VFC Mk18 mod.1 AEGは前回のカスタムで一旦は完了したはずでした。
しかしながら前回で案内した通りPTS社のPMAG以外のマガジンだとフルオートで給弾できないトラブルが発生しました。
今回はそのトラブルの解決、細々とした仕様変更と最終レシピ、ブラシレスモーターの特徴を紹介します。
まずはトラブルとトラブル発生メカニズの考察、対応方法を考えていきます。
トラブルの解析
まずは発生していることの事実を考えます。
・PTS社のPMAG以外のマガジンでフルオート時に弾が発射されない。
・どのマガジンでもセミオートは発射できる。
これが発生事象です。
ここから原因を考えていきます。
・ノズルの長さが絶妙に長くフルオート時の給弾できるタイミングが小さい。
・ノズルの後退量が絶妙に少なくフルオート時の給弾できるタイミングが小さい
このため弾を送るバネの力が強いPMAGは小さい給弾タイミングでも弾を供給できるのですが、普通の能力のマガジンでは給弾できないことがわかります。
考えられる対策としては
・ノズルを短くする。 リスク:ただしつまづきホップ、気密漏れを起こす可能性が高い
・タペット変更でノズルの後退量を増加させる。 リスク:後退量が大きすぎると弾の発射に対してノズルの閉鎖が遅れ、気密漏れを起こす可能性が高い
この2択の中からリスクに対応し易く、加工でどうにでもなるタペットプレートを変更して対応することにしました。
今回、調達した部品はハリケーンEさんのポリマー強化タペットプレート ver.2用になります。
選択した理由は噂によるとタペットの羽根の形が長く、ノズルの後退量が一般的なモノに対して1mmほど大きいらしいです。
これでノズルの後退量が増加するので、給弾できるタイミングも増加できるはずです。この機種に使った部品はレシピとして最後に全て記載します。
次に作業です。
カスタム 再調整
メカボを開けるところまでは以前に紹介しているので省かせていただきます。
メカボ分解の詳細はこちらです。慣れると10分以内でできます。
メカボを開いてタペットを取り出します。
取り出したロネックスのタペットと今回、用意したハリケーンEのタペットの形状を比較します(既に新しいタペットが加工済みで申し訳ありません)。
肝になる部分を詳細に見ていきます。
先端のノズルを固定する溝の位置が微妙に異なりロネックスは前方に溝があり、ハリケーンEはおよそ0.3mmくらい後に固定用の溝があります。
これだとノズルの位置が常におよそ0.3mmほど後退した位置になり気密漏れ、つまづきホップになる可能性が高いので、ノズルの長さも後ほど調整します。
次に羽根です(カムと同じ仕組み)。
噂通り、ハリケーンEの方が羽の長さが長いので後退距離が稼げそうです。なのでノズルを調整してこのタペットを使うことにします。
羽根のカットのコツを図解します(秒間35発くらいまでは行けると思います)。あくまで個人の経験なので参考程度にしてください。
これでタペットは完成したのでリスク対応でノズルの調整をします。
長さを変更できるレトロアームズのノズルなので簡単です。今回はノズル固定値が0.3mmほどズレるので、以前に設定した21.2mmに0.3mmを足してキリが良い21.45mmにします。
これでノズルは完了です。普通のノズルは長さの調整が出来ないものが大半なのでノズル長さは純正を使うか、社外品を購入される場合は純正の長さを参考に慎重に選ぶことをオススメします。
次にタペットの後退距離が大きくなったことによってタペットの戻るタイミングが遅くなり、ノズルの閉鎖が間に合わず気密漏れする可能性が考えられるので対策します。
また目標性能もサイクル25〜30発/秒想定に対しバッテリーが満充電だと32発/秒まで行くことがわかったので要対策です。
対応部品はタペットスプリングです。このスプリングを強制的に短くしてイニシャル荷重を上げることによりタペットの戻りを速くします。
あまり伸ばして使うと材料が降伏(塑性変形)という現象を起こしバネとしての機能を失うので、程々の3巻ほど短くします。
やり方は簡単で一巻きずつラジオペンチでバネを曲げていきます(起こす感じ)。一気に3巻とか曲げようとするとかなりの力が必要になり、バネを伸ばしすぎて壊れることがあるので1巻ずつ処理することをオススメします。
