MENU
Kazubara
サイト管理人
自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。仕事などのご依頼は下のお問い合わせボタンからご連絡下さい。

KSC Mk23 ソーコムピストル CO2 ABS 初期ロット カスタムその1 フレーム編

前回はKSC Mk23 ソーコムピストル CO2 ABSの初期ロット品のフレームの分解をしました。

今回はこれまでの分解で見えて来た課題を基にカスタムして行こうと思います。

まずはこれまでの分解で見えてきた課題を整理していきます。

目次

カスタムの方向性

これまでのスライド分解、フレーム分解記事から見えてきた課題は以下のようになります。

カスタムの方向性

・インナーバレルの窓の追加工(いつもやる)

・各摺動部の研磨、グリスアップ

・部品のバリ取り、グリスアップ

・ピストンユニットの穴加工

箱出し状態でも十分な性能(0.2gで初速80m/s前後、1発あたり燃費0.16g)なのですが上記の4つの課題を解消すればさらに動きが良くなりそうです。

またKSCさんは部品の加工精度、組み立て精度は箱出しでも良いのですがほとんどの摺動部にグリスが塗られていなくドライ状態なのでグリスを塗るだけでもかなり良くなるはずです(東京マルイさんは摺動部にグリスが塗ってある)。

具体的なカスタム内容としては基本的に部品の研磨、グリスアップに丁寧な組み立てになります。

これらを踏まえてまずはフレーム部分のカスタムを進めていきます。

ハンマーメカユニットの組み立て

まずはハンマーメカが収まるシャーシを見ていきます。

やることとしてはシャーシ部分の部品の摺動部をリューターで磨いていきます。

シャーシの研磨箇所は次の写真の部位になります。

シャーシ横

シャーシ反対側

シャーシ上面1

シャーシ上面2

研磨方法はいつものリューターにバフを付けて磨いて行きます。

・ドレメル ハイスピードロータリー4000
いつも使っているオススメリューターです。これがあるとDIY加工の幅が拡がります。人気機種で3000と4000がありますがツールもセットになってパワーがある4000がオススメです。

研磨料の目安としては0.01~0.02mmくらいにします。数字にすると難しいのですが感覚的には塗装が綺麗に禿げるくらいの量です。

研磨後のシャーシです。

シャーシ研磨後 横1

シャーシ研磨後 反対側

シャーシ研磨後 上面

シャーシ研磨後 ハンマーユニット部(内側もしっかり磨く)

ここから部品を組み立てていきます。

ハンマー部の部品は基本的に全て稼働部品で金属ー金属の組み合わせなのでベルハンマー No.2 ゴールドグリスを塗りながら組み立てて行きます。

基本的に部品、シャーシ共に筆でグリスを塗り込んでいきます。

・ベルハンマー No.2 ゴールドグリス
定番の超優良グリスです。No.2はNo.0と同じ成分で粘度が硬めになります。私は基本的に金属ー金属パーツに使います。

また組み立てに必要な工具は基本であるドライバー、六角レンチに加え次の工具があるとかなり便利です。

・シグネット ピンポンチセット
高級ブランドではありませんが、自動車業界ではコスパが良い中級ブランドでおススメです。しかも安いです。

・イーグルフォース メンテナンスベンチブロック ハンドガン用
あるとかなり便利です。しかもハンドガン用で長モノにも十分、対応できるので重宝します。むしろ同社のM4用は個人的に必要性を感じませんでした。

