今回は東京マルイ デトニクス.45 コンバットマスターをレビューして行きます。
発売日は2007年と古いモデルですが2025年現在も根強い人気が続くモデルになっています。やはり定番のM1911のコンパクト版であることや定期的に映画やアニメ、ドラマに登場するからだと思います。
近年だとガンゲイルオンラインやリコリス・リコイルでカスタムモデルが登場していました(東京マルイさんでモデルアップ済み)。オジさんである私の年齢ですと幼少のころに刑事貴族というドラマの主人公(俳優:水谷豊)が持っていたのが非常に印象に残っています。
そんなデトニクス.45 コンバットマスターを実物モデルの情報を交えながらレビューして行きましょう。
デトニクス.45 コンバットマスター 実物モデルの概要
当時はコンパクトなM1911タイプのモデルは量産モデルでは存在しなくガンスミスに作ってもらうしかなく(ワンオフ品)、かなり高価だったため、買えそうな価格のコンパクトなM1911モデルの需要はかなり高かったようです(当時のデトニクス.45もかなり高級品)。
また1970年代のアメリカは不景気による都市部の犯罪が急増化しておりセルフディフェンス用のコンパクトキャリーガンの需要は高かったようです(ベトナム戦争で社会が疲弊した)。
それまでのセルフディフェンス用のコンパクトなモデルの主流は5発装填の小型リボルバー(大きくても38口径)でしたが防犯意識の高まりからアメリカ人の魂である45口径のコンパクトオートの需要が高まったようです。

そんな状況の中でデトニクス社からカタログモデルとしては初のコンパクトなM1911モデルとして販売されたのがコンバットマスターになります。
モデルは単なるM1911のコンパクトバージョンではなくいくつかの技術的特徴を持っています。
・コーンバレルの採用(おそらく初)
スライドとバレルの密着性が高くなり命中性が向上する。現在のハイエンドM1911モデルでは標準装備
・マルチリコイルスプリングシステム(おそらく初)
反動抑制のための工夫。
・グリップセーフティの廃止(一部のモデルには採用)
セルフディフェンスの際に即応性を持たせるため
・前方に移動しているリアサイト
ハンマーをコックするときにリアサイトが邪魔にならないための配慮。
当時は弾薬をチャンバーに入れてハンマーダウンさせた状態で携行することを想定。
・スカラップ形状(ホタテ貝形状)のイジェクションポート
確実な排莢のためのデザイン
技術的な特長の中でもコーンバレル、マルチリコイルスプリングシステムは非常に革新的で今となっては広く普及している技術の基になっています。
※コーンバレルはカスタム1911の標準、マルチリコイルスプリングはGLOCK GEN.4から採用されているシステム
このようなM1911の単純なスケールダウンモデルではなくかなり工夫したコンパクト M1911モデルでしたが商業的には成功したとは言い難いモデルになっています。
・単純に値段が高い。
・さまざまな工夫をしたがM1911ほどの信頼性は確保できなかった。ジャムが多かったらしい。
・デトニクス社の資金力、生産力が乏しく安定的に供給できなかった。
デトニクス社自体も何度も経営難に陥っており倒産、復活を繰り返しているようです(2025年現在は休眠中らしい)。
商業的には成功しなかったモノのM1911のコンパクトモデルの開祖、現在につながる技術の開祖となったシンボリックなモデルです。
東京マルイさんのデトニクス.45 コンバットマスターは実物モデルの特徴をかなり再現しているのでこの辺のことを頭の片隅において見て行きましょう。
外箱、開封
外箱を見て行きましょう。

デトニクス社の象徴、蛇のマークを活かしたデザインになっています(ガラガラヘビらしい)。
デトニクス社はなんで蛇のマークなんだろうと調べてみると以下の理由らしいです。
・アメリカ独立戦争の象徴”ガズデン旗(Gadsden flag)”由来
Don’t tread on me、我を踏むことなかれで自由、自己防衛の象徴

・一撃必殺の象徴、ガラガラヘビのように普段は静かで必要とあらば一撃必殺の攻撃を繰り出すイメージ
日本人には想像しづらいがアメリカ人にとってはガラガラヘビは自由、自己防衛の象徴で”争いは好まないがやるときはやる”イメージのようです。
箱を開けて行きます。

東京マルイさんらしく凝った内装になっています。内装は凝っていますが2009年の製品なので2025年最近ほどの拘りはまだ無いようです。
内容物です。

・本体とマズル保護キャップ
・マガジン
・弾(0.2g)
・空撃ち用のマガジンフォロワーのストッパー
・メンテナンスロッド
・説明書含むお知らせ類
いつも通りの充実した内容になっています。
付属の書類は以下のようになります。

