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Kazubara
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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。仕事などのご依頼は下のお問い合わせボタンからご連絡下さい。

初心者でもわかる実践的な図面の見方

機械図面の記載内容の配置

筆者は15年間ある自動車メーカーでエンジンの設計職だった(設計改革みたいなものも研究した)。

私は15年間で退職してしまったので後輩達に自分の知識、経験、知恵を十分に伝えられなかった後悔がある。

しかしながら辞めてしまった以上、直接教えることができなくなったのでせめてインターネットを使って世の中の若手の技術者にその経験を広く伝えたいと思う。

話は本題である図面に戻ろう。

執筆時点(2021年初頭)では設計図面はおそらく2D図面ではなく、ほとんどが3D図面になり3D図面が主流になっていると思う。

だが筆者は3D図面だけでは機械設計は成り立たない“と思っている。

理由はいくつもあるのだが3Dがわかりやすく表せること(主に形状など)、2D図面がわかりやすく表せること(公差、粗さ、製造情報など)が異なるのだ。

つまり3Dと2Dで対立するのはなく、お互いを上手く使って行けば良いだけである。

なので3D図面や3Dを自由自在に創れて2D図面が読める、描けるという技術は必ず必要になると思う(片方だけではダメ)。

そこで改めて筆者の経験を素にまずは基本となる2D図面の実践的な見方を紹介したいと思う。

ここで筆者が強く注意したい事は大学の教科書などの専門書では“まず外形線が0.6mmでー“とかの細部から入るのに対し、もっとマクロな視点から実践にすぐ使える考え方を紹介したい。

目次

図面の構成

まず最初にJISに基づく図面の構成を紹介しよう。

図面の構成

①図枠

②標題欄

③加工記号

④ノート(注記)

⑤形状と寸法

からの基本形から成り立っているのが多いと思う。

普通の感覚だったらまずは絵(形状)をすぐに見たくなると思うけど我慢してほしい。

絵(形状)を見る前にチェックをしておかないと酷い間違いを犯す項目がたくさんあるのだ。

ではまず始めにどこを見るか。

それは①の図枠を観よ!!決して最初に寸法の入っている形状を観ないようにしよう。

理由は順に説明していく。

図枠について

まずなぜ図枠が最初なのか?

それは図枠の大きさで設計されている物体の大きさから製造に必要な設備の規模感や金型の大きさ、工程などが大まかに掴めるからだ。

極端な話であるが昔は図面のサイズだけで大まかなコストが決まると言われている位に全体の大きさを把握することは重要なのである。

例えば製造する側から見ると図枠の大きさで鋳造、鍛造、射出成形であれば金型の大きさがある程度決まるし、切削するにもどのくらいの大きさの加工設備や工程の規模感が掴める。

筆者が入社したての頃は同じ内容でも図面の大きさでコストが変わったり、図枠が大きいだけで上司に嫌がられた。

つまり図枠を確認することで図面の部品の大まかな大きさ、製造に必要な規模感、製造方法を大まかに捉えることができる。

一応、説明しておくと図枠についてJISに基づいていればサイズはA0、A1、A2、A3、A4と決まっている(日本以外のISOでも一緒だと思う)。

では図枠の次に観るのはズバリ、②標題欄である!

標題欄

まず標題欄には何が記載されているのかを大まかに説明しよう。

日本のまともな会社ならば99%同じだと思う。

標題欄の構成

1部品名称

2、部品番号

3、材料(+熱処理、材料硬度)

4、縮尺

5、その他(一角法、角法、図面の改訂履歴、知的財産マーク、重要管理などの各社独自の情報)