・ベッセル プラスチックハンマー
安くて頑丈で長持ちします。サイズはコントロール、パワーのバランスで1ポンドがオススメです。

まずはシャーシにシアーピンを組み付けます。

差し込んだシアーピンにシアースプリングを掛けます。

次にシアーを組んで行きます。

シアーはKSCさんお得意の焼結で製作されていました(そこそこの強度を保って高精度)。

シアーは次の写真のようにシアーピンに組みます。

次にノッカーを見ていきます(KSCではインパクトハンマーと呼ぶらしい)。

ノッカーもシアー同様に焼結でした。

ノッカーをシアーの2股部に組み込んで行きます。

ノッカーの長穴部にノッカーリターンスプリングを組みます。

このスプリングを組むのには少しコツがあって文字にするのは難しいのですが組んだノッカーとシアーを動かして隙間を作ってバネを差し込みます。

シアーとノッカーの動かし方は次の写真を参考にして下さい。

ここからはKSCさんのSOCOM独自の部品を組んで行きます。

まずは部品を紹介していきます。

・シアーアクチュエーター
トリガーバーとシアーを繋ぐ機能兼サムセーフティのロック機能を果たす

・ディスコネクター
トリガーバーとシアーを切り離す機能を果たす

・シム
ただの位置調整

これらの部品をシアーの横にシアーピンを通しで組んで行きます。

次の写真が組み込み後の状態になります。

ここまでが組み立ての一つの山場でKSC SOCOMの独自メカニズムになります。

見た感じではノッカー以外はかなり本物に似ているような気がします。

次にCO2インパクトハンマーガイドピンを組んで行きます。

このピンをシャーシに組んで行きます。

最初に組んだシアースプリングをピンに引っ掛けてからノッカーの穴に通します。

次にトリガーバーを組んで行きます。

トリガーバーはトリガーフィールにかなり影響を与える部品なので次の写真部を丁寧に磨いてグリスアップします。

反対側

このトリガーバーをシャーシに組み込んで行きます。

トリガーバーを組み込む為にシャーシのシアーを指で押してトリガーバーを入れるスキマを作ります。

このスキマにトリガーバーを差し込みます。

次にハンマーを見ていきます。

ハンマーも稼働部は研磨していきます。

このハンマーの反対側にハンマーリバウンドスプリングを組みます。

このハンマーリバウンドスプリングはハンマーに載せるだけなのでシャーシに組み込む際にズレやすいので私は軽く接着しました。

・ロックタイト 瞬間接着剤 ブラシ付き
はけのようなブラシが付いているので便利です。

ハンマーリバウンドスプリングはトリガーを引いてハンマーが戻った時のリバウンドを防ぐために付いているようです。

このスプリングが無いとトリガーを引いてハンマーが戻った時にハンマーがプルプル振動してしまいます。

ハンマーをシャーシに組み込んで行きます。

ハンマーをシャーシに固定するためにスリーブを組みます。

このスリーブをシャーシ、ハンマーの穴の位置を合わせて差し込みます。

これでハンマーメカの組み立てが一段楽します。

ここで念の為にハンマー正常に動くかシアーを押して確認します。

次にノッカーロックを組み立てます。

通称はノッカーロックと呼びますがKSCではCO2 インパクトハンマーレリーズと呼ぶようです。

これをシャーシに置きます。

ノッカーロックを固定するために六角ボルトを軽く締めます。

次にデコッキングレバーを入れる穴にOーリングを入れます。

ハンマーメカの組み立ての最後にハンマーストラットを組んで行きます。

ハンマーストラットもハンマーの作動に大きいな影響を与えるので入念に磨いてグリスアップします(両側)。

このハンマーストラットをハンマーに組めば完了です。

これでハンマーメカの組み立てが完了です。

現代のハンドガンのほとんどが1911系のシングルアクション、グロック系のストライカー方式が多い中でSOCOMはそれらと違った独自のメカニズムなので中々に興味深いです。

