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初心者でもわかる材料力学

初心者でもわかる材料力学3 ねじりってなんだ?(丸軸のねじり、中空丸軸のねじり)

前回での弾性域ってなんだの最後の案内の通り、今回はねじりの応力の説明をしていく。

初心者でもわかる材料力学2 弾性ってなんだ?塑性ってなんだ?(弾性係数、応力歪み線図、材料特性)

機械設計にとって軸という物体は使う頻度が非常に高い、バネもネジもねじりが大きく関係するのだ

とても大切なことで、基本になることなのでなんとか理解してほしい。

また初心者でもわかる材料力学を順に学びたい人はこちらの索引からどうぞ

今回のねじりを理解してもらえれば、残りは梁(はり)の曲げ、撓み(たわみ)がわかれば機械設計に必要な基本的な材料力学は一先ず十分であると思う。

例題の設定

まずは説明するに当たって例題の設定をしよう。

任意の長さで直径がdの丸い棒にトルクT(N・m)のモーメントがかかっている状態を設定する。

ちなみにトルクは、単位の通り 力(N)×距離(m) で物体に対し回転を与える力のことである。

この辺りの基礎的な物理ももし要望があれば解説することを考える。

また物体に与えられる外力の検討、解析方法に関しては、別シリーズで始めたいと考えている。

シリーズ名は初心者でもわかる機械力学で紹介していく予定なので今しばらくお待ちいただきたい。

まあ、少し話が飛んだが想像することは、単純に棒を捻っているだけだ。

丸棒をねじった時のひずみと応力

まずはねじった時にどのようなひずみが棒に発生しているのかを考えてみよう。

任意の長さの棒から長さL分だけ抜き取って考える。

左の断面を基準として考えると、ひずみの形態は剪断であることがわかると思う。

もう少しわかりやすくするために、この長さL分の棒を平面に展開すると次の図のようになる。

この図から軸の左端面の点aに対して、軸の右端面の長さ 点b-点c分が変形していることから剪断力による変形と理解できると思う。

この変形の形態を忘れた人は初心者でもわかる材料力学1の剪断ひずみを思い出してほしい。

確か剪断ひずみは次の図で表される。

これより剪断歪みγは変形量λを元の長さLで割れば求まる。

初心者でもわかる材料力学1 応力ってなんだ?(引張り、圧縮、剪断)

これから考えると長さLの丸棒のひずみγ0遠くと次の式のようになる。剪断歪みはγ(ガンマ)で表す。

$ 丸棒のひずみ γ0=\frac{線分bc}{線分ab}=\frac{d}{2}×θ×\frac{1}{L} $

線分bcの長さは円弧の長さで 半径 × 角度 で求められることを思い出してほしい。

ひずみが分かればフックの法則で弾性係数をG(Pa)とすれば次の式で剪断力τ0が求められる。(弾性に関しては忘れた人は、初心者でもわかる材料力学2を見て欲しい)

$ 丸棒の剪断力τ0=G(弾性係数)×\frac{dθ}{2L}(丸棒のひずみ) $

これで剪断力と歪みがわかった。

ここでθをねじれ角と呼ぶ。

さらにある長さL当たりのねじれ角$ \frac{θ}{L} $を比ねじれ角(単純に単位長さ当たりの角度のこと)と呼びφで表すと歪みと剪断力は次の式になる。

$ 丸棒の歪み  γ0=\frac{d}{2}(半径)×φ(比ねじれ角) $

$ 丸棒の剪断力 τ0=G(弾性係数)×\frac{d}{2}(半径)×φ(比ねじれ角) $

と簡単な式になる。

つまり比ねじれ角φを使うと式が簡素になり楽に扱える。比ねじれ角自体も簡単な概念で単純にねじれ角θを軸長さLで割っただけである。

つまり軸が長くてねじれ角が小さければ比ねじれ角は小さい、逆だと大きいでそれだけだ。

弾性の詳細は、こちら

初心者でもわかる材料力学2 弾性ってなんだ?塑性ってなんだ?(弾性係数、応力歪み線図、材料特性)

