基本的に金属ー金属パーツに使います。
次に給弾ノズルを引っ張ってブローバックエンジンを覗いてみます。
真鍮ですね。
ブローバックユニット内はシリコンスプレーで黒い色が流れてこないくらいまで吹いてやりました(かなり汚れています)。
後はフレームを組んで完了。
ハンマーを倒してシアーが掛かるのを確認。
シアーが解放。
シアーがハンマーを押さえています。
トリガーを引くとシアーが解放されてハンマーが落ちてバルブノッカーが顔を出します。
かなりハンマースプリングが硬いのにも関わらずシアーの肉厚がかなり細いので破損した方も多いのではないでしょうか?
シアーの破損品と新品(左が破損品、右が新品)
性能に関係するところをいじっていませんが、いつものクセで測定しました。(マルイ バイオ 0.2g、ホップ目盛り0)
初速計のレビューも良かったら覗いて見て下さい。
実射動画(部屋の温度が12℃くらい)
動きが良いので私も何かCO2ガスブロが欲しくなりました。
・マルシン Five-Seven CO2 アルミピストン ver.2
基本的に良くできていると思います。
Ver2はシアーが削り出しになっていて対策されているはずです。
・マルシン Five-Seven CO2 真鍮ピストン ver.2
真鍮ピストンで少しだけ重いのでブローバックの重みが上がります。ver.2は対策されているはずです。
・予備マガジン
安全性が高い構造で安心です。
ひどいメーカーのものは破裂します。
・マルシン CO2ガス 30本入り
値段、品質のバランスはマルシンさんが一番だと思います。
まとめとアドバイス
破損したら私に頼むのも別に良いのですが、メーカーに送ると安く直してくれるようです。(どのくらい時間がかかるかわかりませんが)
部品形状を見るとそんなに撃たなくてもシアーの強度が足りないため折れます。なので予備で持っておくと良いと思います。
ポンチとラジオペンチが有ればその場で治せます。
さらにこれから購入を予定している、部品の購入を頼む方はシアーが亜鉛の鋳物からアルミか亜鉛の削り出し部品になっているようなので通販なら生産時期のチェック、お店で買う場合は実際に目視確認させてもらってから購入すると良いでしょう。
シアーを見れば表面の滑らかさで旧品か対応品かわかります。ピカピカしているのが対応品で少し曇った色が旧品です。
ついでにガスブロのメカニズムに興味がある方は解説させてもらっているので覗いてみてください。
CO2マガジンの強度計算をやってみたので、できれば覗いてみてください。
執筆時点で2021年で、とあるメーカーの密閉型CO2マガジンが構造上、破裂するので良く注意してください(実際に破裂して怪我をしている人がいる)。
個人的なお勧めで私はエアソフト本体やパーツ関連の多くをアマゾンのプライム会員に入って購入しています。
意外と本体、パーツ共にラインナップが充実していて最安値では無いもののそこそこの低価格で安定的に購入できるので重宝しています(小物だと買いに行くのがめんどくさいので重宝)。
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コメント
コメント一覧 (6件)
凄いですね!自分で修理出来るなんて!私も同じ銃持って居ますが!同じ症状です!ピストンもなんか変何ですよ
マルシン工業修理頼む寄り貴方様にお願いしたいです!小遣いが少ないもので中々修理出せなくて!早く修理したいのですかね?CO2の反動が好きです!貴方様の用に腕が有ればと思います!
長谷龍郎様、コメントありがとうございます。
いえいえ、仕組みがわかれば誰でもできると思いますよ。
このシアーは明らかに荷重に対して弱すぎる部品なので他にも発生している方は、多いと思います。
最近でた最新のロットでは、材質と加工方法を変えて強度が上がったものに変わっているようです。
ピストンの方は、見てみないとなんとも言えないのが正直なところです。
もしどうしても私にお願いしてくださるのならばお問い合わせからご連絡をいただければ検討させていただきます。
ただお勧めとしては、難しくない内容だと思うのでブログを参考にご自分でトライされてみるとより楽しく製品と付き合ってけると思います。
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知り合いが動きが悪くて使えない旋盤に、付けて生き返ったそうです。
その直前、トーヨーのスーパーセブン買ったけど、やはり使えず、返品できてよかったそうです。
ねこ丸様
コメントありがとうございます。(かなり遅くなり申し訳ありません)
カートリッジを見てみました。超お得ですね。
参考にさせていただきます。
シアの画像拡大してみました。
シアの底の角は鋭角なので亀裂が入りやすいですね。
もっと丸くしてほしい、丸くしたくっても
1から削り出さないと難しいですね。
ねこ丸様
コメントありがとうございます。(かなり遅くなり申し訳ありません)
シアーは形状もさる事ながら製造法も鋳物なのでかなり高い確率で壊れると思います。
ただしメーカーで対策したみたいで2022年1月頃からのロット(カラーバリエーションが増えた)からシアーとスラードリリースが鋳物からアルミ展伸材(ジェラルミン)の削りになったようです。
できれば最初からそうして欲しかったです。