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Kazubara
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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。仕事などのご依頼は下のお問い合わせボタンからご連絡下さい。

初心者でもわかる材料力学8 断面二次モーメントを求める。(断面一次モーメント、断面二次モーメント)

前回で理解されたであろう断面二次モーメントの実際の求め方を説明していく。

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また初心者でもわかる材料力学を順に学びたい人はこちらの索引からどうぞ

断面二次モーメントは、CADがあればコマンドで簡単に求められる。

しかし新たな構造物を設計するときにレイアウトやスケッチのラフな段階で一々、CADで正確な断面図を作成したり3Dモデルをつくって求めていたら時間がいくらあっても足りない。

だからこそこの断面なら断面二次モーメントはおおよそでこのくらいとイメージが持てることが大切である。

少なくとも外力を受ける方向に対して断面二次モーメントが高いのか低いのかくらいは、瞬時にイメージが沸くことが望ましい。

ではまず、断面二次モーメントの前に断面一次モーメントの簡単な数学的な特性を説明する。

目次

断面一次モーメントの性質

まずは断面一次モーメントの定義を思い出そう。Aは断面積。

$ 断面一次モーメント=\int_{A}ydA $

ここで前回からの特性で中立面を座標の原点とすると(中立面は変形しない)

$ 断面一次モーメント= \int_{A}ydA=0 $

ではここで例題を設定する。

断面が四角で座標原点を図心G(y軸とz軸の中立面が交わるところ)とすると

中立面では断面一次モーメントは0で図からy軸、z軸それぞれの微小面積dAを足し合わせると0になることがわかると思う。

y,zそれぞれがー(マイナス)のときはdAもーで+と行ってこいで足し合わせると0になる。

つまり図心Gを原点とした断面一次モーメントは0になる。

$ \int_{A}ydA=\int_{A}zdA=0 $

次にOを原点とする任意の座標系(y1,z1)を考えてみる。

座標系y1,z1のとある座標(y,z)を設定すると、先程の図心G(yG、zG)からの距離を求めると次の式が成り立つ

$ y=y1-yG $

$ z=z1-zG $

これを断面一次モーメントが図心を原点とすると0になる性質から次のようになる。

$ \int_{A}ydA=\int_{A}y1dA-\int_{a}yGdA $

$ \int_{A}zdA=\int_{A}z1dA-\int_{a}zG $

任意の座標での図心周りの面積の積分は図心座標×面積となるので

$ 0=\int_{A}y1dA-yGA $

$ yG=\frac{\int_{A}y1dA}{A} $

$ 0=\int_{A}z1dA-zGA $

$zG=\frac{\int_{A}z1dA}{A} $

となり図心の座標は、断面一次モーメントを面積で割ると求まる。

後に機械力学で説明するが物体の重心の面積バージョンだと思ってもらって良い。

物体における重心が断面の面積における図心である。

逆に言えば図心があらかじめわかっていれば図心に面積をかけると断面一次モーメントが求められるのだ。

次は断面二次モーメントの求め方を紹介しよう。

断面二次モーメントを求める

まずは断面二次モーメントのおさらいをしよう。

定義では

$ Iz=\int_{A}y^2dA $

である。

また意味としては断面二次モーメントは断面の曲げ応力に比例する。

ここで面積の積分なんてどうやんの?と思われるがやり方がちゃんとある。

ではいくつか実際に断面二次モーメントを求めてみよう。

四角い断面の断面二次モーメントを求める

まずは断面が四角の場合を求める。

例として横幅がbで高さがh(半分で$ \frac{h}{2} $)で座標原点を図心とした断面でy軸方向の断面二次モーメントを考えよう。

ここでポイントなのだが求める軸方向を変数として面積を定義するのだ。

今回は、原点から距離yだけはなれた微小区間dA(高さdy)の面積を求めよう。

面積は、横×高さだから

$ dA=b×dA $

なのでこれを断面二次モーメントの公式に当てはめると

$ Iz=\int_{A}y^2dA=b\int_\frac{-h}{2}^\frac{h}{2}y^2dy $

となり、これを解けば

$ Iz=\frac{bh^3}{12} $

となる。