これまで求めた歪みは実は丸棒の最表面の歪みだけで、実は丸棒の内部は半径0~半径$\frac{d}{2}$まで各半径毎に歪み量と剪断力が変化している。

これを図で表す。

外周に行けば行くほど歪みと剪断力が大きくなるのがわかると思う。

ここで丸棒の展開図と側面図を一つの図で表した図を参考までに載せておく。

ここまでわかったところで次に外力Tと剪断力の関係を考えてみよう。

トルクと丸棒内部の剪断力の関係

今度はトルクがかかった断面をカットした図をイメージしよう。

できれば剪断力とトルクの関係を一気に求めたいのだが剪断力、歪みが半径が変わるたびに変化するので簡単には求められない。

仕方が無いので、このような場合は微小部位を木の年輪(年輪幅dr)みたいなのに定義して、微小部位内の力、応力の関係式を求めてから、微小部位を足し合わせて求めていく(積分)。

微小部位の年輪見たいな半径rで幅drの輪を想像してみよう。

任意の半径rでの微小部位を年輪と見て、年輪の幅をdrとして考えてみる。

ここで半径rとしたので丸棒の歪みγ0、剪断力τ0は次の式で表される。

$ 丸棒の歪み  γ0=rφ $

$ 丸棒の剪断力 τ0=Grφ $

これで年輪のところに剪断力が発生しているのがイメージできると思う。

これをもっと理解しやすくするために年輪(円環)を立方体に展開してみよう。

上の図から半径rの位置での剪断力τによって発生する外力Pは面積を掛ければ求まるので(外力PはトルクTの一部)

$ 半径rでの外力P 外力P=2πr×dr×τ $

で求まるのがわかると思う。

わかりやすいように年輪(円環)と立方体とした展開図が同じ図に載っている図を載せておく。

このような剪断力によって外力Pが発生している微小部位が、半径の距離毎に複数あることを理解して欲しい。

イメージとしては次の図を見てわかると思う。

ここで筆者のこだわりだった四則演算と乗数だけで表していたが、残念ながら積分を使うことになる。申し訳ない。

まあ積分といっても微小区間を足し合わせるだけだ。

次に考えるのは微小部位の剪断力によって発生する外力Pは微小部位の剪断力を全て足し合わせるとトルクTになることを理解して欲しい。

なぜなら元々、入力されている力トルクTによって発生している変形なので、その変形によって発生した応力による力は外力と釣り合わないとおかしい。

つまり、結局のところ剪断力によって発生する外力PのトータルはトルクTになるのだ。

ただし注意点として外力Pの単位は[N]でトルクTの単位は[Nm]で異なるのでどちらかを合わせないと式が作れない。

今回は外力Pをトルクにして考えて行くので、各年輪で発生する外力Pに任意の半径の位置rを掛けてトルクPrとして積分を使って足し合わせていく。

そうすると次の式が成り立つ。

ここで丸棒に掛かるトルクと丸棒内部で発生する剪断力τによる外力Pの釣り合いは次の式になる。ちなみにトルクは 力×距離 なので外力P×距離rであることも考慮する。

$ 丸棒に掛かるトルク T =\int_0^\frac{d}{2}r×2πrdr×τ $
外力P:2πrdr(年輪の面積)×τ(剪断力)をトルクにするために任意の半径rを掛けて積分する

となる。

あとはただの計算だ。まず$ τ=Grφ $を代入すると

$ T=2πGφ\int_0^\frac{d}{2}r^3dr=\frac{πd^4}{32}×Gφ $

$ r^n $の積分は$ \frac{1}{n+1}r^{(n+1)} $だ。

ここで比ねじれ角φについての式に変換すると

$ 比ねじれ角 φ=\frac{32}{πd^4}×\frac{T}{G} $

となり$ 丸棒の剪断力τ0=Grφ $に代入すると

$ τ0 =\frac{32}{πd^4}× Tr $

剪断力が最大になるのは説明した通り最外周面なのでr=d/2を代入すると

$ τmax=\frac{16}{πd^3}T $

となる。

この式は次の重要なポイントが導ける。

ココがポイント

・丸棒のような軸の捻りによる剪断力は弾性係数Gに全く関係なく、軸の直径の3乗に反比例して小さくなる

・この特性を利用して軸の設計で強度を増やしたい場合は直径を大きくすると発生応力が激減する

だから軸の設計は案外にも楽だったりする。

ただテストして軸が捻じ切れると、大概は設計ミスなのでちょっと恥ずかしいのだ。

これで丸棒のトルク(外力)と剪断力(物体内部の力)の関係がわかったと思う。

中空の丸棒の場合(応用)