・ターゲットペーパー複数枚
・取扱説明書
・ホップとガスの取扱いのお知らせ
・マガジン装着の注意
・ブラスト仕上げのお手入れ方法
・キャンペーン葉書
・東京マルイさんからの取扱い注意
・協会ASGKからの取扱い注意喚起
かなりの量の書類が同梱されています。
取扱い説明書には簡単に実物のデトニクス.45 コンバットマスターの解説とエアガンの解説が載っていて面白い内容なので購入された方は読んでみると楽しいと思います。
外観
外観を見ていきます。

反対側

リアサイトの位置、グリップセーフティの廃止を除けばそのままM1911をコンパクトにしたような外観になっています。

本製品の仕上げはブラスト仕上げで光沢を抑えたマットなザラザラした感じになっています。この仕上げも綺麗で悪くはないのですが実物はステンレスか鋼にブルーイングが多いので雰囲気はちょっと違うかな?と思います(様々な仕上げが存在する)。
・ステンレススチール仕上げ
・ブルーイング仕上げ
・ビードブラスト(ブラスト仕上げ)←これに似せた可能性あり、ただし実物モデルではステン+ビード
・セラコート
エアガンのデトニクス.45もステンレスモデルだと実物のビードブラスト仕上げに近いかもしれません。
ホールドオープン状態です。

反対側です

特徴的なコーンバレルが目立ちます。コーンバレルの詳細は外観の詳細セクションで見ていきます。
上面。

スライド上面には平らな部分があり、おそらく高さ方向を抑えるための工夫だと思います。また特徴的なリアサイトも目立ちます。
下側

樹脂の射出成型特有のパーティングラインが見えないように処理していることから外観にコストを掛けているモデルなことがよくわかります。
正面

45口径なだけあって迫力のあるマズルです。マズルはライフリングのモールドもあって細かい造形も頑張っています。ただ残念なのがインナーバレルの銅色がかなり目立ってしまうのは勿体ないと思います。
後ろ側

デトニクス.45の特徴であるグリップセーフティが省かれていること、リアサイトの後ろ側が平らになっていることがよくわかります。
サイズ感です。

M1911よりはかなり小さい、GLOCK19より少し小さいという感じです。側面の面積的にはポケットに入るサイズですが厚みがあるため現実的にポケットに入れて運用するのは難しいそうです。
おそらくハンドバックなどに持ち歩くことを想定したのかなという感じのサイズです。
詳細寸法です。


実寸法からもかなりコンパクトなことがわかります。
重量です。


本体はコンパクトですが重量は本体481.5g、マガジンが153gで合わせて634.5gでそこそこの重量があります。
外観詳細
ここからはセクションを分けて細かく見ていきます。

1,マズルセクション
一番の特徴はコーンバレルです。

バレルの斜めの部分がスライドと接触しバレルがスライドと固定されます。この仕組みによってバレルが固定され命中精度が高くなると言われています(重さが効く、ヘビーバレル効果などの諸説あり)。
またM1911特有のバレルブッシングが廃止できるので分解が楽、部品点数が減らせるメリットもあります。


エアガンにおいては分解が楽なのが大きなメリットだと思います。
フロントサイトは背が低めのタイプでスライドと一体成型なので基本的に交換はできません。

2,スライド中央セクション
刻印です。

DETONICS.45だけのシンプルな刻印ですね。掘りはちょっと浅めな感じがします。
次にイジェクションポートです。


この部位もかなり特徴的で図示した箇所がスカラップ形状(ホタテ貝)で穴が拡張された部分です。このような工夫は現在では一般的でその開祖の位置づけになります。
さらに実モデルではエキストラクターがトーションスプリングで柔軟に動く工夫がされています(通常はコイルスプリング)。
しかしこれだけ工夫しても実物ではジャムがそこそこ発生したようですからコンパクトモデルの設計は難しいようです(基本的にスライド後退量が足りない)。
3,スライド後半セクション
特徴的なリアサイトです。

当時はチャンバーに弾薬を入れて携行していたようで発砲の際にハンマーを操作しやすくするためにリアサイトを移動させています。

今ではハンマーをコックしてサムセーフティオンが主流ですがジェフクーパー氏が提唱したのは1950~1960年代に提唱し徐々に広まったのでこの時代ではまだ主流ではなかったようです(情報伝達スピードが現代とは全く異なる)。
ハンマーは携行用にコンパクトなモノになっています。

サイトビューです。

古い時代の設計、コンパクトモデルの割にはリアサイトが高く見易いサイトになっています。
またファイアリングピンは六角ボルトになっていてリアル形状ではありません。エアガンでファイアリングピンの形にこだわり始めたのは2010年代なので2009年新発売の本製品では仕方がない部分だと思います(エアガンも進化する)。
4,フレームセクション
フレーム部はM1911にかなり似通っていて唯一の特徴はグリップセーフティが廃止されていることです。