である(他にも色々あるが紹介している5つは必ずあると思う)。

⑤に関しては各社でルールが大きく異なること、その図面を理解することとは少し異なる情報なので今回の説明では触れる程度にする。

①部品名称

部品名称が大切な理由は、図面が何を表しているのかを一言で示すものだからだ。

特に注意してほしいのが部品名称にCOMP、ASSYなどがある場合は要注意で、その名称が部品名についている場合はその図面は単純な部品図ではないのだ。

そもそも図面には細かく全ての寸法が記載されている部品図、2〜3個くらいの部品の結合(圧入、溶接)を表すCOMP図、多くの部品の組み方を示すASSY図、製品全体の組み付け方を表す組み立て図などのたくさんの種類があり、それぞれの図面は目的によって記載される内容が異なるのだ。

なので形状と寸法を見る前に必ず部品名称をチェックしとかないと図面の目的がわからないので混乱するのである。

例えばCOMP図なのに部品名称をチェックしないで部品図だと勘違いしていると、記載されている寸法が部品図に対してかなり少ないのでびっくりすると思う。

さらに多くの場合、部品の名前の付け方は各会社の決まり(各社の独自規格)などで規則があり、基本的にどんな役割、目的を持った部品なのかわかるようになっている。

ここまでで部品名称の大切さがわかってもらえたと思う。

②部品番号

次に見てほしいのが部品番号だ(略して部番と呼ぶことが多い)。

実は部品番号には部品名称以上に多くの情報が隠されているのだ。

筆者の経験で知る限りだと部品番号に隠れている情報は

部品番号の隠された情報

・部品のカテゴリー(例ばネジ、ワッシャー、O-リング、ピストンなどの単品からエンジンのような組図)

・適用される機種や製品

・仕向地(出荷する国や場所)

・設計変更の遍歴

・部品の結合の種類、状態

・自社設計部品、他社設計部品

・試作or 量産

など

こんなにたくさんの情報がわかってしまうのだ。

当然ながら各社で厳密な部番の決め方の厳格なルールがありトップシークレットだ。

しかしながら自分のいる会社で一度、覚えてしまうと同業界の他社も似たような決め方をするので、他社の部番を見ても大体の意味はわかってしまうのだ。

なので図面を見る場合には自社図面なら自社の部番の仕組みをしっかり理解してから読もう。

他社図面なら部番のルールを機密の限界まで教えて貰って部番を見ると良いと思う(機密契約を結んでいればかなり深いところまで教えてくれると思う)。

このように部番が理解できればより図面を見るために必須となる事前情報が掴めるので、より誤解なく図面を読み進めることができようになるのである。

また部番のルールがよく解っていれば場合によっては部品名称よりわかりやすいことがある。

筆者は部品番号でどんな部品なのか、どこに組み付けるのか、固定方法などのおおよそのことは理解できる。

また他社の部品番号でも似たような規則が多いので完璧とはいかないが理解できる。

ちなみに設計者として企業に入ると、一番最初に叩き込まれることの一つが部番のルールなくらい重要のルールである。かなり重要なことで設計者は部番がわからないと仕事にならないのだ。

③材料

材料は当たり前だがかなり重要で形状を見る前に材料を見ることでわかることがたくさんある。

材料が適切に選択されておれば図面に描かれている部品が稼働中にどのくらい負荷のかかる部品なのか解る。

例えば負荷が高い部品であれば鉄系や特別な鍛造アルミ、チタンであることが選択されることが多く、負荷が軽い部品であればアルミ合金、マグネシウム合金、板モノ材、樹脂などが多く使われる。

つまり材料が分かれば部品の使用される状況(過酷さ)がある程度予測できる。

予め部品名称と材料によって部品の使用される状況がわかれば図面に描いてある部品の寸法の大きさがおおよそ掴めるのでかなり重要だ。

一方で造り手側から見れば材料欄の材料と熱処理で造り方の6割以上は決まると言って差し支えない

例えば高炭素鋼のSCM420とかだったら鍛造+熱処理(浸炭、窒化など)だしアルミもジェラルミン(7000番、5000番、2000番)を使えばほぼ切削だと解る。

こんな風に材料が解れば製造法がおおよそ解り、製造法が解れば寸法公差の適正な範囲まで予想がつくのだ。

もちろん当然ながらコストにも大きく関わるし予想もできる。

このように材料を先に見ることによって、形状を見る前に部品が受ける負荷の大きさ、製造法、適切な寸法公差幅、コストなどの概要がわかるので図面の部品の形状を見たときに誤解、誤読を大きく減らすことができるのである。