余分な部分はカットして組み込みます。
材料、材料力学に興味がある方は覗いてみてください。
これで準備が終わったので組む前に部品のチェックをしていたら、とんでも無いモノを見つけてしまいました。
これです。
シリンダの内壁に傷がありました。異物が噛み込んだようです。
VFC HK416CAGでも傷ができたのですがどうもアルミのシリンダは材質が柔らかいのですぐに削れるような気がします。おそらくアルミの押し出し材の最も安いモノの一つ、A2014の装飾のブラックアルマイトだと思います。
アルミの2000番系でも硬質アルマイト、硬質メッキをすれば大丈夫だと思うのですが・・・。もしくは6000番系を使うとか。
これからは基本的にステンレスか真鍮(銅合金:合金によるが銅もかなり柔らかい)のシリンダを使って行くことにします。
一応、このシリンダでピストンとの気密チェックをしたら、オッケーだったのですが嫌なので取り替えます。手持ち在庫がライラクスさんのステンレスシリンダー フルサイズしかないので加速シリンダに加工します。
まず位置を決めます。
内径に傷をつけないように注意しながらリューターで穴を開けます。
ステンレスで硬いのですがドレメルの強力なリューターにタングステンビットで5分くらいで行けます。最後に丁寧に切断面を整えてバリを取れば完成です。
・ドレメル ハイスピードロータリー4000
いつも使っているオススメリューターです。これがあるとDIY加工の幅が拡がります。人気機種で3000と4000がありますがツールもセットになってパワーがある4000がオススメです。
・タングステンビット
金属で一番、硬くて強い材質なのでバンバン加工できます。ビットのシャンク計に注意して下さい。アマゾンのリンクのビットシャンク径は3.00mmです。
これでメカボを組みます。
ちなみにメインスプリングがへたって初速が落ちていたのでスペーサー2mmを2枚の計4mmの嵩上げをしました。
スペーサーはこれです。
次に個人的な好みでグリップを純正からPTS社のエンハンスドポリマーグリップに変更しました。
標準のA2タイプグリップの人差し指の突起が個人的に苦手で(指が痛くなる)よく交換します。巷ではこのグリップはモーターの角度がよくないとか言われてますが、気になったことはありません。
またブラシレスモーターはエンドベル(モーターのお尻)が特殊で加工が必要な場合があるのですが、このグリップは必要ありませんでした。
蓋の形状、干渉なしです。
モーターに対してグリップの空間が大きので、作動時にモーターがガタガタと動きます。なので対策としてマスキングテープでガタを無くしました。
最後に前回からの使用の変更点で配線を少しだけ変えています。
目的はバッテリーの収納性向上で、場所はストックパイプ内のヒューズからコネクタの間をシリコン被膜(イーグル模型)の柔らかい配線に変えました。テフロン被膜の配線は硬すぎて使いづらかったです。
個人的にはテフロン被膜の必要性がよくわからないので、最近は全ての配線をシリコン被膜の1.25sq(イーグル模型さん)にしています。
これで完成です。
実射性能確認
実射性能の確認をしていきます。
条件は室温22℃で使用バッテリーがET-1 リポバッテリー レッドライン(35C相当) 1200mAhで8.2Vです。
弾はVFCのバイオ弾0.2gでホップちょい掛け15段階中1.5くらいのセミオートです。
かなり精度が高く、良い感じだと思います。
弾速計の紹介記事
次にフルオートのサイクルです。本来は同じ弾速計を使いたかったのですが射撃ボックスが狭く、跳ね返った弾のせいで計測出来なかったのでXcortech X3200 Mk3での結果になります。
サイクル28.4発/秒で初速も出ているのでバッチリです。満充電の8.4Vだと32発/秒になりますが、給弾は大丈夫だと思います。
初速計のレビューも良かったら覗いて見て下さい。
ちなみに使ったマガジンは反省から質の良いPTSのPMAGではなくエチゴヤさんで売っていたノーブランドのマガジンで試しました。
弾道に関してはホップチャンバーは前回のままなので変化はないと思います。
最後に作動の動画です。条件は弾速測定と同じ
VFC MK18 mod.1 AEG ハイサイクル 最終仕様 セミオート