ここでポイントなのが荷重方向と同じ方向に肉厚があると3乗で断面二次モーメントが増える。

つまり曲げ応力が3乗で減少するのだ。この特性は覚えておこう。

I形断面の断面二次モーメントを求める

次はI形断面で考えてみよう。

例題の設定は図の通り

ここでのポイントは大まかに分けると2種類の断面が存在することだ。

2種類の断面があるのでそれぞれの図心を分けて図のようにGとG1を考える。

後はそれぞれのy軸方向での微小面積を定義して断面二次モーメントを求める。

またここでz軸を基準に対称な形状なので半分だけ求めて後で2倍すれば良い。

y軸方向の+側の微小区間に置いて図心Gの断面積、図心G1の断面積は次の式で求められる。

$ G1の断面積=tdy(0≦y≦\frac{h}{2}-c) $

$ G2の断面積=bdy(\frac{h}{2}-c≦y≦\frac{h}{2}) $

これを断面二次モーメントの定義に当てはめると

$ Iz=\int_{A}y^2dA=2t\int_{0}^{\frac{h}{2}-c} y^2dy+2b\int_{\frac{h}{2}-c}^{\frac{h}{2}} y^2dy $

計算すると

$ Iz=\frac{bh^3}{12}-\frac{(b-t)(h-2c)^3}{12} $

となる。

このようなI型断面でものやはり高さ方向hが3乗で断面二次モーメントが増えるのでなるべく軸方向(荷重方向)の肉厚を確保しよう。

断面二次極モーメント

ここで新たな概念の断面二次極モーメントを説明する。

全然、難しくはない、むしろ簡単だ。

今まである梁のある断面を切り取って2軸の座標y,zで考えいてがそれに対してy,zに直角なx軸を足して軸周りの距離rで考えてみるだけである。

数学がわかる人ならば単純にデカルト座標から極座標に変えてみたというだけである。

ここでx軸に関する断面二次モーメントIpを考えると

$ Ip=\int_{A}r^2dA $

となり、これを断面二次極モーメントと呼ぶ。

これの良いところは断面のどの方向から見ても断面二次モーメントがわかることである。

ここで$ r^2=y^2+z^2 $を断面二次極モーメントの式に代入すると次の式がなりたつ。

$ Ip=Iy(y軸に関する断面二次モーメント)+Iz(z軸に関する断面二次モーメント) $

つまり任意の断面の直行する軸同士の断面二次モーメントを足せば断面二次極モーメントが求まる。

この性質を使うと丸軸の断面二次モーメントが簡単に求まる。

丸棒の断面二次モーメント

では例題を設定しよう。

直径dの丸棒の断面の図心を原点としてy,z,x軸を設定する。

ここで断面二次極モーメントを考えてみよう。

図より原点から距離rでの微小円の面積を定義すると(円の周長×幅)

$ dA=2πrdr $

から断面二次極モーメントの定義に代入すると

$ Ip=\int_{A}r^2dA=2π\int_{0}^{\frac{d}{2}}r^3dr=\frac{πd^4}{32} $

ここで断面の対称性から$ Iy=Iz $であるので

$ Iz=\frac{Ip}{2}=\frac{πd^4}{64} $

となる。

ここで重要なのは丸棒の場合、直径の4乗で断面二次モーメントが増加することである。

直径を大きくすれば曲げ応力がかなり下がるのだ。

また中空にしても断面二次モーメントはそんなに下がらない。

例えば外径をd1、内径をd2とした中空軸の断面二次モーメントは

$ Iz=\frac{πd1^4}{32}-\frac{πd2^4}{64} $

で$ d2^4≪d1^4 $なので多少の肉抜きではビクともしない。

丸棒のねじりでもそうだが曲げにも丸棒断面は直径に大きく依存し中空にしても強度があまり落ちないのだ。

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つまり軸はコストが許せば中空にした方が軽くて、そこそこ丈夫な構造物になる。

次が最後で断面二次モーメントの数学的な特性を説明する。

平行軸の定理

平行軸の定理を説明するのに例題を設定しよう。

ある断面の図心Gを中心とした座標と図心Gを通るz軸に平行で距離eだけ離れた軸z’が存在する。

ここで軸z’に関する断面二次モーメントIz’を求めてみよう。

$ Iz’=\int_{A}y^2dA=\int_{A}(y+e)^2dA=\int_{A}y^2dA+2e\int_{A}ydA+e^2\int_{A}dA $

ここで展開した$ \int_{A}y^2dA $はz軸に関する断面二次モーメント、$ \int_{A}ydA $は図心の断面一次モーメントで0になり残った$ \int_{A}dA $はただの面積になるので次のようになる。