逆にここまでわかっていると図面内の不備にもすぐに気付けるようになるのだ。

④縮尺

縮尺が大切な理由としては縮尺を把握しておかないと図面の部品の大きさを誤解することが多いからだ。

特に小さな部品だと縮尺が2倍だと見た目の変化が少なくて等倍と間違うことがある

JISでは縮尺は1:2、1:5などと規格で縮尺が決まっていて、5倍で間違えることはほとんどないが2倍だと怪しい

例えば直径4mm、幅2mmのワッシャ(円盤)を設計したので縮尺を2倍で図面を描いたとなると、当たり前だが図面の図の大きさは直径8mm、幅4mmで、そこまで大きく変化しないので形状だけをパッと見ると勘違いをすることがある。

昔、現役中に似たようなことをして2倍の図面で描いたが、そのまま等倍で図面を見られ設計意図の2倍の大きさで部品を製作されたことがある。

もちろんゴミにしかならない。

カネと時間の無駄にしかならない。

読み方ではなく図面作成のコツになてしまうのだが、できれば図面は等倍で描くことを強く進める。どうしても拡大したかったら5倍を使おう(図中での詳細図、矢示図とかは2倍でも良い)。

では②標題欄の次に観るのはお察しの通り③加工等級、加工記号である。

加工等級、加工記号

まず、何が書いてあるか具体的に説明しよう。

図面の加工等級、加工記号欄

加工等級

まず加工等級だが、これによって図面に記載されていない寸法の公差が決まる。

本例ではJIS 1級としたが各会社で独自のエンジニアリングスタンダードが設定されていると思う。

しかしながら基本はJISから大きく離れてはいないと思う。

JIS1級だったら一般部公差±0.2とかそれぞれ規定されている(ちなみに加工と書いたが機械加工、削りだけのことではないよ、鋳造、鍛造、プレスとかも加工だからね)。

もし興味があればJIS 1級 一般公差で検索すればすぐに理解できると思う。

つまり図面の形状より先に加工等級を確認しておかないと図面内の公差が記載されていない寸法の公差がわからなくなってしまうのだ(公差がない寸法は存在しない)。

だからここで加工等級をチェックしておかないと記載されていない寸法の一般公差がわからないのだ。

表面粗さ

次に加工記号だが、加工記号によって図面の部品がどれだけ精密な部品かどうかがわかるのだ。

まず記号に意味を少しだけ解説をすると、加工記号の一番左のレに100って書いてあるのは“基本的に指示してない部位は表面粗さ100sでいいよ、もしくは機械加工無しで素のままで100sにしてね“という意味だ。

ちなみに表面荒さ100sとは誤解を恐れずに説明すると面の凸凹の差が100s(100μmm=0.1mm)以下ならOKである意味である。

つまり図面内の寸法に指示がない場所の表面荒さ(面相度)は100s以内ならなんでもいいよってことを意味する(公差と同様に荒さ指示がない面は存在しない)。

次にカッコ内の指示するところは“指示をする面の表面荒さはカッコ内の精度で機械加工してください“という意味だ。

それぞれRz25、Rz12.5なので、この図面内で指示した場所の表面荒さは0.025mm、0.0125mmとなるのだ。

逆に考えるとカッコ内に無い表面荒さ(例えば6.3s、12.5s、50s)などは一切、ありませんと判断できるのだ。

これ以上の公差を要求する、されるのは矛盾である。

まあ表面粗さについては専用項目を創って後で詳しく解説する。(奥が深すぎる)