VFC MK18 mod.1 AEG. ハイサイクル 最終仕様 フルオート
かなりキビキビ動いていると思います。
・G&G バイオ弾 0.2g
安くて精度が良いので性能確認からサバゲーまで広く使っています。日本に入ってきた頃から使ってるお気に入りです(2008年くらい)。バイオの割に日持ちします
・G&G バイオ弾 0.25g
0.25gです。基本は0.25gでサバゲーしています。
まとめとレシピ
ハイサイクル レシピ
リポ 7.4V 1200mAh 35C で秒間32発 初速95m/s前後(11.1Vリポのフルオートは無理です、セミだけなら行けます)
メカボックス内部カスタムパーツ
・OPTION No.1さんのプラグインブラシレスモーター ロング トルク型
今回の目玉です。燃費とパワー、回転数のバランスがハイレベルです。
今のところ最高のモーターだと思いますがかなり高価です。ノーマルにそのまま入れるとクラッシュします。
・SuperShooterさんのベアリングイン ハイスピードギヤ(13:1)
個人的な鉄板アイテムです。精度、量産バラツキが少ないです。またタペットを押す部分がベアリング仕様なのでセクターチップ変わりになります。
・ハリケーンEさんのポリマー強化タペットプレート Ver.2
羽根が大きくノズル解放時間は稼げますが気密漏れに注意です。逆に羽根が大きいので加工で好みにしやすいです。サイクルが秒18発くらいならそのまま行けると思います。
・スティンガーさんのショートストロークスイッチ Ver.2
これはかなり良いモノでした。私はノーマルに対しトリガーストロークが$ \frac{3}{1} $に詰められました。
ただセーフティの設定がシビアです。
・SHSさんの守護神 強化ピストン 金属歯14枚
私的に超定番です。安くて軽くて頑丈です。
・LAYLAX プロメテウス ステンレスシリンダー フルサイズ
私は手持ちがフルサイズだったので加工して使いました。加工しないのであればこの手のバレル長さは275mm程度なのでタイプD(251~300mm用)を選んでください。リンクはタイプDです。
・DCI GUNSさんの側面吸気セット(ヘッドがPOMタイプ)
完全に評判で買ってます(比較したことがない)。たぶん良いのだと思います、思いたい。
・レトロアームズさんのAJUSTABLE NOZLLE 21~23mm
これはあまり必要ないかもしれません。マニアックに設定したい人向けな感じです。2023年では市場に流通していないようです。
・レトロアームズ CNC シーリングノズル GEN.2 21.2mm
現行のMaxx M4A PROチャンバーに合わせるならノズル長は21.2mmがジャストをオススメします。
・Airsoft97さんの不等ピッチスプリングM100
単純にこのメーカーのスプリングを使った経験が多いので、強さのイメージがわかるのでいつもこれです。
・GAWさん 初速調整用スペーサー ガイド、ピストン内部兼用
初速調整用です。法の範囲でお好みでどうぞ。ちなみにVFCのガイドは太くて入りませんでした。ピストン内部に設置しています(2mm×2個の4mm)。
バレル、チャンバー周りのカスタムパーツ
・MAXX MODEL CNCアルミ HOP-UP チャンバー ME-PRO ノズル長21~21.5用
自分的な鉄板チャンバーになりました。高いけど凄く良いです。ただし2023年では市場に流通していないようです。
・MAXX MODEL CNC HOP-UP チャンバー M4A PRO ノズル長21.00~21.25mm用
MAX MODELのチャンバーがバージョンアップしてノズル長21.00~21.25mm用になったようです。
・LAYLAX BCブライトバレル 6.05mm 275.5mm
価格が安い割に精度がよく加工しやすいので重宝しています。
・宮川ゴムさんの長掛けミドル 硬度60 ホップパッキン
困った時の宮川さんです。
長掛けホップパッキンの東京マルイ純正パッキンだと勝手に思っています。何気に突起に注目が集まりますが大切な口元形状とかが凝っていてすごいです。
電装周りのカスタムパーツ
・1.25sq FEPテフロン線 耐圧600V 耐熱200℃
なかなか良い配線です。硬くてオススメしませんが使っているので一応、載せときます。