$ Iz’=Iz1+e^2A $

これを平行軸の定理と呼ぶ。

まあ、簡単に言えばある距離eだけ離れた平行な軸での断面二次モーメントはもとに対して$ e^2A $だけ足せば良い。

ちなみに機械力学で説明するが慣性モーメントも全く同じ特性を持つ。

では実際にどう使うのかを紹介しよう。

I形断面の断面二次モーメント、平行軸バージョン

では先程、解法を説明したのと全く同じI形断面の断面二次モーメントを考える。

異なるのは真ん中の棒の図心をGで軸はy,zとするまた上下の幅広い棒の図心をG1としz軸に平行で距離 $\frac{h-c}{2} $離れた軸z’を設定する。

ではまず真ん中の図の青い棒の断面二次モーメントIzは棒の断面二次モーメント$ \frac{bh^3}{12} $より

$ Iz=\frac{t(h-2c)^3}{12} $

次に図の緑色の断面二次モーメントIz’をz‘軸周りで考えると上と同じで

$ Iz’=\frac{bc^3}{12} $

となる。ここで平行軸の定理を使って緑色の断面二次モーメントをz軸周りに変換する。

緑の棒の面積はbc、軸間の距離は$\frac{h-c}{2} $なので平行軸の定理より

$ Iz=Iz’+e^2A=\frac{bc^3}{12}+(\frac{(h-c)}{2})^2bc=\frac{bc(3h^2-6hc+4c^2)}{12} $

となりトータルでは青い部分の断面二次モーメントと緑の部分2個分の断面二次モーメントを足すと(計算を省く)

$ Iz=\frac{bh^3}{12}-\frac{(b-c)(h-2c)^3}{12} $

で割と楽に求められる。

まとめ

まとめると

断面一次モーメントは

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・図心(中立面)を原点とした座標軸での断面一次モーメントは0になる。

・図心は断面一次モーメントから面積で割れば求まる(逆も成り立つ)。

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断面二次モーメントは

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・断面二次モーメントは軸に関する微小面積を定義して軸方向で積分すれば求まる。

・四角断面の断面二次モーメントは$ \frac{bh^3}{12} $(h方向に関する)で求まる。

・丸断面の断面二次モーメントは$ \frac{πd^4}{64} $で求まる(dは直径)。

・図心からeだけ離れた軸の断面二次モーメントに関しては$ Iz=Iz’+e^2A $がなりたつ(平行軸の定理)

[/st-mybox]

ほとんどの構造物の断面は丸と四角の組み合わせでできておりどんなに複雑でも丸と四角の断面二次モーメントを覚えておけば平行軸の定理を使って求められる。

まあ今の時代ではCADなりで求まるので自分で計算することはほぼない。

ただし断面二次モーメントは軸方向に寸法を大きくすると3乗で大きくなる(丸軸だったら4乗)ので荷重方向と設計した構造物の断面の寸法を確認しておこう。

どんなに幅をとっても意味がなく高さ方向に大きい寸法を取ろう。

これで終わりにする。次回は梁の撓み(たわみ)を求めていく。

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基本的に本内容の教科書は存在せず筆者オリジナルだが筆者が学生から使っている教科書を紹介する。

もう一点、機械設計で必須の本があるので紹介しよう。

はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。

またよく使う規格が載っているので重宝する。JISで定められて機械材料の特性が載っている。

多くの人が持っていると思うが持っていない人はちょっとお高いが是非、手に入れて欲しい。但し新品は高いので中古で購入を考えている方は表面荒さの項目が新JIS対応になっているのを確認することを強くオススメする。

さらにオススメしたいのがアマゾン キンドル アンリミテッドだ。アンリミテッドだと数多の本が月会費だけで読める(漫画〜専門書まで幅が広い)。

しかも流石、本屋が原点であるAmazonだけあって機械工学の専門書がそこそこ揃っていてかなり使えるサービスだ。

特に機械工学の専門書は高額になることが多いので少しだけ読みたい分野の本を眺めるのに非常に役に立つので是非、オススメしたい。

また本ブログをキッカケとしてエンジニアとしてステップアップして大きな仕事を掴む手段の一つとして転職するのも一つの手だ。

やはり予算の大きい機械設計、規模が大きい機械設計、大きな仕事をする場合は日本においては大手に入って仕事をする方がチャンスの機会が多いと思う。

私も最終的に転職はしていないが自分の将来を模索していた時期に転職活動をしていくつか内定を頂いたことがある。

折角なのでその経験(機械設計者の転職活動)を共有できるように記事に起こしたので参考にして頂ければ幸いだ。

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自動車メーカーの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計の技術を伝授します。

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