で③加工等級、加工記号の次に観るのは皆さんもお分かりの様に④Note文だ

Note文

これはかなり厄介なものである。まず具体例を紹介しよう。

図面のノート、注記欄

Note文には形状(図)と寸法で説明しきれないこと、材料欄で書ききれなかった詳細な材料指示、熱処理指示を書くなどのなんでもありの世界だ。

もし図のようなNote文の“指示なきRが3“とか“一般肉厚が3“とか見ないで形状を観ていたら、いつまで経っても形状のなかで指示が無いRの寸法や指示の無い肉厚寸法を探す羽目にわからないままになる。

このくらいならマシだが、酷いのだと“参照図と異なる部分しか寸法を書いていませんよ“とか書いてあったりする。

だから形状を見る前にNote文を注意深く観ておかないと形状や寸法を正確に観ることは99%できないので超重要である。

ここまできてやっと⑤の形状、まずは正面図だ。

正面図以降の見方は書き方と密接に関わる内容なので後に別ページで説明しよう。

まとめ

ついつい人間は図面をパッと見ると形状(絵)に最初に目が行きがちになるが、そこはグッと堪えてみよう。

ここまででよくわかって頂けたとと思うが形状(絵)を観る前の前提条件がたくさん図面には書かれているのだ。

筆者流、名付けてKazubara流図面の見方は、

STEP
図枠の大きさを確認する
STEP
標題欄の内容確認
STEP
使われている加工等級、加工記号の把握
STEP
ノート、注記欄の内容を確認する
STEP
正面図から形状を見ていく
機械図面の記載内容の配置

もちろん慣れないうちは一度①〜④まで頭に入れながら形状を見るのは難しいので、その都度都度で忘れたり気になったら①〜④を確認しながら図面を見ると良いと思う。

一回でも観とけば内容が頭に残っていて形状を見ててわからなくなった時にそういえばあそこになんか記載されていたなと思い出すことが多い。

とにかく機械図面を読むのに大切な事は形状と寸法以外にも重要な情報がたくさん存在し、図面に書いてあることは全て意味を持つ。だからこそ最初に形状以外の情報を読み取ることが大切になる。

是非、設計者だけでなく図面を扱う方、技術営業さんなどみんなこのやり方を利用してみて欲しい。

次回は公差についてを説明する。

ちなみにこの編の参考文献はない。皆が勉強と経験で覚えていく。

今回の記事で紹介した内容に関連する図面の見方、JIS規格、ISO規格に関連する本が安く効率よく読むためにAmazon kindle会員をお勧めする。

流石、本屋が原点であるAmazonだけあって機械工学の専門書がそこそこ揃っていてかなり使えるサービスだ。

特に機械工学の専門書は高額になることが多いので少しだけ読みたい分野の本を眺めるのに非常に役に立つので是非、オススメしたい。

折角なのでさらに機械設計で必須の本があるので紹介しよう。

はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。

またよく使う規格が載っているので重宝する。JISで定められて機械材料の特性が載っている。

多くの人が持っていると思うが持っていない人はちょっとお高いが是非、手に入れて欲しい。但し新品は高いので中古で購入を考えている方は表面荒さの項目が新JIS対応になっているのを確認することを強くオススメする。

また本ブログをキッカケとしてエンジニアとしてステップアップして大きな仕事を掴む手段の一つとして転職するのも一つの手だ。

やはり予算の大きい機械設計、規模が大きい機械設計、大きな仕事をする場合は日本においては大手に入って仕事をする方がチャンスの機会が多いと思う。

私も最終的に転職はしていないが自分の将来を模索していた時期に転職活動をしていくつか内定を頂いたことがある。

折角なのでその経験(機械設計者の転職活動)を共有できるように記事に起こしたので参考にして頂ければ幸いだ。

機械図面の記載内容の配置

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この記事を書いた人

自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。

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