・イーグル模型 シリコン銀コード16G(1.25sq)
配線は全てこれが良いと思います。しなやかで非常に使い易く、導電性も良いです。
・FRY RC T型コネクタ 10ペアセット
定番です。これも安くてたくさん入っているのでおすすめです。他メーカーのT型コネクタの相性問題は大丈夫でした。
・イーグル模型 110型ファストン端子 金メッキ
同サイズのファストンならなんでも良い気がします。一応、これを使ったので載せときます。
・ヒューズの新設(ブレードヒューズ30A)
ブレードヒューズならなんでも良いと思います。
外装関連のカスタムパーツ
・PTS EPG エンハンスドポリマーグリップ
個人的に好みでよく使います。ブラシレスモーターのエンドベルにも対応しており無加工で行けます。黒もあります。リンクはTANカラーです。
一応、これで真似て同じような性能になると思います。
VFC MK18 mod.1は特殊な機構、構造がないので一般的なVer.2メカボならほとんど同じになると思います。ただし場合によっては加工が必要になる部分があるかもしれないので記事を参考にして見て下さい。
ブラシレスモーター以外は割とスタンダードな内容で済ませています。
・VFC MK18 mod.1 AEG フルメタル タンカラー(正規ライセンス版、JPバージョン)
本記事の本体です。タンカラー以外にブラックもあります。
VFC Mk18 mod.1のバレル長は10.3インチですがRIS2の14.5インチもカッコよくてオススメです。
・VFC VR16 RISⅡ ダニエルディフェンス
刻印が異なるのと中身が少しだけバージョンアップしています。リンクは14.5inのタンカラーです。
ブラシレスモーターについて(特性)
しばらくブラシレスモーターを使ってみてクセが掴めたので、いくつか気になる点を書いておきます。
ブラシレスモーターはエンドベルに制御基盤が付いておりデジタル制御されています。そのためバッテリーを繋いでから起動までに1〜2秒ほど時間がかかるようです。なのですぐに動かなくても大丈夫です。
詳細はわからないものの電圧、温度、過負荷に対してモニターしており、自分が持っているチェック値に達すると作動が自動で停止します。バッテリーが低電圧(何Vかはわからないです)になると自動で動かなくなるので壊れているわけではありません(最初、びっくりした)。できれば止まる前に振動や音などで伝えてくれれば良いのですが、そのような機能はないので注意です。
最後に燃費ですが、そんなに良くない感じがします。作った仕様の負荷が高いせいもあるかも知れませんが7.4Vのリポバッテリーの保管電圧7.6Vでギリギリ動くなという感じです。
つまりモーターの起動時の要求電力が高いためバッテリーの電圧7.6V程度だと瞬間的にオートストップの領域に入り作動が不安定になります。
なので消費電力は高いと考えられるので燃費はよくないと思います。
ここまでが注意点です。
次に利点です。
利点としてはFCUを使わずにこのモーターを軸にカスタムすればFCU機種(プリコックとか)と同等のレスポンスが得られます。また必然的にハイサイクルにもなります(標準ギヤレシオ18:1でも秒間22発くらい行きそう、ポン付だとおそらくクラッシュします)。
比較としてハイレスポンスカスタムをFCU+ハイスペックモーター(二万円+1万円)で組むよりはブラシレスモーター(1万5千円)を軸にカスタムを考えた方が安く済むと思います。
ただし細かい制御、調整(プリコック、サイクル、バーストなど)はできないので、よく考えて使い所を決めると良いと思います(最近、オプションNo.1さんからブラシレス用のFCUが出たらしい)。
ハイレスポンス、ハイサイクルカスタムはおおよそでFCU+ハイスペックモーター、ダブルセクター(DSG)、ブラシレス(シングルセクター、ダブルセクターどちらでも)などあるので自分の目的、予算に合った選ぶと良いと思います(多分、ダブルセクターが一番、安くて難しい)。
以上、ブラシレスを使ったシングルセクターギヤでのハイサイクルカスタムでした。
お付き合いありがとうございました。
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