フレームの組み立て

ここまでで出来上がったハンマーメカをフレームに組み込んで行きます。

まずはハンマーメカユニットをフレームに差し込みます。

次にトリガーを組み込んでトリガーとトリガーバーを連結させます。

トリガーとトリガーバーの連結部です。

次にトリガースプリングを組みます。

このトリガースプリングをトリガーバーに引っ掛けます。

このスプリングの右側のへの部分をフレームに次の写真のように引っ掛けます。

トリガーを固定するためにピンを差し込みます。

これでトリガー周りは完了です。

次にシャーシとフレームを固定するためのピンを入れます。

このピンは向きが決まっているので注意してしっかり組みます。

次にハンマースプリングを組みます。

ハンマースプリングをハンマーストラットに組みます。

このスプリングにインサートを嵌めて蓋をします。

最後にシャーシのフロント部とフレームをネジで留めます。

これで基本的なメカ部分の組み立ては完了です。

念の為にこの段階でマガジンを差して可動させて問題ないかチェックします。

可動動画

KSC SOCOM ピストル ハンマーメカ作動チェック動画

上の動画でご理解頂けるようにハンマーがノッカーを押してマガジンのバルブを叩きます。

バルブが開いてガスが出ているのをノッカーロックが押されることによってノッカーが後退しバルブが閉じて作動が完了します。

KSC SOCOMはダブルアクション、デコッカー、特殊なサムセーフティ機能があるので多少、複雑な独特の機構になっていますが基本的な仕組みは普通のガスブロです。

なのでもしメカニズムに興味がる方は解説記事があるので覗いてみて下さい。

ちなみにKSCさんの独自のリアルメカによって指デコッキングが可能です。ただしSOCOMピストルはデコッカーレバーがあるのでやることはほとん無いと思います。

サムセーフティ、デコッキングレバーの組み立て

最後に組み立てが少し面倒なセーフティを組んで行きます。

まずは最初に組むパーツはデコッキングロックアウトという見慣れない部品を組んで行きます。

このプレートがデコッキングで重要な役割を果たします。

組み込み方は次の写真のようにハンマーのスキマに差し込みます。

次にシアーブロックを組みます(これも聞き慣れない)。

これも次の写真のようにハンマーの脇から差し込みます。

このシアーブロックがシアーアクチュエーターと噛み合ってサムセーフティでトリガーをロックさせたりデコッキングを可能にしたりしています。

このシアーブロックはトリガーとは別系統でシアーの動きをコントロールしているようです。

もしリクエストがあればメカニズムを後に書いてみようと思います。

戻ってサムセーフティのクリック感を出すためのボールとスプリングを組みます。

この部品を次の写真の位置に組みます。

次にサムセーフティを穴に通します。この通し方はデコッキングブロックアウト、シアーブロックの半月穴と位置を合わせる必要があるので少し難しいです。

反対側のサムセーフティを取り付けます。

最後にデコッキングレバーを差し込んで完成です。

分解編ではマガジンキャッチも分解しましたが今回のカスタムとは関係がなかったので組み付け解説は省きます(単純な機構なのですぐにわかる人がほとんだと思います)。

ここまでのカスタムでシングルアクションのトリガーフィールはフェザータッチに近くなり箱出しでは動きが渋かったデコッキングもスムーズで片手で操作できるようになりました。

KSC SOCOM ピストル カスタム シングルアクション作動

KSC SOCOM ピストル カスタム デコッキング作動

KSC SOCOM ピストル カスタム サムセーフティ作動

これでフレームのカスタムは完了です。

まとめ

フレームのカスタムの感想としてはKSCさんの独自のリアルメカのため普通に組み立てでかなり手こずった感じです。

やり方さえわかれば時間はあまり必要ありませんがが普段、触っているのが1911系、グロック系なので探り探りな感じでした(慣れの問題だと思います)。

カスタム内容は特殊なアフターパーツを組んだりしていなく部品を研磨してグリスアップ、丁寧な組み立てだけなので派手さはありませんので記事の内容もカスタムと言うよりは組み立て説明みたいになってしまいました。

地味ながらもかなり作動性向上が達成できたと思います。

この辺はマスプロである限りどんなメーカー、製品でも限界があるので今回紹介した調整内容はどんな製品にも有効だと思います。

またここまで分解して組み立ての記事を書きましたが分解、再組み立てが面倒な方はフィールドストリップをして摺動部にグリスを塗り込むだけでかなり動きが良くなると思います(特にKSCさんはドライなので)。

以上、お付き合いありがとうございました。

次回はスライドメインのカスタム完成編になります。

・KSC Mk23 ソーコムピストル CO2 ABS
ソーコムの唯一のガスブロモデルでオススメです。

・KSC Mk23 ソーコムピストル CO2 27連 スペアマガジン
今までのKSCさんだとスペアマガジンの入手性はかなり悪かったです(過去形)。今後は謎です。

・KSC 純正 CO2 12gカートリッジ 50本セット
拘りが無ければこれでなくても良いと思います(価格はちょい高め)。数量に関して50本は多く感じますがすぐに無くなります。自己責任になりますがもっと安いモノでも良いかもしれません。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次