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初心者でもわかる材料力学

初心者でもわかる材料力学26 薄肉圧力容器の応力(円筒圧力容器、球型圧力容器、圧力容器全般)

前回は、材料力学の応力の解法の特殊な例として物体力による応力の計算方法を紹介した。

初心者でもわかる材料力学25 棒の自重による変形と遠心力による変形(平等強さの棒、プロペラの応力、回転体の応力)

また初心者でもわかる材料力学を順に学びたい人はこちらの索引からどうぞ

今回は、応力の計算の特殊な例として内圧を受ける容器の応力計算を紹介する。

具体的な道具としては、最近ではあまり見なくなったが球型のガスタンクが代表例である。

少しマニアックなモノだと飛行機の与圧室や自動車のガソリンタンクなど密閉容器の中に膨張する気体を閉じ込めるような使い方をする道具だ。

身近な例だと、最近ではあまりないかもしれないが圧力鍋なんかは、内部の高圧の水蒸気を閉じ込めているので今回の応力計算方法が当てはまる道具になる。

本ブログだとエアガンのガスガンのマガジンやガスボンベも圧力容器になる。

圧力容器として代表的な円筒型の容器と球型の容器の応力の計算方法を紹介していく。

薄肉円筒圧力容器

まず、そもそも薄肉円筒圧力容器とはどんなカタチの物体なのかを次の図で示す。

茶筒の中に高圧がすが入っていると思ってもらっても良いかもしれない。

この圧力容器には、どんな応力が作用しているのかを考えていこう。

今回も前回と同様に特殊な考え方を利用する。

まず、一気に応力を考えるのが難しいので円筒圧力容器の外周から微小部分を切り出す。

図を見てわかるように円筒圧力容器の外周の微小区間には、内部ガスの圧力により円周方向に膨らもうとする力に耐える応力が発生する。

さらに微小区間がガスの圧力で直接、受ける力ではないが微小区間を上下に繋げていくと、いずれ上面と下面に辿り着く。

その上面、下面がガスの圧力で上下方向に膨らもうとするので、それに耐える応力が発生する(上下方向を軸方向と呼ぶ)。

この円周方向の応力を円周応力と呼びσtで表す。

一方で軸方向の応力を軸応力と呼びσzで表す。

ここまでが円筒圧力容器に発生する応力の基本になる。

ここから具体的に円筒圧力容器の力の釣り合いを考えていこう。

円周応力を考える

まずは円周応力σtを考えていこう。

ここで、また特殊な考え方をするのだが、まずこの円筒圧力容器を図のような微小区間bの円環で考える。

ここで円筒の内径をr、容器の肉厚をt、切り取り長さb(幅)とし内部のガスによる圧力Pが一様に掛かっているとする。

申しわけないがさらに微小区間bの円環を半分に分割して考えるのだ。

この半分になった微小区間bの円環は内圧を受けて膨らもうとするので半分にカットした断面には、円周方向応力をσtとすると次のような力が作用する。

カットした断面の肉厚がtで長さがb(幅)なので面積はtbになり荷重は面積×応力なのでσtbtという荷重が2箇所で発生する。

次に半分にカットした容器から次の図のような扇形の微小区間を考える。

次に切り取った扇形の微小区間にかかる力を考えると、圧力Pに扇形の面積の内側内周長さrdθに長さb(幅)を掛ける。

$ dP=P(brdθ) $

になる。

扇形に掛かる圧力dpを踏まえてもう一度、上からカットした円筒容器を見てみよう。

この場合にカット断面に掛かる荷重は2σtbtで微小区間に働く圧力dPをカット断面方向に力の分解をするとdPsinθとなりカット断面に発生する荷重と同じ方向になり力の釣り合いの式が立てられる。

ここから力の釣り合いを考えると微小区間に働く圧力dPsinθの全体はカット断面荷重2σtbtと釣り合うので次の式が成り立つ。

$ 2btσt=\int{dp}sinθ=2\int_0^{\frac{π}{2}}{Pbrsinθ}dθ=2Pbr $

となる。

この式を円周応力σtの式に直すと次のようになる。

$ σt=\frac{Pr}{t} $

となり円筒圧力容器の円周応力が求まる。

軸応力を考えよう

次に残った軸応力σzについて考えていこう。

これは結構、簡単で円周応力と同じように円筒容器を微小区間bでカットして考えよう。

ここで軸応力をσz、円周応力と同様に円筒容器の肉厚t、内径の半径をr、ガスによる圧力をPとすると次の図のような力が作用している。

考え方としては、軸方向に微小区間を繋げていくとわかりやすい。

図から作用する力は次の2種類になる。

$ 微小区間に働く力 2πrtσz(半径×2πで円周長に厚さtで面積)$

$ 上下面の蓋にかかる圧力の総和 Pπr^2 $

この2つの力は釣り合っているので次の式が成り立つ

$ 2πrtσz=Pπr^2 $

これを軸応力σzの式に整理すると

$ σz=\frac{Pr}{2t} $

となり軸応力σzが求まる。

ここまでで円周応力σtと軸応力σzが求められたのでお互いの関係を式に表すと次のようになる。

$ 円周応力 σt = 2 軸応力 σz $

となり円周応力は軸応力の2倍の応力が発生している。

つまり薄肉円筒容器を設計する時には円周応力σtの大きさを気にすればよく、σtが材料の降伏応力以内であれば自ずと軸応力σzも降伏応力内に入る。

また温度などの環境変化によって内部のガスの圧力が上昇して円筒容器が破壊される場合は、ほとんど円周方向に破壊されるのもわかると思う。

逆に容器全体の肉厚が均一なら内部の圧力によって上下の蓋の部分が吹っ飛ぶことは、ほとんどない。

円周方向で破裂すると周方向全体に破片が飛び散って、とても危ないので慎重に材料と肉厚を設定して設計しよう。

この円筒容器の検討例としてCO2ガスガンの円筒容器、つまりマガジンの応力計算をやってみたので興味がある人は覗いてみて欲しい。

CO2 マガジンの強度計算をしてみる

CO2 マガジンの強度計算をしてみる

球形状の圧力容器の応力計算(ガスタンクなど)