後ろ側から見てみると廃止というよりはスペース的にグリップセーフティを入れられなかったように見えます。

また1970年代の古い設計のためアンビ化はまったくされていません。

いつものASGK、東京マルイ刻印はトリガーの上にあります。
個人的に気になった点としてグリップの形状、色合いが非常に良く出来ていると思います。

操作、機能
まずは操作系統を見て行きましょう

各操作レバーはM1911譲りのレイアウトなので届きやすい位置に配置されています。ただしスライドストップレバーは持ち替え無しでは届かない人がほとんどだと思います。
実際にはスライドストップレバーを操作することは稀でマガジンをリリースしてスライドを引き直してスライドストップを解除することが多いと思うので問題ないと思います。
本モデルはシングルアクションモデルのためスライドを引いてハンマーをコックさせないと各操作部は機能しません。
ハンマーがコックした状態でサムセーフティが下の写真のように機能します。


トリガーはハンマーコックしても位置は変わらず遊びはほとんどなくトリガーが引けます。
荷重も軽めでかなり撃ちやすい設定になっています。
グリップはコンパクトサイズなので大人の男性が握ると窮屈になっています。


指2本掛けだと余裕がありますが小指が掛からないので安定しません。もし2本掛けでゆったりと使いたい場合は社外品のマグバンパーなどで小指を掛ける部分をサポートして使うと安定するでしょう。
太さはシングルカラムマガジンで細いのでかなり握りやすい部類のグリップになっています。
ホップ調整は古いモデルなのでフィールドストリップをして調整ダイヤルにアクセスする必要があります(フィールドストリップ方法の詳細は次回の分解編)。

ホップダイヤルを拡大します。

ホップの強さがわかるように形状が工夫されています。上の写真は箱出し状態での位置でおおよそホップ量半分で0.2g弾の適正くらいになったいます。
ちなみにホップパッキンを長持ちさせるためにも保管時はホップはミニマムにしておくことをおススメします。
フィールドストリップをしたついでにリコイルスプリングを見ていきます。

リコイルスプリングは実物モデル同様に2重になっています。またロッドの回転防止のために片方は右巻き、残りの一一方は左巻きのスプリングになっています。
エアガンだとスライドの衝撃は大したことはないのであまり意味はありませんがリアルに再現されているのは良いポイントだと思います(実物はもっと太いスプリング)。
マガジン
マガジンはメッキがされていて外観がとても綺麗な仕上げになっています。最近ではメッキをやる業者も減ってきているので貴重な仕上げタイプだと思います。

マガジンの横にある丸い造形は実物だと穴になっていて弾の装填状態がわかるようになっています。
マガジンのメカ部分。

シングルカラムマガジンなのでかなり細いマガジンです。
私の個体は上の写真で図示している斜め機械加工の部分が未加工でマガジンが装着できませんでした(販売店で対応していただいた)。もしマガジンが装着できない場合は斜め加工有り無し、加工量をチェックすると解決するかもしれません。
マガジンの表側

シングルカラムで装填数は18+1発になっています(実物は6+1発)。ちなみにエアガンはこのマガジンでもダブルカラムで給弾できます。
マガジンを装備した状態

実物だとマガジンフル装填状態でインジゲーターが出っ張るのですがこのモデルでは省略されています。
実射性能確認
実射性能を確認の前に初速測定条件です。

条件はHFC-134aを満タンに補充してマガジン表面温度22.4℃、室温12℃で18発装填(G&G バイオ弾0.2g)です。条件としては室温が低くてシングルカラムモデルのガスブロにはつらい条件です。
ホップ量中央での初速です(0.2g適正くらい)。

5発目です。

室温が12℃の割には62.3m/sとそこそこの初速が出てそのまま安定して60m/s付近をキープしています。
その後、撃ち続けていくと55m/s代で安定していてホールドオープンまでキッチリ撃てます。

なかなかの安定度で流石の東京マルイさんです。
コンパクトモデルなので初速は低めの なので狙える飛距離としては30mくらいでしょうか(飛ぶだけなら40mは越えるでしょう)。弾道に関しては東京マルイさんなので優れた弾道になっている間違いないでしょう。