今度は丸棒でも中が空いている中空の棒の場合を考えてみよう。

例として棒の外径がd1で空いている穴の径をd2に外力としてトルクTが掛かるとしよう。

そうすると剪断力τのイメージは以下の図のようになる。

そう、丸棒が理解できていれば簡単なのである。

誤解を恐れすに図解すると以下のようになる。

図のように直接、引ければ楽なのだが、流石にそうは単純にいかないので、やっぱしここで積分を使う。

でも丸棒と考え方は全く同じで積分の範囲が$0~\frac{d}{2}$だったのが$\frac{d2}{2}~\frac{d1}{2}$に変わるだけなのだ。

よって式は以下のようになる。

$ 丸棒に掛かるトルク T =\int_\frac{d2}{2}^\frac{d1}{2}r×2πrdr×τ$

これをサクッと計算して比ねじれ角φを算出すると

$ 比ねじれ角φ=\frac{32}{π(d1^4-d2^4)}×\frac{T}{G} $

ここで半径rでの剪断力τは丸棒と同じくτ=Gφで

$ 比ねじれ角φ=\frac{32}{π(d1^4-d2^4)}×Tr $

当然、剪断力が最大τmaxになるのは、丸棒と一緒で最外周d1/2なので代入すると

$ 最大剪断力τmax=\frac{16d1}{π(d1^4-d2^4)}×T $

この特性はとっても需要で

ココがポイント

捻りを受ける中空軸の場合に中空部の直径を増やして軽量化しても、最大剪断力に大きな影響を与えない。

軸は基本的に中空にして軽くしても捻り強度はほとんど変わらない。

例えば外径d1が3で内径d2が2だとしよう。

直径の単純な比で考えると3:2で大きな影響が出そうな気がすると思う

しかしながら、軸の捻りで考えると最大剪断応力の式の分母の値は、$π(3^4-2^4) $なので81-16=65で比が$ d1^4:d2^4=およそ5:1 $で影響なんか微々たるものなのだ。

だから軽くて丈夫な軸を設計するなら外径を取れるだけ大きくとって、ガンガン中を肉抜きすればいい。遠慮しないで抜いてしまうのだ。

このように式の意味がわかっていれば軽量化するのにしっかりと根拠が示すことが可能になり、ためらいなく実行できるようになる。

これで中空軸の発生応力とトルクTの関係もわかるはずだ。

まとめ

今回はちょっと長い文と式が多めになってしまったが順を追って見ていけばきっとわかるはずだ。いつも述べているが機械設計者に大切なことは暗記ではなく検索能力なので頑張って理解をして欲しい。

今回の大切なポイントを2点ほど簡潔に述べて終わろう。

ねじり応力の重要ポイント

丸棒でのトルクTと発生剪断力τの関係は、弾性係数に寄らず棒の径の3乗に反比例する

中空軸でのトルクTによる発生剪断力τは、中空部の径が大きくても影響は、かなり少ない

以上で今回は終わりにする。

次回は、熱応力と機械設計でよく遭遇するパターンの応力の求め方を説明する。

初心者でもわかる材料力学4 熱応力ってなんだ?(熱応力、残留応力)

基本的に参考書などはないが一応、筆者が使っている教科書を紹介する。これに沿って解説しているので一緒に読めば理解が深まるかもしれない。

また、ここで一つ、機械設計で必要な本があるので紹介しよう。

はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。一応、このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。

またよく使う規格が載っているので重宝する。

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また機械設計では規格を日常的に確認するのでタブレットやスマホだと使いにくい面もあって手持ちの本があることが望ましい(筆者がオッサンなだけか?)。

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  • この記事を書いた人

kazubara

輸送機器メーカーでの元エンジン設計者。15年の職務経験から機械設計知識を伝道します。また職歴を活かしてエアソフトガンをエンジニアリング視点で考えてみる。

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