次に円筒圧力容器に続いてメジャーな形状である球型の圧力容器の応力を考えていこう。

球型でも基本的な考え方は、円筒型と同じである。

円筒型と同様に球形状の圧力容器から微小区間を切り出して円周方向と軸方向の応力を考えてみよう。

実は球型形状になると円筒型のような円周方向、軸方向によって発生する応力が変わるのではなく、基本的に容器内は全ての方向に均等に圧力が掛かっているので軸方向、円周方向のどちらも同じ応力になるのだ。

ここで発生する応力をσtとして力の釣り合いを考えていこう。

また微小区間を切り出すのだが、今回の球型形状では次の図のような輪切りになる微小区間を考える。

切り出した微小区間にはどんな力が働いているのか次の図で考える。

ここで球の内側の半径をr、容器の肉厚をt、内部圧力をPとして考える。

まず半分にカットした球型容器のカット断面には、円筒型と同じように容器が膨張するガス圧Pに耐えるために2πrtσt(周長×肉厚tで面積)と輪切りに切り取った微小区間が圧力を受けてdPという力が働いている。

このままでは、dPと2πtrσtの向きが異なるので力の釣り合いの式が立てられないので次のような力の向きの変換をdPに行う。

これで力の釣り合いの式が立てられるようになる。

力の釣り合いの式は輪切りで切り出した微小区間を角度θが0〜$\frac{π}{2}$まで足し合わせた力と2πrtσtが同じになる。

申し訳ないが積分になる。

ここでdPsinθのdPの部分を具体的に考えていこう。

dPは輪切りにした微小区間のガス圧を受けて発生する力なので、輪切りの内側の面積を求める必要がある。

この輪切りの内側の面積は次の図のようになる。

$ 輪切りの内側の面積 2πrcosθ×rdθ $

面積に圧力を掛ければ力となり、輪切りの力の足し合わせは次の積分になる。

$ 輪切りに掛かる力の総和=\int{dPsinθ}=\int_0^{\frac{π}{2}}{(Psinθ)(2πrcosθ)(rdθ)}=πPr^2 $

後は力の釣り合いより次の式が成り立つ

$ 2πrtσt=πPr^2 $

よって応力σtは、次のようになる。

$ σt=\frac{Pr}{2t} $

つまりガスによる圧力Pに対して発生応力を考えると円筒型より低く有利な形状の容器になる。

ただし型の容器は、制作するのが難しかったり、場所を取るのでなかなか採用することが難しいのが難点だ。

圧力容器に発生する応力の考え方

ここまでは、円筒型と球型という代表的な圧力容器に発生する応力を考えてきた。

ここからはどんな形の圧力容器にも適用できる考え方を説明する。

任意の形状の圧力容器を考えて、その圧力容器を半分にカットする。

さらにカットした容器の微小区間dsにかかる力と半分にカットした断面に掛かる力を考える。

まず今までと同じようにカットした断面には、容器が膨らもうとする力に耐える応力σtに断面の面積をかけると力になる(σt×断面積)。

一方で微小区間dsに掛かる力も圧力Pに断面積を掛けるのでPdsになる。

このままでは方向が異なって力の釣り合いの式が立てられないのでPdsを分解してカット断面に発生する力と同じ方向にするとPds sinθになる。

ここで微小区間dsに掛かる力の総和を求めると次の積分になる。

$ 微小区間に掛かる力の総和=\int{Psinθds} $

積分する変数がsだと計算しづらいので次の式よりわかりやすくする。

$ ds sinθ=dx $

これを力の総和に代入すると

$ 力の総和=\int_A^B{Pdx}(線積分)=P×点A-B間の長さ $

これをさらに一般化すると上の式は、2次元の断面で考えたので圧力に区間A-Bの長さを掛けたのだが3次元で考えると区間は線ではなくて面積になる。

つまり微小区間にかかる力の総和は、内部の圧力にカットした横断面の面積を掛けたモノになるのだ。

つまりどんな適当な形状の容器でも次の図のような関係が成り立つ。

つまりどんな形をした容器であれカットした断面の面積とカットした面に横断する面積と内圧Pがわかれば容器に発生する応力σtが計算できるのだ。

これは、非常に有用な考え方で自動車のガソリンタンクなどのスペースに制約があって複雑な形をしている容器の応力計算でよく使用するので頭に入れておこう。

練習として自分で実施してもらいたいのだが上で説明した球形状の応力はこの考え方を利用すると超簡単に求められる。

興味がある人は、メモ帳か何かで実際にやってみるとなるほどとなるので是非、挑戦して欲しい。

これで圧力容器の応力の考え方の説明を終わりにする。

今のところ、ここまでで材料力学の基本は全て終わったことにする。

もし個別でこんな問題の解き方が知りたいとリクエストがあれば記事にしていくつもりだ。

基本的に参考書などはないが一応、筆者が使っている教科書を紹介する。これに沿って解説しているので一緒に読めば理解が深まるかもしれない。

また、ここで一つ、機械設計で必要な本があるので紹介しよう。

はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。一応、このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。

またよく使う規格が載っているので重宝する。

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  • この記事を書いた人

kazubara

輸送機器メーカーでの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計知識を伝道します。また職歴を活かしてエアソフトガンをエンジニアリング視点で考えてみる。

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