燃費
ガスを満タンに入れた状態のマガジン重量です。

1マガジン分の18発を撃った状態でのマガジン重量です。

2.5gの消費で18発なのでおよそ1発当たり0.14gでかなり燃費が良い方だと思います(消費量0.2g前後が多い)。
ガス満タンでどのくらい撃てるか計算すると空のマガジン重量が153.0gで満タン時が158.0gなのでガスの量は5gです。1発当たりの消費は0.14gなので理論上は35発なのでマガジン2本分(36発)に少し足りないようです。
※調べてみるとマガジンにはガスは満タンで6gくらいのようなのでマガジン2本分は行けるようです。
使用条件で大きく変わるので計算通りにはいきませんが自分の感覚的にマガジン2本分で超ギリかなって感じです。一本のマガジンで運用するならワンマガジン撃ったらガスを継ぎ足して遊ぶと確実に作動する感じになると思います。
シングルカラムのコンパクトモデルでガス室が小さいので仕方がないと思います。
最後に作動の動画です(1マガジン撃ち切り後の状態)。
東京マルイ デトニクス.45 コンバットマスター 空撃ち ノーマル 動画
キビキビ動いてしっかりとホールドオープンしてくれます。
ここで少し唐突ですがマガジンのガス満タン状態について少し解説します。私がシングルカラムモデルが苦手だった経験からのちょっとしたアドバイスです。
シングルカラム系のガスガンはマガジンのガス室の容量が少なく入るだけ入れた満タン状態にすると気化スペースが無くなり発射時に生ガスをそのまま吹く傾向が強いです。
なのでガスを入れる時にバルブからガスが漏れだしたら直ぐに注入を辞めることを強くお勧めします。注入時間はおおよそ1~2秒くらいでしょうか。
なるだけ遊んでる途中でガス切れを起こしたく気持ち、なんとなくガスが入るだけ入れてしまいがちですが結局のところ無駄になってしまうだけなので気持ちを抑えて入れ過ぎないようにすると良いと思います(私は入るだけ入れてた)。
感触としては”このくらいでいいのかな”と少し疑問になるくらいでもそこそこの量のガスが入っているので案外大丈夫です。
よかったら参考にしてみて下さい。
・G&G バイオ弾 0.2g
安くて精度が良いので性能確認からサバゲーまで広く使っています。日本に入ってきた頃から使ってるお気に入りです(2008年くらい)。バイオの割に日持ちします
・G&G バイオ弾 0.25g
0.25gです。基本は0.25gでサバゲーしています。
まとめ

2007年に新発売の設計が古いモデル、動作に不利なシングルカラムマガジンに関わらずキビキビと動いて2025年現在の目から見ても非常に高性能なコンパクトオートでした(弾道に関しては信頼の東京マルイさんで問題ないでしょう)。
外観に関してもかなり力を入れていてデトニクスの特徴をリアルに再現していると思います。
・コンパクトなボディ
・コーンバレル
・特徴的なリアサイトの位置
・スカラップ形状のイジェクションポート
・グリップセーフティの廃止
・マルチリコイルスプリングシステム
・マガジンのインジゲーター・・・未採用
仕上げもブラスト表面仕上げでかなり力を入れています。
使い勝手に至っては実績のあるM1911と同じでコンパクトなので非常に良いと思います。
総合的に見て古風なコンパクトモデルが好きな方にはかなり良いと思います。
個人的に気なる点としてはカラーがブラックとブラスト仕上げの組み合わせは実物モデルの再現度という意味ではどうなのかなと思いました(基本的に非常に綺麗で素晴らしい)。実物モデルをイメージした場合にブラックだとどうしてもブルーイングのイメージに引きずられます。
仕上げのイメージのリアルさでこだわる場合はステンレスモデルを選ぶと実物のステンレス+ブラスト仕上げに近いと思うのでおすすめです。
以上、東京マルイ デトニクス.45 コンバットマスターのレビューでした。
次回は分解していきます。

・東京マルイ デトニクス.45 コンバットマスター ブラック
レビューしたモデルです。
・東京マルイ デトニクス.45 コンバットマスター ステンレスモデル
実物のリアルさから考えるとステンレス+ブラスト仕上げでステンレスモデルのが雰囲気が出ていると思います。
・東京マルイ デトニクス.45 スペアマガジン
一本くらいはあるとマグチェンジができてより楽しめます
アニメとのタイアップも意外と在庫があるので探してみると良いと思います。
2025年の私の調査で転売価格ではなく定価以下程度で購入できるリンクを調査しました。
kazubara.netを応援しませんか?
このブログでは技術・歴史・ミリタリーなどエンジン設計者としての視点からさまざまな情報をお届けしています。
「面白かった」「役に立った」と感じていただけたなら、ぜひ応援をお願いします!
ご支援いただけることで次の記事作成に必要な時間やリソースが確保でき、さらに良いコンテンツをお届けすることができます。
支援していただいた方々には心から感謝しています。
どうぞよろしくお願いいたします!
コメント