目次
前回までで一通りはりに関する材料力学を説明してきた。
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初心者でもわかる材料力学12 はりの不静定問題を解いてみる、他 (重ね合わせ法、組み合わせはり)
また初心者でもわかる材料力学を順に学びたい人はこちらの索引からどうぞ
今回は、はりのたわみを求めるのに必須な実際によく使う断面二次モーメントを紹介する。
さらに、ただ式を羅列するばかりでは意味がないので筆者が実際に出会った例をつけながら説明していこう。
もし設計中に早見表的に使えると思うので良かったら使ってくれ。
また断面二次モーメントを自力のみで求める能力は必須ではないが意味は、理解しないとかなりまずい。
忘れてしまった、もしくは、始めて見る人は、こちらを参照して意味を理解して欲しい。
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初心者でもわかる材料力学7 断面二次モーメントってなんだ?(はり、梁、曲げ応力、断面一次モーメント)
また本記事で紹介する断面二次モーメントは今までの説明で全て求めることが可能である。
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初心者でもわかる材料力学8 断面二次モーメントを求める。(断面一次モーメント、断面二次モーメント)
もし暇だったり腕試しや学生諸君は、自分で一度、求めておくと理解が進むと思う。
代表的な断面の断面二次モーメント
ただの四角断面
幅bで高さがhの四角断面の断面二次モーメントI
$ I=\frac{bh^3}{12} $
これは基本形なので使用例もくそもない。ここから始まる。
円形断面、軸の断面
直径がdの円形の断面の断面二次モーメント
$ I=\frac{πd^4}{64} $
使用例の代表例は軸に荷重がかかる場合の代表。
筆者の専門のエンジンで言えばピストンピン、クランクピンなど多数。
中抜き円形断面、中空軸の断面
外径がd1で内径(中抜き径)d2の中抜き円形断面の断面二次モーメントI
$ I=\frac{π(d1^4-d2^4)}{64} $ 円形断面から中空部分を抜いただけ。
これの使用例は重さを気にするある程度大きい機械の軸はほとんど中空になっている。
むしろただの丸棒の軸を見たことはほとんどない。
菱形断面、アルミ冊子などの角材
辺の長さaで全て等しい菱形の断面の断面二次モーメントI
$ I=\frac{a^4}{12} $ 四角断面の応用。
まあこれはホームセンターとかで普通に売っている角材だ。また機械設計だとリブの先端の形状を菱形にして断面二次モーメントを稼ぐ。
後で説明するが鋳造で部品を作る場合に非常に成型性がよく金型も長持ちする形状になる。
I型断面、建築に多いのかも知れない
分厚い幅をb、薄い幅をt、全高さがhで分厚い部分の高さがcのI型断面の断面二次モーメント
$ I=\frac{bh^3}{12} -\frac{(b-t)(h-2c)^2}{12} $角材の応用
まあこれもホームセンターでよく売っている角材の一つだ。実際の機械設計では自動車のフレームなどに使う。筆者の専門ではコンロッドの断面形状として採用することがある。まあ普通に剛性メンバーとしてよく使う。
逆T型断面、普通のリブ
H型断面の発展系でTの横棒の高さをh1、幅をb1とし縦棒の高さをh2、幅をb2とし図心から上端までの距離をe1、下端までの距離をe2とする断面の断面二次モーメントI
$ I=\frac{b1h1^3}{12}-e1^2(b1h1+b2h2) $ 角材の発展系
まあこれもホームセンターでよく売っている角材の一つだ。設計でも普通のリブの断面の一種だ。
このリブがあるとあまり芸がないなと感じてしまう残念な形の印象がある。まあ、周囲の状況によってどうしてもこの断面しか入らない時は、仕方がない。
両切り欠き円形断面、継ぎ手やキーに多い
文章で表現するのが難しいのだが半径がdの円で切り欠き角度がαの断面の断面二次モーメントI(図を見てくれ)
$ I=\frac{a^4}{24}(6π-12α+8sin 2α-sin 4α) $ ちょっと難しい。
これは結構、重要な断面だ。
使い所は軸と軸を繋ぐときに継ぎ手として使う(オルダム継ぎ手)。
この手の回転力を伝える基本形の一つ。
他には物体に軸を通す構造の時に軸と物体の位置を保つために廻り止めをつける。
軸と物体の一部に凹形状の溝を加工して隙間に切ったかまぼこみたいな物体を無理やり入れる。
これをキーというのだがその代表の半月キーがこの断面。後で詳しく説明する。
正六角形断面、いわゆるハニカム構造ってやつ
辺の長さがaの正六角形断面の断面二次モーメントI
$ I=\frac{5\sqrt{5}}{16}a^4 $ 多分、最も強い断面
これが有名なハニカム構造の断面である。筆者は厚みが大きく取れるリブの断面形状でよく利用する。この形はかなり好きだ。
ただし鋳造で作る部品で幅が小さいリブだとこの形状が正確に成型できないことがあるのでよく考えて使わないと、ただの四角断面の隅にRをつけただけの形になって意味がなくなるので注意が必要だ。
こんなところかな。
まとめ
よほど特殊なことをするかとんでもない素晴らしい断面形状が思いつく以外の断面二次モーメントはこれで求まると思う。
実際には図心を通る軸がはりの中立にならないことが多いが平行軸の定理を使えば簡単に求まる。
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初心者でもわかる材料力学8 断面二次モーメントを求める。(断面一次モーメント、断面二次モーメント)
また多少、複雑な断面でも一つ一つバラしていけばここで紹介した断面の組み合わせになることが多いはずだ。
後は組み合わせで(足したり引いたり)で求まるので是非、挑戦して欲しい。
最も、昨今ではシミレーションで求めてしまうことが多いと思うがレイアウトやスケッチ段階でどんな断面が良いのかは、人間が判断するしかないので知っておいて損はない。
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初心者でもわかる材料力学14 代表的なはりのたわみ (はりの実際の使用例)
基本的に参考書などはないが一応、筆者が使っている教科書を紹介する。これに沿って解説しているので一緒に読めば理解が深まるかもしれない。
また、ここで一つ、機械設計で必要な本があるので紹介しよう。
はっきり言って中身は不親切極まりないのだがちょっと忘れた時に辞書みたいに使える。一応、このブログを見てくれれば内容が理解できるようになって使いこなせるはずだ。
またよく使う規格が載っているので重宝する。今回、紹介した以上の種類の断面二次モーメントが記載されている。
多くの人が持っていると思うがない人はちょっとお高いが是非、買ってくれ。またこの本は中古で買うことが多いと思うのだがなるべくなら表面粗さが新JIS対応のものが良い。
話は、変わるが筆者も利用していたエンジニア転職サービスを紹介させていただく(筆者は、この会社のおかげでいくつか内定をいただいたことがたくさんある)。
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機械設計では基本になる本が一般にあまり出回っていない上に高価で廃盤も多い。
また機械設計では規格を日常的に確認するのでタブレットやスマホだと使いにくい面もあって手持ちの本があることが望ましい(筆者がオッサンなだけか?)。
しかもほとんどの企業が気密の観点から個人のスマホ、タブレットの持ち込みは難しく、全員にスマホ、タブレットを配る余裕もないと思うので本で持っているのが唯一の手段だったりする(ノートパソコンやCADマシンはあるけど検索、閲覧には使いづらい)。
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